旦那の匂い

※引き続きラブラブ鬱陶しい駄文ですのでスルー推奨ですすいませんすいませんすいません



旦那は、臭い。ワキガではないものの、加齢臭と男臭の混ざった匂いがする。

つい2ヶ月前まで、旦那の匂いが大嫌いだった。帰宅と同時にムアッと湧き上がる不愉快な匂い。酸化したサラダ油のような匂い。これは加齢だけが原因ではない、肉食過多とアルコール摂取、喫煙も影響しているに違いない。

このまま放置して会社に行かせるのは嫁として許しがたい。旦那の職場の人達から煙たがられていたらたまらない。だから、入浴時には加齢臭対策として柿渋石鹸を使わせたり、洗濯にはセフターという洗濯洗剤(コープで販売している。個人的に匂いがよく落ちると感じている)を使用してきた。それでも匂いは完全に払拭できない。ただ、使わないよりはマシだ。

そんなこんなで旦那の匂いと格闘してきた。しかし、不思議なことにここ1ヶ月は嫌いではなくなった。旦那がワクチンを2回打ち、もういつ死んでもおかしくないと思うと、愛しくて切ないからだろう。この匂いを嗅ぐと心が安らぐ。ホッとする。

午後11時半という時間帯は、1日のうちで旦那の匂いのピークだ。帰宅して夕食を食べてリビングでゴロ寝する時間であり、柿渋石鹸もセフターもとっくに無効化してしまった。入浴もしていないから、匂いはより濃縮されている。そんな臭い旦那に貼りつきにいくのはスリルがあり、なかなか楽しい。漫画ドラゴンボールでいうところ、天下一武道会でバクテリアン選手との戦いに挑むようなワクワク感だ。


↑バクテリアン選手



ウトウトしていたい旦那は無抵抗である。飼い犬が飼い主に向かって舌を出し、ハァハァいいながら寄っていく氣持ちが分かる。旦那は私だけの、楽しいオモチャだ。


私はまず、仰向けになっている旦那の顔を点検する。それから瞼や眉毛、鼻、頬、おでこと確認していく。フガフガしながらどこが1番臭いのかまじまじと観察すると、鼻が臭かった。ここからは得体の知れないベトベトが算出されている。油田のようなエリアだ。酸化したサラダ油なんて可愛いものではない。車の潤滑油のような、それが酸化して埃が付着したような、結構な破壊力を擁した匂いがしている。

さらに、下は下へと辿って旦那の上半身の匂いも点検する。首、胸、腹。ちん🍄こは元々臭いからわざわざ嗅がない。首筋と、胸骨のあたり。そして、脇の下がヤバかった。

それぞれを嗅ぐたびに「臭いです」「緊急事態です」と言い続けること30分。拷問に耐えかねて私の鼻が曲がりかけていた頃、旦那はムニャムニャ言いながら、シャワーを浴びに行った。旦那が戻ってくるまで、私はいつものようにテトリスをしながら待つ。まだかな。早く出てこないかな。

出てきた直後の旦那は、実に可憐で良い香りがしている。がりがりに痩せていて、毛むくじゃらのおっさんのくせに、髪からはクラシエのシャンプー「ヒマワリ」の優しく愛らしい香りを、体からは柿渋石鹸の清涼な香りを放っている。

女子力1000%の香りに包まれた旦那があぐらをかき、ビールを飲みはじめた。そこに私も寝転がり、旦那の太ももを枕にする。私の鼻も「やっと拷問がなくなった」と安堵しているのが分かる。

さあ、臭がって遊ぶ時間は終わった。夜も更けたし、この後はチュウしてもらう時間だ。