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テクニカル分析は意味がない?【勝てない原因と対策】


どうもこの記事を書いてるmotoといいます。

株取引をする上で、チャートを分析して売買のタイミングをはかるテクニカル分析を使用する方も多いのではないでしょうか。

実は、テクニカル分析は問題点を指摘されることも多いので、

・テクニカル分析って意味があるの?
・テクニカル分析の問題点
・有効なテクニカル分析

について整理していきます。


テクニカル分析は意味が無い?

テクニカル分析は、一部の学者には迷信とまで言われていることをご存知でしょうか。

米国では、テクニカル分析の専門家に対して、実際の株価を表したチャートデータとコインを投げて表がでたら上方向裏が出たら下方向というようにランダムに描いたチャートを見比べてもらうという実験が行われました。

しかし、専門家たちはどちらが実際の株価データなのかを特定することができませんでした。ランダムな動きと株価データの違いも分からないのだから、正しい分析ができているわけがないということですね。

「ウォール街のランダムウォーカー」の著者であるバートン・マルキールは、テクニカル分析を非難することは喜びでさえあると語っており、

第一に、彼らの手法が明らかに間違っていること
第二に、いじめいやすいこと

と述べています。

他の理由としては、バイアンド・ホールド戦略(インデックス投資)よりも有効だという検証がなされてないということをあげています。



テクニカル分析の問題点

テクニカル分析の有効性に疑問が持たれているのは、以下の4つの問題があるためだと考えられます。


【テクニカル分析の問題点】
①主観的な情報が多い
②有効性が検証されていない
③過去の情報しか考慮していない
④頻繁に取引をする


①主観的な情報が多い

テクニカル分析では、定量的に定義可能なものも存在するが、ダブルトップやダブルボトムなどの分析者がどの期間で読み取るかで解釈が変わってしまうものが多く存在します。(分析者の裁量で結果が変わる)

主観的な情報は、分析者が都合の良いチャートパターンを探し出し、後付けで解釈をすることもできるため、バイアスのかかった間違えた判断をしてしまうことにつながりやすいです。


②有効性が検証されていない

そもそも、主観的な情報が多いテクニカル分析は、分析者によって読み取り方が異なるため有効性を検証されていないことが多いです。

また、客観的に定義可能なテクニカル分析についても、有効性が確認できているものは少ないという問題があります。

デビット・アロンソンの調査では、S&P500指数に対して定量定義可能な6402ルールの検証を行った結果、「残念ながら統計的に有意なリターンを生み出すルールを発見することはできなかった。」との結論を述べています。

単体で使用可能なルールのみを対象としており、いくつかのテクニカル分析を組み合わせた複合的なルールは検証されていませんが、単体で優位性がないものを組み合わせても劇的に成績が改善するということは考えにくいです。

初心者用のチャート本にかかれているような内容には、有効性に疑いを持った方が良いかと思います。


③過去の情報しか考慮していない

チャートは過去の取引利益をチャート上に示しているだけに過ぎないので、過去のデータしか分析することができません。

ファンダメンタルズの改善(期待含む)⇒株価の値上がり

という因果関係があると考えられているので、株価の動きを見るテクニカル分析は、ファンダメンタルズ分析に劣るのではないかということですね。

会社やアナリストの予想で来期の業績が悪くなる見込みでも、チャートパターンだけで買い付けをしてしまうというミスをしてしまう可能性もあります。


④頻繁に取引をする

チャートを日々確認していると、少しでも銘柄が下がったり上がったりすると気になって、売買を繰り返してしまう可能性があります。

売買を繰り返すと手数料が多くかかるため、統計的には短期売買を繰り返す人ほど損をしやすい傾向があります。

また、裁量でテクニカル分析をすると、ディスポジション効果といわれる、値上がりした銘柄を早く売りたくなり、値下がりした銘柄をなかなか売れなくなる心理にも囚われやすくなります。


有効なテクニカル分析

ここまでは、テクニカル分析の問題点について説明しましたが、テクニカル分析は全く使えないわけではありません。

数は少ないですが、有効性があるテクニカル分析も存在しており、以下の3つは有効性が高いと言われています。


【有効なテクニカル分析】
①モメンタム(順張り)
②リターン・リバーサル(逆張り)
③低ボラティリティ


①モメンタム

モメンタムは、過去にパフォーマンスの良かった銘柄は上がり続け、パフォーマンスが悪かった銘柄は下がり続けるというトレンドが持続する現象のことをいいます。

一般的には、直近1年のリターンが高い(低い)銘柄は、その後の数カ月は株価が上がり(下がり)やすいといわれています。

例えば、TOPIXの200日移動平均性よりも値上がりしている銘柄を買い付けるなど、モメンタム効果を利用する順張り系のルールが有効な可能性があります。

過去何十年にもわたり世界中で確認されている現象ですが、日本での有効性は低かったという研究結果が多いので、国内株中心の人は注意して使用する必要があります。


②リターン・リバーサル

リターン・リバーサルは、過去にパフォーマンスの悪かった銘柄は上がりやすく、パフォーマンスの良かった銘柄は下がりやすいという現象のことをいいます。

一見するとモメンタムと矛盾するように感じますが、モメンタムとは期間が異なり、直近1ヶ月以内の短期や3〜5年の長期でパフォーマンスが悪かった(良かった)銘柄は上がり(下がり)やすいといわれています。

例えば、25日移動線とマイナスの乖離が大きい銘柄を買い付けるなど、リバーサル効果を利用する逆張り系のルールが有効な可能性があります。

日本ではモメンタムの有効性が低く、リターンリバーサル効果が強いという傾向がありました。移動平均線が下落傾向にある、パフォーマンスの悪い銘柄を買い付ける戦略が利益につながりやすいと考えられます。


③低ボラティリティー

高い値動きの激しい銘柄はリスクが高いので、リターンも高くならないと割に合いませんが、個別株においてはあてはまりません。

ボラティリティーの高い銘柄≒値動きが激しい銘柄

ほどリスク調整済リターンが悪くなりやすいという現象が、世界各地で確認されているため、値動きが緩やかな低ボラティリティー銘柄を買い付けることで低リターンの銘柄を排除できる可能性があります。

高ボラティリティ銘柄のリターンが低くなりやすいのは、当たれば大きいという理由でリスクが高いにも関わらず買いが集まっており、実力以上に評価されてしまっていることが原因だと考えられています。


まとめ

テクニカル分析には、

・主観的な情報が多い
・有効性が検証されていない

という問題があることを紹介しました。

私自身、有効性が検証されていないことが多いという事実を知ってからは、ダブルボトム、三角持ち合いなどの特殊なチャートパターンを勉強するよりも、すでに有効性が実証されている方法を使う方針に変えています。

もし、テクニカル分析を使用したいなら、モメンタム効果やリターン・リバーサル効果を利用した投資方法が有効な可能性があります。

・リターン・リバーサル(短期:1ヵ月)
・モメンタム(中期:1年)
・リターンリバーサル(長期:3~5年)

こちらは、数々の研究で有効性が確認されているので、やみくもにテクニカル分析をするよりも利益を出せる確率は上がるかと思います。


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有効性の高い投資手法については、以下のマガジンにまとめています。


●参考文献

バートン・マルキール(著),井手正介(訳)(2016)『ウォール街のランダム・ウォーカー〈原著第11版〉 ―株式投資の不滅の真理』日本経済新聞出版社.

デビッド・アロンソン(2014)『テクニカル分析の迷信 ──行動ファイナンスと統計学を活用した科学的アプローチ』パンローリング株式会社.


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