警察学校のお風呂はどんな訓練よりも厳しい鍛錬だった

警察学校のお風呂はもちろん共同風呂です。

 入校者が多い時期などは何百人という人が利用します。

 さらに、風呂に入ることができる時間帯も決められています。

、確か19時~21時の2時間くらいしかないのです。

 そのため、お風呂はものすごい混雑します。

 風呂の入り口ドアを開けると、そこはいつも裸の男たちがぎゅうぎゅう詰めでした。


共同風呂はドアを開けると、広い脱衣所があります

画像1

じっとりと湿った空気の中で、溢れかえった裸の男たちが、談笑したり着替えたりしています。

その間をすり抜けて移動するわけですが、この移動が一筋縄でいかない。

床がビチョビチョに濡れています。

所々濡れているというレベルではありません。バケツで水をまいたとかというくらいのビチョビチョです。

一歩足を踏み入れれば、生ぬるい液体ですぐに足の裏がウェットになります。
いろんな病原菌がたっぷり含まれていそうな液体です。


私はこういうの結構ダメな方なんです。この液体が足裏についいただけで、自分の足が病原菌に汚染される感覚を持ってしまう。

ではどうやって移動するのか。 

床に設置する面積を限界まで最小限に抑えるのです。

そのため脱衣所を移動するときはいつも踵だけで歩いていました。つま先はいつでも天井に向かったままです。

それを見ていた仲間たちからは「気にし過ぎじゃない?」と言われましたが、気になるモノは気になるんだから仕方ありません。

服を脱いだり着たりするときも、常に踵だけで立ちます。
特に下衣を脱いだり着たりする時はバランスを取るのが大変でした。

脱衣所から風呂に入るドアの前には足ふきマットがいつも置いてあります。


この足ふきマットも、ただの足ふきマットではありません。

もし一歩でも足を踏み入れようものなら、たっぷり水を含んだスポンジのように「グシュ!」とたっぷり水が噴き出してきます。

画像2

足ふきマットではなく、・・・なんでしょう、いいネーミングが思い浮かびません。

そもそもこの足ふきマットが機能していれば、本当なら脱衣所の床はあそこまでビショビショにならないはずです。

存在意義がありません。

足ふきマットを踏まないように慎重にまたいで、ようやくお風呂の中に辿り着きました。


立ち込める湯気の中に、やはり裸の男たちが溢れかえっています。

ものすごい数です。

シャワーは常に行列待ち。

それをみてうんざりしながら湯船の方を見ると、完全に定員オーバーで溢れかえっている。

中にはお湯をかけあってなんとも楽しそうにしている人たちも。
なんて微笑ましい光景でしょう。

風呂に入ってきてまだ何もしていませんが、このまますぐに出ていきたい気持ちになります。

しかし日中の訓練やらトレーニングやらで体は汗でベタベタです。

やはりさっぱりきれいに洗いたい。

シャワーの行列に並びます。

 
平均で3~5人くらいの列がすべてのシャワーの前にできています。

頭の中を「無」の状態に持っていき、裸の男の後ろ姿を見ながら順番を待ちます。

一人当たり平均で3分、長い者だと5分以上も場合も。合計で10分は待ちます。

少しずつ列は進みようやく自分の番に。

シャワーが設置されてる壁面の床には、壁に沿って排水のための溝があります。

汚水は風呂の角に集められて流れいくようになっているのですが、ここがいつも水が詰まっている。

恐ろしい量の髪の毛が網状の蓋に絡みついているからです。

画像4

風呂の角にある排水溝付近にはいつも汚水池ができていました。

ゴール地点の流れが悪いため、シャワーの前の溝も常に水が溢れかえっている。

隣が大量に水を流していると、時々その排水の溝から私の足元に排水が押し寄せてくるのです。

そのため、椅子に座ってはいるのですが、常に足は床に着かないように上げている必要があります。

床から足を上げ続けながら数分間体を洗うのは中々しんどい。

このおかげで、太ももの裏の筋肉が強化されました。

なるべく上流側のシャワーに並ぶようになりました。

下流にいくほど、排水溝から溢れる水は多くなるので。

こうしてようやく体をきれいに洗うところまで辿り着きました。

限界まで設置面積を抑え、しかもできるだけスピーディーに服を着てお風呂から離脱します。

まぁ、こんな感じで私にとって警察学校のお風呂は毎日大変でした。

でもこれは私の性格のせいでもあります。

 
こういう環境が平気な人なら、私とは全然ちがう時間になります。
 
仲のいい仲間同士でワイワイいって楽しく話しながら風呂を過ごす人たちもいました。

 
 ただ、ある時期おそらくこの風呂場が原因で水虫が大流行した時がありました。
 かなりたくさんの人が感染してました。

 原因は風呂場で間違いないだろうと言われてて、その時はほんとにお風呂に行くのが嫌でした。
 
 しかし、私が入校してた時期は冬だったので、寮の水道で済ますこともできません。(夏でも無理だとは思いますが・・・)

 気にしない人は全然普通に入ってましたが、そういうのを気にしてしまう私はどうしたら絶対に感染を防いで風呂に入れるか考えました。

 そしてとった対策は、アルコール消毒スプレーを持っていくことでした。

 あれを風呂に持って行って、まずサンダルを脱いで脱衣所に入るところで、足の指や裏に大量にスプレーする。
 
 そのまま風呂に入って、風呂から出て体を拭きながらまた足裏に大量にスプレー。踵だけで歩きなんとか入口まで行きサンダルを履いて、寮まで辿りついたら、寮の水道で石鹸で足裏や指を洗う。
 
 これを毎回おこなってました。

 十日間でアルコール消毒スプレーがなくなるくらい大量消費してました。
 
 これだけやったおかげかどうかわかりませんが、私は感染することはありませんでした。
 
 
 しかしこれを一度始めてしまうと、水虫流行期間が終わっても気になってやめることができなくなり、結局卒業までこの消毒を続けてしまいました。

 元々家の風呂や温泉は好きで、リラックスしたり考え事したりする大切な時間だったのですが、警察学校でのお風呂はそういう時間にはできませんでした。
 
 集団生活のほとんどは楽しめる私でしたが、その中でダメだったのがこのお風呂でした。

 私と同じような方は、集団風呂に苦労することもあると思います。
 みんなでワイワイ楽しめる人は楽しめると思いますよ。

ここから先は

0字

このマガジンは↓こういった人たちに役に立つものです ・警察官になりたいけど、警察学校はすごく厳しいと聞いたことがあるから不安 ・家族や恋人…

いただいたサポートは、今後の情報発信のために活用させていただきます。どうかよろしくお願いします