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「赤い疑惑」とピエール・カルダン【#5_ヒール役_長門裕之と原知佐子】2020年03月

コロナの最初の年2020年、緊急事態宣言下。
暇つぶしに見た昭和ドラマ「赤い疑惑」の衣装提供が世界的に有名なフランスのピエール・カルダンだったことに興味をそそられ綴ったテキトーな鑑賞日記。

5回目の今日は、大映ドラマにはお約束の、過剰にキャラ濃いヒール役、相良英治役の長門裕之と、その妻・多加子役の原知佐子について。

物語の重要な舞台のひとつ、東都大学医学部。
長門裕之演ずる相良英治は教授である。
若い頃、岸惠子演ずる大島理恵と愛し合っていたが、出世のために理恵を捨てて多加子と結婚、婿養子に入る。
しかしながら別れた女が忘れられず未練タラタラの英治。
自分を愛してくれない夫に苛立つ多加子。
愛のない夫婦、という設定である。

まず、英治(長門裕之)。
めっちゃ粘着質な性格。
そしてあらゆる状況でいちいち話をややこしくするタイプ。
自分都合で別れたくせに、10数年ぶりに再会した理恵(岸惠子)に再び惚れてしまう。
突然現れては「相変わらず美しい」だの「君を忘れたことはない」だの言ってヨリを戻そうとする。
とは言え、多加子と離婚すれば職を失うことになるので、あくまでも自分は安全エリアから出る気はない、どこまでも身勝手な男である。
バリバリに仕事がデキる女へと変貌した理恵は今さらそんなクソな男など眼中にないが、男のほうはまったく気づかず、調子に乗ってパリまで追いかけて行く呆れたストーカーぶり。

カルダン・コスチュームは、メインカラーが「茶色」。それに合わせてなのか、眼鏡のレンズにうっすら色がついていて、オシャレに見えないどころか、いたづらにキモさを強調している。
パリの老舗五つ星ホテル「ジョルジュ・サンク」のバーで、茶色いスーツ着て、茶色い酒飲みながら、茶色いレンズ越しにネチネチ口説くその姿に、ドラマであることを忘れて「キモいんだよ、このクソ野郎!」と怒りをぶちまけたのは私だけでなく、50年前のお茶の間の婦女子も同様だったろう。

左端は六角精児に、その横は八嶋智人に似てしまった(笑)。右端が一番近い。キモいでしょ?


そもそも、長門裕之と岸惠子が恋仲だったって設定に無理があるよなー、ビジュアル的に全然しっくりこないもんなー。

さて、次は、妻・多加子役の原知佐子。ヒロインをイビリまくるヒール役。
『なんたって18歳!』の十勝花子、『スチュワーデス物語』の片平なぎさ、『少女に何が起こったか』の石立鉄男etc⋯、大映ドラマではある意味、主役より重要な存在だ。

これでもかと大袈裟に表情を作り、分かり易く悪辣なセリフで、不治の病に冒されたいたいけな少女をいたぶるそのエキセントリックな芝居には、「やっぱ大映テレビはこうじゃなくっちゃね!」と安心感すら覚えた。

カルダンのコスチュームは、かなり攻めた感じの大胆なデザインが多用されている。
しかも、なかなか素敵に着こなしていることに驚く。
頭にスカーフを巻いたブルーのワンピースなどは、パリのマダムにも引けを取らないモードっぷりだ。

大きなアクセサリー、ターバン、大胆なプリント。オシャレだ。顔は常に怒っているが(笑)。


顔が小さく、首が細長く、身体は薄くて華奢・・・と、日本人にしてはかなり洋服が似合う体型というのもあるが、もともとオシャレの素地がある人なのだろうと思う。
このドラマを見なかったら、この人がこんなにオシャレな人だとは気づかなかったろう。意外な発見をさせてもらった。

さて、次回はいよいよ最終話、真打ち・岸惠子。
10ポーズ以上のコスチュームをご覧いただく。どうぞお楽しみに!

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