【深掘り】明日は日銀会合、YCC再修正の可能性とは?
-- 岐路に立たされた日銀 --
日銀の金融緩和政策は岐路に立たされています。
緩和政策は安定的な物価高を実現させるために実施しているため、現在の物価高に悩まされている状況では批判も多くなっています。
しかし、現状の物価高は景気の過熱感ではなくコスト高が主要因。
理想としては物価高以上に賃金が上昇していき、景気の良さに繋がってほしいところですが、未だに日本の実質賃金は低下を続けています。
そのため、コスト高を回避するためだけに金融緩和策から方向転換してしまえば、最悪の場合、賃金上昇の流れだけを止めてしまい、コスト高が残るという可能性も。
仮にそうはならずに物価が抑えられたとしても、再び物価を低水準に維持することが主流の時代になり、経済が上向くきっかけを摘んでしまうことになるリスクもあります。
とはいえ、金融緩和を持続して海外との金利差を広げてしまっていることが円安を促し、円安が理由でコスト高という望まない物価高を加速させてしまっているため、何もしなければより批判の声が出てきてしまう状況にあります。
日本経済を揺るがすような急激な金融政策の変更をせず、しかし円安を食い止められるような政策を打ち出す必要も出てきた日銀が、次におこなう手はどんなものが考えられるでしょうか。
-- 7月のYCCの修正のおさらい --
今後の日銀の政策運営の中で注目されるのは、
・YCCの再修正または撤廃がいつか
・マイナス金利策の終了がいつか
という点などです。
YCC(イールドカーブ・コントロール)とは、イールドカーブを目標とする形になるように国債の買い入れなどを通じて操作すること。
イールドカーブとは、日銀ホームページによれば
と説明されています。
その中でも長期金利(10年物国債金利)に関しては、日銀による国債の買い入れなどによって抑え込む動きと、「これ以上抑え込むことはできない」と見込むヘッジファンドなどによる債券売りの動きで攻防が起きている状況にあります。
YCCに関しては7月にも修正があったため、マイナス金利策を動かすよりも、まず順番としてはYCCのさらなる修正、または撤廃に向けて進んでいく方が可能性としては高そうに思えます。
(とはいえ、順番に関しては色々な可能性があることが植田総裁の会見で言及されています)
どんな手を使えば経済や金融市場にショックを与えずに済むでしょうか。
可能性としては7月の緩和修正を再び繰り返すことが考えられます。
7月の修正では、厳密に日本の長期金利が0.5%を超させまいとして抑え込んでいた従来の方法を止めるという大きな変更となりました。
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