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ボウキョウによせて2

 南葦ミトさんの小説『ボウキョウ』についての感想です。

 1話と2話の感想はこちら⇨ボウキョウによせて

 ☆☆

 本題に入る前に、昨日から読み始めているこれ。

 読書感想文の書き方も載っていて、それを参考にボウキョウの感想を書こうと思ってるんだけど、そんなのんびりやっていたら間に合わないので読みながら感想を書いていきます。今回も2話だけど、今週の24日に最終話が投稿されるのでそれまでに全部書いてしまいたいです。

 そして、福島に遊びに行こうと思って貰える感想になったらいいなぁという気持ちも込めて書いていきます。

 ネタバレが気になる方は先に作品の方を読んでから感想を読んでくださいね。

ボウキョウ3話の感想

 2話のラストで父親が20年分の記憶をなくしていることが発覚します。そのことに、それぞれうろたえる祖母・母・そして充希。20年分の記憶がごっそり無くなってしまった父親にとっての充希は5歳。25歳の充希に知らない他人を見るような目線を送ってきたことに充希はとてもショックを受けます。

 そうだよね。私も家族にそんな風に見られたらショックだわ。

 20年分の記憶をなくしたということは、震災で家と祖父を失ったことも忘れてしまったということです。あんなに辛くて悲しい出来事を、父親に伝えなきゃいけないということです。

 一度だって経験したくないあの苦しみを再び味わうなんて、想像するだけで鳥肌が立つ。
「あん時は誰も彼もみんな覚悟しでだがら、父親が“あんな姿”んなっでも丈は泣がねかった。だどもさっきは……『おめぇの親父は五年前に津波で亡くなった』つったら、子供みてぇにワンワン泣いで……」
 祖母が言葉を詰まらせた。
                     <引用:ボウキョウ3話>

 震災当時は、たくさんの人の死を間近で見て誰もが苦しみと悲しみの中にいたから涙を流すことはなかったが、20年分の記憶がない父親にとっては突然訪れた父親の死であって当時の悲しみの感覚と違うことを描いていると感じます。

 震災の渦中にいた人たちは「泣きたくても、周りも辛い目にあってみんな必死に我慢しているから、自分だけ泣くことができない」と苦しんでいる人々をテレビで取り上げられていて、その人たちのメンタルケアを専門にしているお医者さんや心理士さんの特集をみたことを思い出しました。

 ここで、父親がしていた電器屋、充希とノノが過ごした場所が大熊町大野だと分かります。

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 おお。結構距離があることがわかります。大熊町からいわき市の女子高に電車で通ってたと2話目で書いてあったので調べてみました。

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 電車でも片道1時間の距離なんですね。そして電車も車もホント海岸線ギリギリを走っていることも垣間見れます。

ボウキョウ4話の感想

 3話のラストは父親のお見舞いが気まずくて駅前で買い物しようとしたら、充希を心配していわきに来た彼氏の真司と合流をして食事をしました。そこに、なんと入院しているはずの父親と母親が現れたのです。

 真司と父親は、趣味の話で意気投合をしていきます。父親は自分が20年分の記憶を失っていること、充希が25歳だということもどうにか受け入れているようでした。真司と話す父親は、充希の知らない父親でした。こんなに話す人なの?SF好きだったの?と。

 小名浜で行われる花火大会を見に行くことになった4人。

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 いわき駅から30分でつくんだね!私は職場の旅行でハワイアンズに行ったのが初めての福島でした。震災から2、3年経ったときでハワイアンズからアクアマリンふくしままで遊びに向かったらそこはまだまだ津波の傷跡がたくさんありました。アクアマリンふくしまがある当たりが小名浜だったのね。

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 アクアマリンふくしまがとてもいい水族館だったので、数年後に息子たちを連れて遊びに行きました。4話ではこの水族館も名前は出ていないけれども出てきます。

 そして、花火大会で父親は過去の記憶を少し思い出し4話が終わるのでした。

☆☆

 私はこうやって地図を確認しながら見るのがとても楽しいです。文章に無い部分も補ってくれます。充希とノノはこの電車に乗って毎朝学校に行っていたのかな。充希と父親はここでかき氷を食べたのかなと想像をめぐらしていけます。実際に、聖地巡礼という楽しみ方をされる人がいますが、実際に行ったことがある私はとても楽しいで、皆さんも是非足を運んでみてはいかがですか。


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