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「ソーシャルビジネスは儲からない」は先入観に過ぎない

先日、住友商事さんが運営するMirai Lab Paletteでとある講演を聴講しました。ボーダレスジャパン鈴木副社長によるソーシャルビジネスの事例紹介。

正直に告白しますと、私自身、物凄くソーシャルビジネスに興味があった訳ではないです。よく利用させて頂いているパレットさんの企画なのでという軽い気持ちで参加しました。

期待値が低かった分、内容が衝撃的でした。私を含め多くの方が「ソーシャルビジネスは儲からない」「寄付金と助成金頼り」というイメージを持っているのではないでしょうか?

ボーダレスジャパンは、その既成概念をぶち破ってくれました。「社会問題をビジネスで解決する」を標榜し、それをガチで実践している会社。

まず、解決したい課題をソーシャルコンセプトとして設定。次に、それがビジネスとして成立する様なビジネスモデルを考える。目指す指標は利益の最大化ではなくソーシャルインパクト。事前に設計した「社会にどれだけ貢献したか」の指標。

これだと抽象的過ぎるので、具体例をご紹介します。AMOMAというオーガニックハーブティ事業。

解決したい課題はミャンマーの貧しい農家が安定収入を得て自立した生活ができる状態にすること。

その課題を解決する為に「農薬による健康被害を防ぎ、化学肥料に頼らない低コスト農業を実現すべく、生命力の強いハーブのオーガニック栽培への切り替えを提案。収穫したものは全量買取保証する」

買取金額も、市場価格ではなく原価に農家に必要な生活費を載せた金額。

市場価格と買取価格の差に相当する金額を寄付や助成金で埋めるというのが一般的なソーシャルビジネスの考え方。

ボーダレスジャパンはさにあらず。高い原価でも利益が出る様に付加価値をつけて高く売るという発想。

単体ハーブでは価値づけが困難。独自のハーブブレンドで差別化を行う。ただし、薬ではないので効果の点では薬に敵わない。そこで、薬が飲めない人を狙おうと考え、授乳中のママをターゲットにしたとのことです。

サプリメント事業経験者ならおわかりですが、薬機法の縛りがあり、実質的に効果・効能は謳えません。それでは、どうしたか?

助産婦さんに徹底的にアプローチをかけて、そこからクチコミで伝えていったとのこと。

AMOMAのケースでは、「同社の買い上げにより生計を立てている農家の数」をソーシャルインパクトとして設定。

というのが一連の流れ。

お気づきかと思いますが、「解決すべき社会課題を設定する」という部分もさることながら、それ以上に「持続可能な収益を生み出す事業として構築する」という部分が最大の難所。

逆に言うと、ソーシャルビジネスを設計できる様になれば、「単に儲かれば良いビジネス」など簡単に設計できるとも言えます。

ソーシャルビジネスの実践を通じてビジネスの実力を育む。というプログラムに大きな需要があるのでは?

と思ったら、ボーダレスジャパンは既に展開していました。

ボーダレスアカデミーという社会起業家養成講座に加え、HOPEプロジェクトという大企業からの出向受け入れプロジェクトを展開されています。

加えて社会起業家に立ち上げ資金を提供したり、事業運営に必要なアドバイザリーを行うという仕組みもビルトインされています。詳しくは田口代表のインタビュー記事、あるいは書籍をご覧ください。






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