投資指標の一覧・まとめ【初心者はこれだけ覚えればOK】
投資を始めたばかりだと、「投資指標が多すぎて何を確認したら良いのか分からない…」と感じたことのある人も多いのではないでしょうか。
私も覚えられない指標が山ほどありますが、指標が分からないからといって投資が出来ないわけではありません。実は、いくつかの代表的な指標さえ覚えていれば、ある程度の銘柄選別は出来るようになります。
今回の記事では、「これだけ覚えていれば問題なく投資が出来る!」という指標を紹介していきます。
投資指標の一覧・まとめ
代表的な投資指標をまとめてみました。
初心者であれば重要度が「★★★」の指標を覚えれば、投資を始める上での知識としては十分だと思います。
有効性が確認されている指標をピックアップしているで、ぜひ参考にしてもらえればと思います。
まずは重要な指標から覚えていきましょう!
最後には、オススメのスクリーニングサイトも紹介しているので、ぜひ覚えた投資指標を使って、銘柄を探してみてください。
投資指標を使った具体的な戦略については、以下のマガジンで紹介しております。
投資指標の説明・使い方
割安性指標
日本株投資の王道といえばバリュー投資で、今も根強い人気のある投資手法です。
バリュー投資では、 割安な株を探して買い付ける必要があるので、以下の割安性指標を確認することで、銘柄を探しやすくなります。
PER(株価収益率) ★★★
○計算式
PER=株価/1株あたりの純利益
○説明
利益に対して何倍まで株が買われているかを表しています。PER=15倍を単純計算すると15年で投資資金を回収することができ、PER=10倍なら10年で投資資金を回収となるので、PERは低い方が割安となります。
PERの算出は今の利益がそのままずっと続いたと仮定して算出するため、割安だと思っていても将来の減益が予想されてるだけといったことがあります。株価は将来の期待値を含めて形成されるので、なるべく予想値を使うようにすると良いです。
株式市場全体や業種別でのPERと比較でき、非常に使い勝手の良い指標なので、確実に覚えておきたい指標です。
○使用例
・予想PER<=12倍
・予想PER<=12倍、PBR<=1
PBR(株価純資産倍率) ★★★
○計算式
PBR=株価/1株あたりの純資産
○説明
資産に対して何倍まで株が買われているかを表しています。
PBRが1倍だと資産価値と株価が同じで、1未満になると資産価値に対して株価が割安とみなせるので、 PBRが低いほど割安といえます。
PBRは資産面から見た割安性のため、
・無形資産の価値が測れない
・赤字経営だと資産を切り売りする可能性がある
・簿価と時価に大きく差が出る場合がある
などの問題もあります。
単一指標だけを確認するのではなく、PERや営業CFなどと合わせて確認することをオススメします。
○使用例
・PBR<=1
・PBR<=1、予想PER<=12、営業キャッシュフロー>=0
配当利回り ★☆☆
○計算式
配当利回り=1株あたりの配当金/株価
○説明
一株あたりの配当金が株価の何%であるかを表しています。
配当利回りが高いと、
・株価に対して株主への還元が大きい
ということなどが考えられるので、配当利回りが高いほど割安とみなすことが出来ます。
ただし、将来的に配当が減配されることもあるので、継続して高配当が続けられそうかに注意して指標を確認する必要があります。
個人的には、配当金が高くても配当の権利落ち日に同じぐらいの株価が下がることが多いので、そこまで重視はしていません。割安性を測るならPER、PBRの組み合わせを気にしていれば十分です。
○使用例
・3%<=配当利回り
PCFR(株価キャッシュフロー倍率) ★★☆
○計算式
PCFR=株価/1株あたりのキャッシュフロー
○説明
キャッシュフロー(現金ベースの利益)に対して、何倍まで株が買われているかを表します。PERなどと同じく現金ベースで何年で投資資金を回収できるかということになるので、PCFRが低いほど割安とみなします。
PERは売掛金などの現金としては入ってきていない利益も含んでいますが、PCFRは現金ベースの利益のみを見るシビアな指標です。
PERに対してPCFRが異常に大きい場合、
・きちんと利益を回収できているのか
・会計操作などがされていないか
という疑問をもつ材料にすることもできます。
また、設備投資の大きい会社は減価償却により、会計上の利益が押し下げられてしまうので、減価償却を抜いた場合の割安性の評価にも使うことも出来ます。
PERの方が重要度は上ですが、補佐的な指標としてPCFRも確認することをオススメします。
