セブンイレブンのおせち料理大作戦
セブンイレブンは10月から地獄になります。特に店長にとってはノルマの毎日です。
ヴォージョレーヌーヴォーから始まり、年賀状ハガキ予約、お歳暮、クリスマスケーキ。そして問題なのは「おせち料理」です。
セブンイレブンのおせち料理を一言でまとめると、
とにかく高い
です。
売るための戦略もほぼない。1回だけチラシをまいたことがあったが、まったく効果はありませんでした。
なので、セブンイレブンのおせち料理販売は基本的に無策です。
A4を半分にした大きさのカラーチラシを店内に置き、レジで接客しながら売り込むことぐらいです。
あとはおせちのイメージ模型みたいなものを店内に設置するぐらいで、OFCなどのSVやその上のマネージャーであるDMは、1店舗20件予約取れ!なんていうノルマを設定してきます。
最悪ですよね。
1個1万円以上もするおせちを、コンビニで買う馬鹿がいるのか?もはやコンビニで買う単価じゃないのに。
完全に逆行してます。
やるんであれば、ネット販売かと思います。
10月ぐらいにおせち試食をネットで購入してもらい、12月のおせち予約シーズンにメールやはがき、もしくは直接訪問で予約をとればいいのにと思ってしまいます。
私は、おせち料理のサンプルを発注し、届いた栗きんとんなどのおせちを小さくパック詰めにして、店から少し歩いた住宅エリアをターゲットにおせち料理の試食を配ることにしました。
やり方としては、ゼンリンの住宅地図をセブンイレブンでプリントして、
訪問したところ、試食を渡したところをその紙の地図に残していきます。
毎日夕方16時ぐらいから20時ぐらいまで。
季節は10月11月12月。
最初、始めてみるとあることに気づきます。それは、話を聞いてくれる人が意外に多いということです。
セブンイレブンの制服を着ていると、かなり高い確率でドアを開けてくれます。そしてちょっとだけ話を聞いてくれます。
以前、学生の頃アルバイトで訪問販売をしたことがありましたが、
それと比べると、
「ピンポーン、セブンイレブンですー」
というだけでかなりの確率でドアを開けてくれます。セブンイレブンの認知度の高さを感じましたが、なかなか注文がとれない。
夕方から夜にかけてどんどん寒くなってきます。
手もかじかんできて1件1件ピンポンを押しては、試食を渡す。そして次の日、おせちの売り込みに行く。せっかく試食の話がしっかりできたお家も、次の日、予約はどうします?とセールスをかけても結局「要りません」と言われてしまいます。試食を渡したときは、
「おいしく頂きますね!」
とか言っていたくせに。
センリンの住宅地図もだいぶチェックだらけになってきました。歩いて移動しているので、その地図もくちゃくちゃ。若干、体調を崩しながらも、とにかく1件1件試食とチラシを渡していきました。
そんな毎日をおせち予約終了の12月20日ぐらいまでやり抜きます。
もちろん店内でも大きなディスプレイを展開して、バイトやパートさんからお客さんに試食を渡してもらいながらお声掛けをしましたが、
この日までの予約数は0件。
そんな12月20日の最終日。
そんな私を不憫に思ってか、パートさんが
パート「店長、おせち料理予約しようか?」
私 「いえいえ、これはなんとか自力で取りたいです」
パート「そうねぇ~。でも買うかねぇ~」
なんて話をしながら、最後の試食を配りに行こうと準備をしていました。
そしたら、先ほどのパートさんが店長室に飛び込んできました。
パート「店長、おせち売れたよ!」
私 「まじかい?!」
パート「15,000円の高い方が!」
私 「おお、すげー」
そのお客さんは、私が試食配りをしていたエリアのお客さんでした。
ただオートロックマンションだったので試食配りはできず、やむなくチラシだけ投函したマンションでした。
しかも本部から発注したカラーチラシではなく、私のお手製のチラシでした。そのお手製チラシを手に来店してくださり、予約をしてくれたとのことでした。
お手製チラシで特に強調して書いたのは、「大みそかに配達します!」でした。お客さんも大みそかの夕方何時に持ってきてくれと念押ししたそうです。
味などではなく、配達という付加価値がお客さんに響いたんですね。
今から考えると、もともとおせち料理をつくろうとしていたが、時間的に忙しいから購入するニーズがあったのかもしれません。そう考えるともっとできることはあったのかもしれません。
ただ修行僧のようにチラシをポスティングしたり、試食を配りまくるよりは、頭をもっと使ってお客さんのニーズを探る。そのニーズにあった内容のチラシをタイミングよくポスティングする。これだけであと何件かは注文がきたのかもしれません。
なので、チラシに
「まだ間に合う!大みそかに配達します!曜日時間の指定可能!」
というキャッチコピーを前面に押したチラシをつくり、FAXで注文を受け付けられるようFAX注文フォームを裏面にプリント。そしてその日に、オートロックのマンションを狙って配りました。
その翌日、2件も注文FAXがきました。こういうことなんですね。商売って。
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