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【書籍紹介】ティール組織 フレデリック・ラルー著 その2

前回の記事は、こちらから。

前回、ティール組織を構成する3要素をご紹介しました。

  • セルフマネジメント(自主経営)

  • ホールネス(全体性)

  • エボリューショナリーパーパス(存在目的)

本書では、ティール組織として運営されている12社の具体的な事例が紹介されています。ティール組織とは「これに合致する組織がティールですよ。こうしたティール組織ができますよ」という定義書やマニュアルがある訳ではありません。

※ティール組織の一形態であるホラクラシーに関しては「ホラクラシー憲法」として明文化され、細かい手続きもすべてマニュアル化され、誰でも導入できる様にパッケージ化されています。

各社、辿った道は様々ですが、既存の組織形態に限界や不満を感じているリーダー達が、自分の信念に基づき、理想を追求してきた結果、多くの共通点を持つ、似た組織形態に辿り着いたというのが興味深いです。

そのエッセンスが「自主経営」「全体性」「存在目的」となるのですが、もう少し解像度を上げて解説された箇所があるので、ご紹介します。

1.自主経営

■信頼

  • お互いに好意的な意図を持った存在として親しみを感じる。

  • 自分たちが間違っていることがはっきりするまで、同僚を信頼することが、組織に関わる際の前提条件である。

  • 自由と説明責任はコインの表裏である。

■情報と意思決定

  • すべての情報はあらゆる人に開放されている。

  • 扱いの難しい事件が起こっても、誰もが冷静に対処できる。

  • 集団的知性の力を信じている。全員で出し合う知恵に勝るものはない。従って、すべての意思決定は助言プロセスを通じて行われる。

■責任と説明責任

  • 一人一人が、組織の為に完全に責任を持つ。対処すべき問題を感じた時には、行動する責任を負う。問題意識を自分の役割の範囲にとどめることは認められない。

  • フィードバックや、経緯を持った指摘を通じて、だれもが安心してお互いに説明責任を問うことができなければならない。

2.全体性

■新しい価値

  • だれもが本質的には、等しく価値ある存在だ。

  • 同時に、すべてのメンバーがそれぞれの役割や教育、生まれ育った背景、興味、スキル、性格、物の見方の違いを尊重し合って、自分なりのやり方で貢献できるようになれば、組織のコミュニティーは最も豊かになるだろう。

■安全で思いやりのある職場

  • どのような状況であっても、恐れと分離の精神で対処することも、愛と絆に基づいてアプローチすることもできる。私たちは、愛とつながりを選択する。

  • 私たちは誰もが自分らしくふるまえるような、感情的にも、精神的にも安全な環境を作り出そうとしている。

  • 愛、思いやり、資質、感謝、好奇心、楽しみ、陽気さといった気分や雰囲気を尊重する。

  • 職場の中で、思いやり、愛情、奉仕、目的、魂といった語彙を抵抗なく使える。

■分離を克服する

  • それぞれの人のすべての部分を尊重できる職場を目指している。認知的にも、物理的にも、感情的にも、心理的にも。また、理性的にも直感的にも。そして、女性的にも男性的にも。

  • 私たちは、互いに深く結びついた、自然とあらゆる生命体を含む大きな全体の一部だということを認識している。

■学び

  • あらゆる問題は、学びと成長を促すヒントである。いついかなるときでも学習者になる。「これで終わりということは絶対にない」。

  • 目的に向かって大胆に努力し続ければ、常に失敗はあり得る。失敗についてオープンに語り、そこから学んでいく。失敗を隠したり、無視したりすることは受け入れられない。

  • フィードバックと経緯を失わない対立は、お互いの成長を支えるために与え合う贈り物である。

  • 弱みよりも強みに、問題よりも機会に注目する。

■人間関係の構築と対立

  • 他者を変えることは不可能だ。しかし、自分自身を変えることはできる。

  • 思想、信念、言葉、行動は自分のものである。

  • 噂を広めない。陰口を叩かない。

  • 意見が一致しないときには当事者同士で解決を図り、他の人々を巻き込まない。

  • 問題の責任を他人になすりつけない。誰かを非難したくなったら、自分たちがどのようにその問題の一部となっているかを振り返る良い機会ととらえる。

3.存在目的

■集団としての目的

  • 組織にはそれ自体、魂と愛があると考える。

  • 組織がどこに行きたいのかに耳を傾け、無理に方向を決めようとしないよう気をつけなければならない。

■個人の目的/使命感

  • 私たちは、自分の使命が組織の存在目的と共鳴するのか、そしてどのように共鳴するのかを見極めるために、自分の心の声に耳を傾ける義務を、自分自身だけでなく組織に対して負っている。

  • 自分の役割に対して、自分のエゴではなく、魂を吹き込む。

■将来を計画する

  • 未来を予測し、統制しようとすることは無駄である。予測は、具体的な判断をしなければならないときに限られる。

  • 統制しようとするのではなく、単にその場その場の状況を感じ取り、対応することにすれば、すべてのことが見事に見えるようになるだろう。

■利益

  • 長期的には、存在目的と利益の間にはトレードオフは存在しない。私たちが存在目的の達成に向けて精一杯努力すれば、利益はついてくるはずである。

本書の中でも紹介されていますが、有名なマクレガーの「X理論・Y理論」。徹底的にY理論に貫かれていて、それを実証し、組織として確立したのがティール組織。

  • X理論:人間は本来仕事をするのが嫌いであり、強制や命令がないと働かないと捉える。

  • Y理論:仕事をするのは人間の本性であり、自ら設定した目標に対しては、その報酬により積極的に働くと捉える。

前回の記事で、「DAOってティール組織だ」と気づいたという投稿をしたところ、まさに同じ日にNinja DAO創設者イケハヤ氏が「Ninja DAOはティール組織だよね」という放送をされていました。

Ninja DAOには「4つのクレド(行動指針)」が掲げられています

  • クリエイターの可能性を信じよう。

  • 失敗を歓迎し、成功をみんなで喜ぼう。

  • 他人にやさしく、自分にもやさしく。

  • マイノリティーでいよう。

実に、ティール的ですよね。「クリエイターの可能性」は、すべての職業人はクリエイターである(自らの担当領域の)と読み替える。「マイノリティーでいよう」は、今の日本の職場ではマイノリティーが受容されにくいという前提でのスローガンと思うので、「マイノリティーでありことを意識しなくて良い」組織がティール組織であると。

「DAOで働くとは?」と言われても、中々、イメージできないですよね。先日、実施された「Ninja DAOカンファレンス」での発表「DAO活~Web3時代の新しい働き方~」 by おもちさんがわかりやすいのでご紹介させて頂きます。

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