○使用例
・PCFR<=10
・予想PER<=12 、PCFR<=10
EV/EBITDA ★★☆
○計算式
EV/EBITDA=(時価総額+有利子負債ー現金)/(営業利益+減価償却費)
○説明
EV(企業価値)に対してEBITDA (営業利益+減価償却費) が何倍まで買われているかを表しています。 PERと同様にEV/EBITDA倍率が低い方が割安となります。
買収した企業が何年たてば資金回収できるかといいう見方ができるので、企業買収の参考として使われることが多いようです。
米国では長期的に有効性が確認されており、1971年~2010年の約40年間で、PERやPBRを上回るリターンを残していたことが判明しています。
割安性を測るには、オススメの指標です。
○使用例
・EV/EBITDA<=8
バリュー指標の具体的な使い方は、以下の記事で紹介しています。
収益性指標
収益性指標は、グロース投資で使うイメージがありますが、バリュー投資であっても確認した方が良い指標です。
収益性指標を確認すると、対象の会社がどれぐらい効率的に稼いでいるのかが分かり、クオリティの高い企業を見つけやすくなります。
売上総利益率(粗利) ★★★
○計算式
売上総利益率=売上高総利益/売上高
※売上総利益=売上高-売上原価
○説明
売上に対してどれだけの利益があったかを表しています。売上に対する総利益が高いと、収益性が高い会社といえるので、売上総利益率は高いほど良いです。
業種によって違いが出やすいことを考慮する必要はありますが、大まかな収益性をはかる指標として、覚えておく役に立つます。また、収益性をはかる指標の中でも、リターンとの関連が高いといわれています。
収益性指標はバリュー指標とも相性が良いので、組み合わせて確認するのもオススメです。
○使用例
・35%<=売上高総利益率
営業利益率 ★★☆
○計算式
営業利益率=営業利益/売上高
○説明
売り上げに対して営業利益[本業で稼いだ利益]がどれぐらいの割合かを表しています。利益率が高いほど、売り上げが増加すると大きく収益が伸びるので、質の高い会社かを判断できます。
○使用例
・10%<=営業利益率
経常利益率 ★★☆
○計算式
経常利益率=経常利益/売上高
○説明
売り上げに対して、経常利益[本業で稼いだ利益+本業以外の損益]がどれぐらいの割合かを表しています。営業利益と同様に利益率が高いほど、売り上げが増加すると大きく収益が伸びるので、質の高い会社かを判断できます。
○使用例
・12%<=経常利益率
ROE(自己資本利益率) ★★★
○計算式
ROE=当期純利益/自己資本
○説明
自己資本を使ってどれだけの収益を上げているのかを表していています。自己資本に対して純利益が大きいと効率良く利益を出していることになるので、ROEが高いほど成長・収益性の高い会社となります。
借入の多い財務レバレッジの高い会社も、ROEが高くなる傾向がありますので、高レバレッジの会社を避けたいなら、総資産に対しての収益性をあらわすROAと併用すると良いでしょう。
ROEは人気のある指標ですが、ROEが高いほどリターンが高いというわけではありません。
ROEは平均回帰性が強いとされており、高ROEの会社はその後のROEが下がりやすく、リターンにつながらないことも多いです。
そのため、今期ROEよりも予想ROEが改善しているかなどの方向性も、あわせて確認すると良いかと思います。
○使用例
・10%<=ROE
・10%<=予想ROE、実績ROE<予想ROE
ROA(総資産利益率) ★★☆
○計算式
ROA=当期純利益/総資産
○説明
総資産に対する利益の割合を表しています。ROAが高いと会社の資産を効率的よく使って利益を出しているといえるので、高いほど成長・収益性の高い会社となります。
ROEと同様に、ROAも改善傾向の方が高リターンになりやすいので、 今期ROAよりも予想ROAが改善しているかを確認することをオススメします。
○使用例
・7%<=予想ROA
・7%<=予想ROA、実績ROA<予想ROA
ROIC(投下資本利益率) ★★☆
○算出式
ROIC=営業利益(1ー税率)/(有利子負債+自己資本)
○説明
投下した資本に対してどれだけの利益が出てるのかを表しているので、高いほど効率的に収益をあげていると判断することができます。
分子は投資家の取り分ではなくなる税金を差し引いており、分母は自己資本に有利子負債分も考慮しているため、純粋な投下資本に対する投資利益の高さを確認できます。
レバレッジによる影響が大きいROEよりも、ROICを重視して使う投資家も多いです。
