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クライアントが知っておくべき5つのこと

コミュニティ型コーチングスクール、CAM Japanのディレクターをしている、もときです。

僕が、コーチングのいいなと思うところの1つは、コンサルティングや、カウンセリング、メンタリングとの違いの1つとして、クライアントが自分で考え前進していくことを促す姿勢であり、コーチに依存させない「パートナー関係」作りです。

相手がエキスパートであり、相手の中に答えがある。まだ気づいていなかったり、言語化はできていないけど、本質的に人は、創造性と才知に溢れていて、欠けがない。そのことをクライアント自身に対して、時にはクライアント以上に信じ、全力で向き合い伴走する。

CAMのコーチングスクールでよく出る質問の1つとして、

コーチがいくら伴走するあり方を大切にしていても、クライアント側が、自分で走らず、コーチに答えを求めてきたり、パートナー関係で進むという価値観を理解していなかったらどうするんですか?

という問いです。

そんな問いにも答えてくれる、CAMの代表であるChad Hallの記事を見つけたので、今日は丸々翻訳しようと思います!(いつもは抜粋して、コメントをするのですが)良い記事です。一緒に学んでいきましょう!

ここからはChadの記事です。

私が思う、人生で一番大切な気づきの1つは、「苛立ちは期待値と現実の差である」ということ。

初めてこのことを思ったのは、私がポジティブ心理学と人の成功についての修士論文を書いていた時のことでした。リサーチの過程でよくあることが、一番幸せな国について調べることです。オランダや北欧の国々がよく挙げられますが、なぜでしょう?それは、彼らが楽観的な価値観を持っているからではなく、彼らの期待値が低いことだと言われます。彼らは、物事が簡単に進むとは思っていなく、物事が大変になっても大丈夫と思い、幸せであり続けることができるのです。

この気づきは、私の子育ての中でも有益でした。子供が十代の頃、自分の子供に対する期待値や理想を、十代の子供たちの思考や感覚、行動を理解した上で、現実的なところまで下げることを学びました。そして、自分の期待値を子供たちに共有することで、彼らが態度を変えていけるようにサポートしました。彼らの態度が変わると、理想も下がってきて、その差が埋められ、苛立ちが減少します。

この気づきは、私のコーチングにも影響を与えました。コーチングを始めた頃は、クライアントは皆、高い熱量を持ってコーチングのパートナー関係を求めてくると思っていました。しかし、多くの場合は、自分の期待値のようなクライアントらしく振る舞ってくれないクライアントに苛立ちを感じてしまっていました。彼らは、私から答えを得ようとしていました。コーチングの問いに対して「わからない」と答えてきました。他にも様々なことがありますが、自分が期待していたほど、彼らはコーチング的関わり方を求めていませんでした。

苛立ちを減らすためには、期待値と現実の差を小さくする必要がありました。この差を減らすには、両サイドからのアプローチが必要です。単純に期待値を下げることは、コーチングの関係性の価値を下げることにつながりがちなので、解決策とは言えません。しかし、相手が自分の期待値に近づくために、相手を変えていこうと思うことは、もちろん間違っています。クライアントの態度を完全に変えることはできないけれど、自分にできることはある。そんな思いから、これからお話しする「クライアントが知っておくべき5つのこと」を人々と共有し始めました。

クライアントは、質問をされること自体に驚くことはないけれど、新たな気づきを促す質問をされることに対してどのように返答していいのかがわからないことがあります。私のクライアントの多くは、すでに答えがある質問や、「正しい」回答が存在する質問をされると考えていますが、新たな気づきを促す質問をされるとは考えていません。そのため、気づきを促す質問は、正しい回答がなされるまで、彼らの思考の整理をしていくためのものではなく、彼らが考えることや、生み出すことを促すためのものであることを説明します。クライアントが、気づきを促す質問をされると理解していない時、彼らは、私(コーチ)が状況を理解するために説明をし続けていきます。しかし、気づきを促す質問をされると知っている時、彼自身のうちで生まれる新たな気づきに焦点を当て、回答をしていきます。

新たな気づきを促す質問や他のコーチングのスキルは、クライアントがコーチングの過程に全力で向き合うことを必要とします。脳を働かせることはとってもカロリーを消費し、深く考えることは多くのエネルギーを使います。クライアントが、コーチングの過程を公園での散歩のようなイメージで持っていたら、突然ロッククライミングを要求された時に拒否してしまいますが、コーチングプロセスの中で、クライアントの本気度がそのまま結果へと繋がることを予め伝えておく時、クライアント自身がコーチングの過程に全力で向き合う心の準備が整った上で、共通認識をもってコーチングにのぞむことができます。

人から好かれることや、ものごとを穏便に済ませたい私は、この項目はあまり好きではないのですが、コーチングの中で、クライアントの可能性を最大限に引き出すためには、心地よくない状況から目を背けないことが大切です。クライアントに、コーチングの過程に全力で向き合う時、心地よくない状況や、気まずい状況にも立ち向かっていくことが必要であることを伝え、コーチがクライアントを押し出すことは、嫌がらせをするためではないことを知っておいてもらうことが大切です。

コーチングは、日常会話より遥かに意図的で、高い集中力を必要とします。多くの会話は、自然と生まれ、自然と流れていきますが、コーチングの対話は、クライアントにとって大切なことに焦点を当てます。クライアントが意識して集中力を保たなければ、コーチングの可能性が大きく削がれてしまいます。しかし、クライアントが集中力を保ち続ける時、コーチとクライアントの間でパートナー関係が築きあげられ、コーチングの対話が効率よくなされていきます。

コーチとして、良い対話をするだけではいけません。私たちは対話を通して変化を生み出していくことを求められています。変化が大切です。対話を通して、自身が変化していくことの必要性をよく理解しているクライアントと、対話自体が目的であると考えているクライアントが、コーチングを通して得る価値には、大きな差があります。私は、コーチングの対話が豊かになるために、クライアント自身が変化していく必要性をクライアントに知っておいてもらうことを大切にしています。

最後に、コーチ自身が知っておく必要があることは、コーチングの受け方をクライアントに伝えていくことは、コーチの責任であること。コーチングの受け方を初めから知っている人は誰1人としていません。そのため、そのことを伝えていくことは、コーチに任されていることです。

クライアントが知っておくべき5つのことを伝えることで、コーチングの対話がより有意義なものとなり、クライアントの可能性が最大限に引き出されるため、より良いパートナー関係が築き上げられていきます。そして、私の苛立ち度が下がり、コーチングの可能性が上がります。

あなたはどうでしょう?あなたは、どのようなことをクライアントに知っておいて欲しいと思いますか?

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