妖精の仕業か

私は妖精に会ったことがある。正確に言うと、彼らの姿は見たことがない。彼らの「仕業」を何回か見たことがある。

1つ目は、学生のときのことだった。当時、美術系スクールに通っていたので、筆箱にはさまざまな濃さの鉛筆を入れていた。一番濃い6Bから4B、2B、HB、F、H、そして一番薄い2Hと、7本あった。
授業が終わって、鉛筆を筆箱に納める時、私はふと手をとめた。なぜか2Bの鉛筆が2本ある。それぞれ1本ずつしかないはずなのに。

ここから先は

3,610字

¥ 200