地面に座って見えたもの
年越しキャンプでついにチェアを畳んだ。グランドシートにムートンラグを敷いて座るという、キャンプを始めてから憧れ続けた野営スタイル。これまでも地べたとチェア半々ということはあったが、完全に地面のみは初めてだ。
キャンプ場は超高規格のファミリー・グループ仕様であり、ソロかつおしゃれのカケラもない自分が浮きまくっていたことは否定しない。が、遠くに潮騒を聞きながら薪を割ったり焚き火の世話をするのは純粋に楽しかった。視界が低いと世界が広く見えるのだと知った瞬間でもあった。
元々荷物が少ないソロキャンパーのため、野外で使うすべてのギアは手の届くところに雑に置いて完結した。しよっちゅうラグに埋もれて行方不明になるアクシデントはあったものの、手を伸ばすだけで薪割りも調理もできる環境は快適この上ない。
が、それ故にどうしても看過できない問題にも直面した。
振り切らないとカッコ悪すぎる
中途半端なものや適当なものがあると、それだけで説得力が半減する。私はこのスタイルで行くんだ、という確固たる意志が、いきなり「手抜きしました」感に取って代わられてしまうのだ。これは大変いただけない。
今回目についたのはブランケット(自宅で使っているものを適当に持ってきた)と、キャプテンスタッグのアルミロールテーブル(ものを置いたまま移動できないのを騙し騙し使い続けていた)。前者はもう言語道断レベルで、後者は動かすたびにシングルバーナーが転がり落ちるのがよろしくなかった。振る舞いがバタつくのはどんなスタイルにおいても美しくない。
吟味した少数精鋭で過ごしてこその地べたキャンプだな、ということを痛感し、帰宅してロスコのウールブランケットと安定したテーブルをポチった。これでしばらくは地面に座って楽しい時間が過ごせるはずだが、気を抜くとあれやこれやと欲しくなるのがギア沼の恐ろしいところ。
自分と向かいあい、心をリセットし、五感を研ぎ澄ますのがソロキャンプの楽しみだと思う。そしてその瞬間は、手にしてor目にして心がざわつかないものに囲まれていたほうがいい。
服を選ぶときに気にしている「ノイズにならない」という基準が、キャンプにも当てはまることを実感できたキャンプだった。
まあそれを言ってしまえば仕事道具とか文具も同様だし、そもそも早く断捨離しろよという話なんだけど。
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