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【書籍紹介】スタートアップ芸人 森武司 箸

著者の森武司さんは、高校卒業後、お笑い芸人を目指しNSC(吉本総合芸術学院)に入学。一定の評価を得たもののプロとしてやっていく自信は持てず、お笑い芸人は断念。その後、4年間のニート生活を経て起業。現在、年商146億円の企業を率いている。

著者は、ニート生活の後、ヤマダデンキに就職。そこで芸人トークを活かしてトップセールスとなった。その後、ヤマダデンキから型落ち品を安く仕入れてAmazonで販売するせどりビジネスを起業。仕入先をヤマダデンキ以外の家電量販店にも広げ、古巣のヤマダデンキを脅かす存在に成長。その後、ECモールでの販売ノウハウを活かして化粧品通販に事業拡大。

更に、人材派遣業、広告事業、コンサルティング等、一見、脈略のない領域に事業拡大。

その秘密は「仲間力」。「仲間力アップマル秘マニュアル」と称し、「6大奥義」として紹介。

  • 仲間を集める

  • 仲間を見極める

  • 仲間を成長させる

  • 仲間との絆を深める

  • 顧客を仲間にする

  • 取引先を仲間にする

仲間力=仲間をつくる力が強ければ、どんなビジネスでも成功する。これからの時代、仲間力はビジネススキルとして強力な武器となる。

私は、消費財メーカー勤務なので、その常識からすると家電から化粧品へのピボットという発想は出てこない。全く技術的なシナジーがないからだ。そもそも、販売チャネルに関するノウハウだけで、いきなり未経験の製造業を立ち上げるというのは無謀と感じる。

結局、なぜこれが可能かと言うと、化粧品ビジネスに詳しい人を探す→全力で口説く→採用し、部門の人材採用も含めた全権を委任する。雇われた側は、森さんから全幅の信頼を得ている為、それに報いる為に全力を尽くす。

そこから先は、人づてで優秀な人財を探す→全力で口説く→その人が得意としていることを新事業として立ち上げる。とまるで投資会社の様に事業領域を拡大。

最強の採用戦略は、社長と内定者、または社長・役員と内定者でおいしいお店に行って上座に座ってもらい、率直に「どうしてもあなたに入ってほしい」と伝えることだ。これはシンプルかつ効果検証済のノウハウだ。

口説き方の実例。

多くの企業は「報酬がタネ」だと思っているが、大きな誤解だ。僕らが中嶋の胸の真ん中に埋めたワクワクのタネはこうだ。「CFOとして会社のあらゆる無駄を省いてほしい。11事業のお金の使い方を整理したら、たぶん埋蔵金が5000万円とか1億円出てくる。それがあなたに一番やってほしいことだ。そして、僕らは今、120億円企業だけど、本気で1兆円企業を目指している。その資金調達と財務をすべて任せたい」

いきなりの転職が難しい場合は、最初、週1の顧問として契約。その後、森さんの魅力や企業カルチャーに惹かれ、週一が週3になり、最終的には転職となる。

僕らの奥義は、顧問紹介・顧問派遣サービスに登録している若手と1か月だけ契約することだ。常時10人くらいと契約し、1か月一緒に仕事をして「この人はいい」となったら、3か月、半年と契約延長する。この間に、能力、情熱、人間性を見極め、「この人と仲間になりたい」と思ったら、顧問紹介会社から了承をもらったうえで人材紹介料を払い、ヘッドハンティングする。

これが失敗しない採用の奥義で、11事業すべてがうまく行ってる秘訣だ。1年くらいかけて価値観を見て、「仲間になってほしい」と思えたら、正社員として同じ船に乗ってもらいたいと勧誘するのだ。

また、成功を収め、金銭的に「上がり」の方の場合、報酬よりも、「どれだけ自分を必要としているか」「どれだけ熱意を持って口説くか」が重要であったりする。その結果、下記のようなことも実際に起きている。

「うちの役員は年収1,800万円が最高額です。社外取だと半分くらいでも問題ないですか?」「そんなに必要ない。月10万円でいいよ。時間の許す限りできることはなんでもするので、いつでも聞きたいこと聞いて」

逆に気になった点は、何かあれば会食・飲み会で解決。社員旅行(強制ではない)がインセンティブという昭和ノリ。皆で温泉やサウナに入り、裸の付き合いで親交を深める仲良しボーイズクラブ。役員も男性しか居ない様ですし、書籍でも女性の話は奥さんくらいしか出て来ません。

社長個人の人間力に負うところが大きく、どの程度再現性があるのかは未知数ですが、こういう事業展開もあるのかと参考になりました。

いつもお読み頂きありがとうございます。サポート励みになります。皆さまとの交流をどんどん広げていければと思います。