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映画「すばらしき世界」 感想

2021/4/11(日)@新宿ピカデリー
夏生まれ夏嫌いっ子

人生の大半を裏社会と刑務所で過ごし、殺人を犯してから13年の刑期を終えた男の再出発の日々を描いた作品。
「ゆれる」「永い言い訳」などの西川美和監督が、実在の人物をモデルとした小説を原案に、役所広司主演で描いた人間ドラマです。
(↓予告編)
https://www.youtube.com/watch?v=fBmHNlypE1E

13年の間ですっかりと変化した社会から取り残された主人公・三上の、普通に生活をしていくことの難しさや葛藤をひしひしと感じる作品でした。
終始三上の一風変わった「普通ではない」言動が目立ちますが、ストーリーが少しずつ進む中で、「普通」とはどういうことなのか?と、考えさせられました。何かを我慢して馴染むことが「普通」なのか、自分を押し殺して「適当にこなす」ことの難しさを、三上の視点からみて改めて世の中で生きていく難しさを突きつけられたような気がします。
後半の少しずつ三上自身の環境が変化していく展開から、冒頭に身元引受人の弁護士から助言されるセリフ「大事なのは、誰かと繋がりを持って孤立しないこと」という言葉が響きました。

西川美和監督の説明しすぎない繊細な演出がとても好きで、特に今回は、中盤、電話ボックスで求人を探す三上がその時目にした、足早に電話をしながらスーツで歩道橋を駆け上がる光景が、後半ではなんとか職を手に入れ三上自身が同じ歩道橋を足早に電話しながら駆け上がるシーンに繋がっている様が、映像美として記憶に残っています。


私は映画館という環境が好きで、大学生の頃からなるべく観たい映画は映画館で観て、その映画を観て感じたことをなるべくその日のうちに、箇条書きのように雑多にスマホやPCのメモ[evernote]でまとめるようにしています。
仕事が忙しいとなかなか公開期間内に観に行くことができなかったりしますが、頑張ってなんとか観に行けた作品が素晴らしいと、映画館で観てよかった…!という晴れやかな気持ちを、エンドロール後にゆっくりと明るくなる劇場の天井を見上げて思います(当然逆も然り)。

(かなり滑り込みでしたが)映画館で観れてよかった…!

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