続続 シェア破産にまつわる気持ち

怒り疲れてぼーっとした頭で外に出て、何か食べなくてはと思った。
電話をかけるまではあんなに腹が減っていたのに。

地方は飲食店の数が都会より少ないから、そこそこの客数で何故か続いてるお店がある気がする。
都会だとすぐに閉店してしまうのかもしれないけど。

たまに行くお店で、地元価格より少し高いからかいつ行っても混雑はしてないが食わせる店がある(山岡風)

洋食メインだが定食もカレーもある何でも屋で、ステーキはちょっと高めだがなかなかうまい。まあ都会に比べたら全然安いんだけど。

厚めのステーキとライス大盛りを頼んで、しばらく呆けていた。
ジュージューと鉄板で肉が焼ける音をさせながらステーキが運ばれて、車なのに思わずビールを頼んだ。代行で帰ろう。

美味いはずの肉はなんの味もしなかった。ビールも苦い炭酸水で全然酔わなかった。
食べるのに集中しようとしても、次から次と頭の中に色んな考えが浮かんで来て手が止まってしまう。

不動産に関わらず投資の詐欺のニュースを見ると既に出資した金は無くなってるケースばかりだ。
実刑になってもお金は戻ってこない。
今回も恐らく同じ流れになるだろうと思った。
積極的に不動産投資をしたかったわけじゃない。
でも接待されているうちに何故か今やらないともったいないと思ってしまった。
言われるままに書類を書いて、資料を提出してオーナーになっていた。
今思うと胡散臭い人間ばかりだった。
不動産投資の良さや、多額の融資を受けられるのは一握りの人間だという話を聞いた。
決断力が無い人間は平凡な人生を送る、そんな人生送るんですかと言われて、そんなはずないと思ってしまっていた。
利回りがどうだとか経費がどうだとか、知ってる前提で話してくることに、知ったかぶりをしてしまっていた。仕事だったらそんな対応はしない。仕事だったら。
投資はある意味副業とも言えるからスタンスを変えなければいけなかった。

ネットでシェアハウス業者のことを調べても全然ヒットしない。
Facebookはどうか?やはり見つからない。
Twitterはどうだろう?
自分のところの業者は見つからなかったが、スマートデイズの話題は少し見つかった。
キャバ嬢のツイートを見るために作ったアカウントがいくつかあったので、アプリをダウンロードしてこまめに見るようにしよう。
そう思ってるうちに肉は冷めてしまった。
味のしないディナーを終えて、店の人に明日の朝には車を回収すると言うと快く承諾してくれたのでタクシーでコンビニに寄り酒を買い込んで帰った。
家でも全然酔えなかったがいつの間にか寝ていた。
次の日の朝、二日酔いではなかったが出勤が憂鬱だった。
でも仕事を始めると逆にシェアハウスのことを忘れられて集中出来た。
あっという間にお昼休みになり、今度は昨日のシェアハウス業者の女性社員の上司の携帯に電話をかけた。
出ない。
留守電を入れる。
出ない。
事務所にかけた。
いない。
折り返しを頼む。
かかってこない。
昨日の女性社員に替わる様に頼む。
外に出ているという。

私の仕事が終わってしまった。
これは逃げてるな。

事務所にかけて、逃げ回るなら法的手段を取りますと伝えた。

かかってきた。

私「もしもし」
男「シェアハウスの件でお電話致しました。ご連絡頂いておりまして申し訳ございません」

今日は冷静に話そうと思っていた。
私「全然連絡が取れなくて困っていました。今後はあなたが担当ということをお聞きしましたのでご連絡致しました。どういう状況か教えて頂けますか?」
男「どの物件になりますかね?」

キレた。

私「あー?どの物件じゃねえよ、お前らが売ったんだろうが。自分で売った物件もわかんねえのかよ。ふざけんな。○億だぞ。」
男「冷静に話してもらえますか?」
私「冷静にいられるかよ。なんで契約解除なんだ。なあ?契約書読んでんのかよ」
昼休みに熟読していた。今更ながら。
男「冷静に話して頂けないとお話しできません。一度切りますから落ち着いたらまた話しましょう」

こいつ、慣れてやがる。

大きくため息をついて、さらにわざとらしくため息をついて、切られてないのを確認して話し始めた。

私「なんでうちの物件のことがわからないんですか?あなた方が売ったものですよね?」
男「あの、すいません物件名を教えてください」
またため息。
私「○○です」
男「場所はどちらでしょう?」
私「○○」
男「ああ、はい、わかりました。あそこは○○社さんの紹介のところですね」

続きます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?