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藁を手に旅に出よう(荒木博行著)

初めてNOTEに書評を書いてみます。書評なんておこがましい、単なる感想文ですwとりあげる書籍はこちら。

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発行から少しだけ時間が経ってしまったけど、荒木さんの最新刊をようやく読みました。この本は、現代版「君たちはどう生きるか」といった内容になっていて、大変勉強になった。

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ビジネススクールのカリキュラムでは、過去のビジネスでのケースを取り上げ、そこからの我々の実務に活かせそうな学びを抽出するケーススタディと呼ばれるプログラムが多くあるが、まさか寓話からの学びを書籍にするとは、さすが荒木さんだわ。

寓話というと子供向けに作られたストーリーであると言うイメージがあるが、そこから人の生き方という視点から解釈することで、大変多く学びを得ることができる。

本書では、人事部長と若手社員との新入社員研修、3年目研修でのセッションでの場面を取り上げている。若手社員であれば、リアリティをもって読むことができるだろうし、私のような40代であれば人事部長の視点から、若手社員への指導という視点で読みつつも、大変面白く共感できる内容であった。

本編は12のセッションで構成されているが、ここでは最も印象に残った3セッションについて感想を記しておきます。

論理と空気と裸の王様

企業で働いているとどうしても同調圧力を感じることがあるし、ストレングスファインダーで調和性が一番の強みであると判断されている私は空気を読まずにはいられないタイプなんです。

空気の力に勝つためには、強固な論理的思考能力、判断能力が求められるというのは、全くその通り。まずは個の考える力をつけないと空気に負けてしまいますね。自分の考えをしっかり言語化して他人に伝えられるようにしないと、発言をする自信が持てずに、ツイツイ空気に流されてしまう。

この年になると、少しは個性的な発言もできるようになってきているが、人前で自分の意見を言うのってやっぱり勇気がいる。

失敗の本質でも書かれている通り、太平洋戦争での敗戦の大きな要因として問いただされている日本人特有の『空気』という感覚は紛れもなく存在する。

それは日本の「精神論」的な考えにもつながり、「やる気」「積極性」といった目に見えないもので評価される人事制度を助長したのです。上下関係が絶対だった日本軍では、部下の意見などを取り入れられることは、ほとんどありませんでした。そして上層部からの命令に、盲目的に従ってしまいます。このような「空気」が日本軍を支配し、無謀ともいえる戦いに大きな犠牲を払ったのです。この「空気」は、現代社会にも少なからず存在するものといえるでしょう。

日本人は良く論理的思考が弱いというが、私は決してそうは思わない。むしろ思考力は高いのではないかと考えている。しかしながら、日本人は自分の意見をアウトプットすることに慣れていない。これは日本人特有の空気を読む力が長けているためだろう。と、すると、マネージャーとして発言がしやすい場を作るということは、結構価値のある仕事なのかもしれないと考えている。

疑問を口にすることができる、課題に思ったことに対して自ら動くことができる組織は良い組織である。「どうせこの環境で発言しても無駄だな」って思われたらマネージャーとして失格ですね。これからは今まで以上に傾聴を心掛けます。

自分は、社会人として20年弱やってこれた、チームを10年近くマネージしている、ビジネススクールで質の高い議論をした、MBA取れた、という経験があるので、疑問に思ったことはできるだけ発言をするという「スキル」を持っていると思う。

一方で私が今マネージしている組織のメンバーは自分よりも経験も少ないメンバーが殆どである。なんで自分の意見を言わないかというと、自分の意見がないので言えないと、言いたくても言えないの2パターンがあると思う。
前者は、知識不足で意見がない、自分の役割を理解できていない、言うだけの動機がない等。後者は自信がない、失敗が怖い、責任を取りたくない、委縮してしまう等。

いずれもマネージャーが解決しなければいけない問題ばかりだ!マネージャーが失敗しても受容できるという空気を整えて、(ポジティブな要素が多めの)フィードバックを与え、個人の考える力を身に着けさせなければならないですね。


野党思考と浦島太郎

野党思考は断片的で短期的な視点でしか見ていない。揚げ足取り的な批判しかせず現実的な提案をしない。こういう評論家的な人は多い。当事者意識に欠け、欠点を追及することに喜びを覚えるタイプの人、いますよねー。今までは、そういう性格なんだなって片付けてしまっていたが、本書ではその人の性格がわかりやすく解説されていた。

野党思考は(自分の)外に完ぺきな世界があると考えがちだということ。実際には、そんな世界はあり得ないってことを前提にして議論をしないといけないですよね。どうしても、メンバーを指導するときとかって、悪い点が目立っちゃうんですよね。「自分ならこうする」っていうイメージが強いほど、どの指摘が厳しくなってしまう。否定するのって簡単だし、自分がマウント取れるような感じがでるからツイツイやってしまうんですよね。

隣の芝生は青い

昔からの友人と話をしていても、相手のやっていることがかっこよく見えてしまったり、相手の方が恵まれていると妬んでしまうことがある。その友人が陰でどんな努力をしているのかを考えるよりも先に「いいなぁ~」って思ってしまうのが人間なんですよね。他人のものが良く見えてしまうのは自分が満たされていないって周りにアピールしているようなもので、恥ずかしいと思うようにします。


偏差値教と花咲か爺さん

偏差値教=尺度が単一で上位が偉いという考え方。すべてが単一の記号に返還されて見える。
まずは自分の人生を測る尺度が何なのかを考えるべし。

多様性の時代、単一の尺度で測っても面白くないでしょ!

荒木さんが志やリーダーシップのクラスやっているなら、参加してみたいなぁ。



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