見出し画像

夢追い人【1分間小説】

※この小説は1分程度で読了出来ます。

______________________________________________

『今回は採用を見送らせていただきます。』

パソコンの画面に企業からのメッセージが映し出される。
それを見た僕は大きくため息をついた。

もう今年で30歳になる。
22歳で芸大を卒業後、アートで勝負しようと芸術家としての道を歩み始めた。

しかし現実は甘くなかった。
バイトやパートでなんとか食いつなぎ、必死に絵を書き続けてきたが、気づけばもうこんな歳だ。

成功者が語る「諦めなければ成功する」という言葉を信じて、夢を追い求めてきた。
しかし上手くいかなかった。
結果が出るには遅すぎる。自分には才能がないのだ。

そう思った僕は芸術家の道を諦め、民間企業へ就職することに決めた。

しかし過酷な道がまたも僕を待ち構えていた。

「特別な技能や資格はありますか」
「大学を卒業してから今まで何をしていましたか」

面接官の質問に8年間も絵を描き続けていたとは言えなかった。

何社受けても、送られてくる文面はどれも同じだ。

机に突っ伏す僕の隣には、8年間の歩みがむなしく捨てられていた。


、、、読んでいるあなたはどうでしょうか。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?