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ディープバリュー投資で割安銘柄を探せ!(買収者のマルチプル)【株式投資戦略】


どうも、この記事を書いているmotoといいます。

今回の記事は、ディープバリュー戦略(買収者のマルチプル)についてです。

この戦略は、米国で「魔法の公式」という投資戦略を打ち負かすといわれており、海外では有名な投資戦略です。

有効な戦略といっても、「米国株だけの話で、日本株だと有効性がないんじゃないの?」と気になる人もいると思うので、実際に日本株で検証をしてみたいと思います。


ディープバリュー(買収者のマルチプル)とは?

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トビアス・E・カーライル の著書である「ディープバリュー投資入門」の中で紹介されている投資戦略のことです。

投資の王道ともいえるバリュー投資の中でも、特に割安という条件を重要視して、投資をする投資手法を指します。

カーライルは本書の中で、「平均回帰性」について解説しており、

○高収益・高成長な企業
⇒その後、利益を出せなくなり、成長も落ち込む

○低収益・低成長
⇒その後、業績が回復して、成長を始める

という傾向があるとしています。

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出典:トビアス・E・カーライル(2018)『ディープバリュー投資入門』パンローリング株式会社

「ROIC-WACC」の高い会社は、時間とともに低くなり、「ROIC-WACC」の低い会社は、時間とともに高くなっていることを確認できます。

どこかの企業が儲かっていれば、競合他社が参入してきたりと、利益を維持するのが難しいのかもしれません。

また、人は悪いことや良いことに過剰に反応することが多く、業績の悪い割安な企業は、過剰反応により割安な状態で放置されやすいということも理由としては考えられます。

長期のリターンで見ると、「割安株(バリュー)>成長(グロース)」であることが学術的にも検証されているので、かなり説得力がある内容でした。

ディープバリュー(買収者のマルチプル)スクリーニング条件

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ディープバリュー(買収者のマルチプル)のスクリーニング条件は、非常に簡単です。

会社の価値に対して割安であるかどうかだけに着目した1つの指標しか使いません。

○EV/EBITDA 
EV = 時価総額+有利子負債ー現金
EBITDA = 営業利益+減価償却費
⇒数値が低いほど良い

数式で見ると少し複雑に見えますが、使っている証券会社で、EV/EBITDAも投資指標として確認できますので、その数値が低いかどうかを見るだけでOKです。 (楽天証券なら確認できます)

本書で紹介されている買収者のマルチプルの成績は、

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出典:トビアス・E・カーライル(2018)『ディープバリュー投資入門』パンローリング株式会社

米国で長期にわたってS&P500、魔法の公式を大きく上回っています。

これはなかなか期待できるのではないでしょうか。

ディープバリュー(買収者のマルチプル)の有効性を日本株で検証

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それでは、日本株で有効性を検証していきます。

スクリーニングする条件としては、EV/EBITDAが低い0~10倍の企業を抽出します。

【ディープバリュー戦略】
EV/EBITDA(予想):0~10倍
⇒13週に一回再スクリーニングをして銘柄を入れ替える

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出典:my株

上記が、日本株で2014年~2020年の期間で検証した結果になります。

単一指標でスクリーニングするだけの凄まじく簡単な戦略にもかかわらず、全ての期間で市場平均以上の成績を出しています。

スクリーニングして定期的に銘柄を入れ替えるだけで、この成績は有効性があるといわざるを得ないですね。素晴らしい戦略だと思います。

市場平均を安定して上回っているので、有効性が無くなるまでは、運用しても問題なさそうです。

バックテストで使用しているツールの都合上、10倍以下という絶対値を使用していますが、市場の状態によって当てはまる銘柄が少なくなったりするので、EV/EBITDAが低い10%の銘柄など、相対評価をする方が使いやすいかもしれません。(抽出される銘柄数が安定するため)


まとめ

日本株におけるディープバリュー戦略(買収者のマルチプル)を検証しましたが、いかがでしたでしょうか。

・2014年~2020年の日本株市場では平均を上回っていた
・定期的な銘柄の入れ替えだけで、タイミング戦略不要

となっており、なかな良い投資戦略ではないかと思います。

参考にしてみるのも良さそうですね。


ちなみに、本記事で紹介した「ディープバリュー投資入門」は、投資の王道ともいえるバリュー投資の中でも、特に割安な株に投資するディープバリュー投資についての本です。

バリュー投資の有効性や機能する理由を分かりやすく解説していて、バフェット、グレアム、グリーンブラッドなど、有名なバリュー投資家の投資方法についても触れています。

バリュー投資家を目指すのなら、ぜひ読んでおきましょう!


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有効性の高い投資手法については、以下のマガジンに情報をまとめています。


●参考文献

トビアス・E・カーライル(2018)『ディープバリュー投資入門』パンローリング株式会社.

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