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警察学校最終回。午前中までは警察学校生だったのが、午後には110番の最前線へ。

卒業式の後、警察学校で昼食を取ったらすぐに配属先の警察署に向かいます。

遅くても14時くらいには警察署に着きます。


署に着いたらまずは地域課に行きます。

地域課の部屋に入ると、すぐに聞こえてきたのが「無線」でした。

地域課の真ん中には大きな無線機器があり、そこから途切れることなく無線通話が流れていました。
「交通物損事故の通報」「車上狙い発生の通報」「PC1現場に向かいます」・・・・

流れ続ける無線を聞いて「本当に現場の最前線に来てしまったんだ」と実感しました。

「本当にやっていけるんだろうか」という不安な気持ちも強くなります。
一方で「今まで学んできたことを生かしてやってやるぞ」という気持ちも沸いてきます。

地域課の担当者に色々指示を受けます。
頭がスキンヘッドの50歳を過ぎた貫禄のある警部補でした。
警察学校から署に来るまでの車内から一緒で、刑事経歴の長い人だと聞いていました。

荷物を置くと、署長や地域課長への着任の申告などから始まりました。

周りには知っている人は誰もいません。

本当に心細い。
各地に散って行った同期たちもきっと同じ気持ちでいるでしょう。

警察は縦社会で上下関係が厳しいところです。
警察署にいるすべての人たちが恐そうに見えます。

地域課から署長室に行くまでの間もすべてが初めてです。

署長室の前に着くと、地域課長や警務課長などの幹部が部屋の入口に待っていました。

服装の確認が行われ、警務課長がドアの外から署長室の中に向かって「では署長お願いします」

中から「はいよ」

先に、地域課長や警務課長が入ります。

その後で私達に入るよう言われました。
「入ります!!」と警察学校で教わった通りのボリューム、言い方で入っていきました。

署長はどんな人なのか、どんなことを言われるのか。

署長室は大きい部屋でした。

署長の執務用の机の他に、応接用のソファやテーブル、さらに無線機もあって常に無線が聞こえているようでした。

出入口ドアから署長のデスクまで結構長い距離。

コチコチに緊張しながらデスクの前まで歩きました。

初めて署長と対面しました。

向こうは署員のトップ、こっちは署員の最底辺です

着任申告は警察学校と同じようなやり方でした。

署長から言われたことは
「早く仕事を覚えること」
「慣れるまでは大変だろうから、困ったことや悩みはすぐに相談すること」
「早く戦力なってくれるよう期待している」
といったようなことでした。

署長申告が終わると、各課への挨拶回りが始まりました。

交通課、刑事課、生活安全課など一通り回ります。

どの課もとても入りずらい雰囲気の入り口です。一人だったら絶対に入れません。

スキンヘッド警部補がでかい声で「すいませーん。卒配来たんで皆さん挨拶いいですか?」

課の人たちが一斉にこちらを向きます。

刑事課や生活安全課などは私服捜査員というだけで、なんだか貫禄を感じます。

とりあえず私にできることは警察学校で洗脳されたでかい声での挨拶だけです。
「よろしくお願いします!!」と唯一できることをします。

「誰でもあういう時期があったんだよね」と言っているのが聞こえました。

各課への挨拶だけで結構な時間が掛かります。

この日は業務的なことはほとんどできません。
というのも、この日は職場異動の日でもあると同時に、引っ越しの日でもあるのです。

警察学校から運んできた全ての私物。制服も含めた大量の衣類、教科書などの大量の書籍やプリント、生活日常品、布団まで大量の物があります。段ボール10箱くらいあります。

これを独身寮に運び入れて、荷解きと整理をしなくてはなりません。

いくら荷物が少ないとはいえ、引っ越しの荷解きを半日でやるのはかなり厳しいです。

しかし独身寮に荷物とともに到着するのは夕方頃です。

この独身寮も初めて入るところです。
事前に物件の内覧などしていません。

さらに寮によっては、いきなり先輩職員と相部屋になることもあります。

寮に着いた頃にはもうヘトヘトでした。

自分の部屋を案内され、車から段ボールを運びます。
とりあえず自分の部屋に自分の荷物が入りました。

しかし衣装ケースも収納グッズも何もありません。
とにかく荷物を段ボールから出していきました。

荷物が片付く前に疲れて疲れてヘトヘトでした。

お腹も空いていますが、食事をしようにもどうしていいかわかりません。
近くに食事を取れるところがあるのか何もわかりません。

お風呂はどうすればいいのかわかりません。

寮内を歩いていれば他の寮生に会います。全て自分より先輩です。
私を見て「誰だ?見ない顔だな」という表情の人もいます。

とりあえずは警察学校とまったく同じ要領で「お疲れさまです!」と非常識な大ボリューム挨拶を食らわします。
それだけで向こうは「あぁ新しい卒配か」と気が付きます。

人と会うと面倒なのであまり寮内をうろつきたくなくなります。

とりあえず何か食べたい。
周囲が何もわからないままとりあず外に出てみます。
今みたいにスマホでグーグルマップなんてありませんでした。

ラッキーなことに歩いて数分のところにコンビニが見つかりました。
さらにその先徒歩3分くらいのところに牛丼チェーン店もありました。

とりあえずその日は牛丼特盛を食べたような記憶があります。

明日はもちろん署に出勤です。

しかも、卒配生には特に大変なことがあるのです。

それは朝の掃除です。
誰よりも早く出勤して、先輩・上司たちが来る前に地域課の掃除を終わらせておかなくてはいけないのです。

ということは、出勤時間はかなり早いということです。

初日から数日だけは私たちにもっとも近い先輩たちが一緒に行ってくれます。
朝6時00分には寮を出発とのことでした。
寮から署までは15分くらいなのに、ずいぶん早いなあと思いながら、「よろしくお願いします」となります。

本来の勤務開始時間は8時半のはずなのに、6時半前には行かなくてはいけないようです。
まさに超ブラック企業の典型ですね。

先輩からの指示を受けて部屋にもどると、まだまだ荷物は段ボールの中です。
着替え、歯ブラシ、布団、何をやるにしてもいちいち段ボールから探して取り出さなければいけません。

少しでも荷物を整理したいところですが、もう本当にヘトヘトです。

布団を出して、なんとか歯磨きだけして寝てしまいました。

明日からのことを考えると不安で憂鬱です。

昨夜まで慣れた警察学校の寮で寝ていたのが、なんだか遠い昔のことのようでした。

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