マナーの良い母娘

大きな声で楽しそうに歌っている女の子に、母親が伝えた。

「こら、静かにしないとだめでしょう。」

女の子は素直にそれに従おうとした。しかしすぐに彼女は、生きている以上音を断つことは出来ないことに気がついた。

そこで彼女は自ら命を断った。静かにしないといけないからだ。

彼女の骸を見ても母親は何も言わない。いや、言えなかった。

なぜなら母親もまた白骨化しているから。

2つの遺体が転がる空間に、ぬるい風が吹いた…

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