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マルジェラと私とガリアーノとタビ。

オレはずっと考えてたんだ
うまくいかなかった恋に
意味はあるのかって

羽海野チカ『ハチミツとクローバー』

大学生の時に恋をしていた彼は
とてもおしゃれな人だった。

マルジェラの店舗が日本にできたのが2000年。
であればオープンして数年位だったはずなのに。
彼は大学生のくせにミハラヤスヒロのスニーカーをはき、Dior Hommeの(に似た?)ジャケットを着て、マルジェラを語っていた。

当時仲間内でチャットをするのが流行っていて、
彼と私を含む友人数名で夜な夜な集まってチャットしていたのだけれども、
裏でマルジェラやDior Hommeのコレクションをチェックしていた。

私は自分の知らない世界を知っている彼のことが好きで、
破天荒なのに実は優しいところが好きだったのだけど、
まぁ呆気なく振られた。

でも彼の見ている世界を知りたくて覚えた
マルジェラやDior Homme(当時のデザイナーはジョンガリアーノ)は
今でも気になるブランドではある。

故に私がマルジェラのタビブーツが欲しい、MM6のジャパニーズトートが欲しいというのは、
あの叶わなかった恋に対する当てつけなのか、ただの執着なのではないかと、
怖くなる時がある。

というのも、私はこれと心に決めた物事については
とても執着する人間で(こだわりがないことは光の速さで忘れる)、
大学生の時に一目惚れした腕時計を昨年十数年越しにやっとお迎えしたし、
大昔の記憶がフラッシュバックして気分が悪くなる時もある。


が、ここまで書いて思う。

そんな十数年前のことなんてどうでもよくね??


別にその当時彼がタビブーツを履いていたわけでも、ジャパニーズトートを持っていたわけでもない。
そもそも彼とは大学卒業以来一度も会っていないし連絡もとっていない。
時々夢を見ることはあるけれど(それもちょっと自分怖い)、
肌の細胞は30日、全体の細胞も数年で入れ替わるならば、
あの頃の彼と、今の私は完全に別の人間だ。

であれば
これを履いた時に万が一街で偶然会ってしまったらどう思われるだろうか?
とか、
あの頃の自分をただ美談にしたいだけじゃないだろうか?
とか、
どうでもよくて

むしろ

今ファッションを全力で楽しんでご機嫌で歩いている私!!最高!!

位の強気な気持ちでいればいいんじゃなかろうか。

その靴を履いていたら誰かに否定をされるのか?
その鞄を持っていたら誰かに否定をされるのか?
そんなことはない。
否定をするとしたら頭の中にいる自分自身、だ。

そして、そうならないために、
たくさん試着して、比較検討して、自信がないから自問自答ガールズや旧知の友人にも一緒に来てもらって、何度も何度も何度も何度も考えてきたじゃないか。

そしてそれを履いたとき、どう思った?

ああ、ファッションて楽しい!!
って思ったんじゃなかったか?

私はあの頃の彼に振り向いて欲しかった大学生の私じゃない。
その後の人生で、色んなものを見て、色んな服を着て、色んな靴を履いて、色んな鞄を持って、たくさんのことを経験してきた今の私だ

他の誰でもない、自分のために、これからは道を歩いていきたい。

今ならわかる
意味はある
あったんだよ ここに

人生、何が生きてくるかわからないなぁ。
秋の風がふいたらお迎えに行こうと思います。

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