○使用例
・15<=ROIC
アクルーアル(会計発生高) ★★☆
○計算式
アクルーアル=税引後利益ー営業キャッシュフロー
○説明
会計上の利益と現金として入ってきた利益の差を表します。
アクルーアルがマイナスであれば、利益が現金の収益として入ってきているので、質の高い利益と考えることが出来ます。
逆に、アクルーアルが高い場合は、
・売掛金の回収が滞っている
・会計上の利益を大きくみせている
なども考えられるので、この指標を確認することで会計操作などの疑いを簡易的にチェックすることができます。
アクルーアルがマイナスの企業は、リターンが高い傾向があるというアノマリーも存在するので、個人的にはかなり重視している指標です。
○使用例
・アクルーアル<0
収益性指標の具体的な使い方は、以下の記事で紹介しています。
成長性指標
成長株投資をするのであれば、成長性の指標チェックは外せません。
以下の指標を確認することで、成長性を測ることができます。
経常増益率 ★★☆
○計算式
経常増益率=(予想経常利益ー実績経常利益)/実績経常利益
○説明
経常利益の何割分の増益が期待できるかを表すため、経常増益率が高いほど成長性も高いといえます。
ただ、成長性の指標で気を付けなければならないのは、
・その成長性がすでに織り込まれていないか
・今後も利益を継続できるのか
ということです。
成長性が高くても、高PER銘柄であればすでに織り込み済の可能性が高いですし、高PERでなくても増益が特需によるものなら、来期以降業績が落ちるのを先取りした価格になっているということがあります。
成長性指標を使う時には十分気を付けましょう。
○使用例
・7%<=経常増益率
・予想PER<=20、7%<=経常増益率
増収率 ★☆☆
○計算式
増収率=(予想売上高ー実績売上高)/実績売上高
○説明
売上実績の何割分の売上が伸びているかを表しているため、高いほど売上が伸びていることになります。
本当の意味での成長企業を探したいなら、増収率、経常増益率の両方が伸びている会社を探すと良いでしょう。
○使用例
・0<増収率
・0<増収率、7%<=経常増益率
安全性指標
投資をしてて一番怖いのは投資している会社が倒産してしまうことです。
倒産の可能性がある危険な会社への投資を避けるためにも、以下のような安全指標の確認が重要となります。
自己資本比率 ★★★
○計算式
自己資本比率=自己資本/総資産
○説明
会社の資産に対して自己資本が大きければ、負債の少ない会社とみなせるので、自己資本比率が高いと安全性が高いといえます。
ただし、高ければ良いというものでもなく、自己資本比率が高すぎると借り入れを全くしていいないため、成長するチャンスがあるのにもかかわらず、機会損失している場合もあります。低すぎるのが問題という程度に覚えていればOKです。
ただ、日本株の場合は割安で自己資本比率が高いとリターンが高い傾向があるので、PBRなどと組み合わせて使うのもオススメです。
○使用例
・50%<=自己資本比率
・50%<=自己資本比率、PBR<=0.8
D/Eレシオ ★★☆
○計算式
D/Eレシオ=有利子負債/自己資本
○説明
自己資本に対して、負債が何倍あるかを表しているため、一般的には倍率が低い方が、借金が少なく財務が健全的だと判断されます。
借金が少なく内部留保が多いと、倍率が低くなるので、極端に高いと危険だと認識していればOKです。
クオリティの高い企業を選別する時に、よく使用されます。
○使用例
・D/Eレシオ<=1
ROD ★★☆
○計算式
ROD=当期純利益/有利子負債
○説明
借金(負債)に対して、どれぐらいの割合で利益が出ているのかということを表しており、RODが高いほどすぐに負債を返せると考えることができます。逆にRODが低い場合には借金をしてるのに利益が出せていないことになるので、リスクの高い会社だと判断できます。
優秀な指標ではありますが、スクリーニングツールで用意されていることが少ない指標でもあります。計算式自体は簡単なものなので、銘柄の詳細を調べるついでに個別でチェックすると良いでしょう。
○使用例
・0.3<=ROD
オススメのスクリーニングサイト
ここまで、色々な投資指標について説明してきましたが、「スクリーニング条件出てこない...」という人もいるかもしれません。
それは、知名度の低い指標であることから、使っている証券会社のスクリーニングツールが対応していなかったりするからです。
そんな方にも朗報で、「バフェットコード」というサイトでは超優秀なスクリーニング機能が無料で使えます。
紹介したほとんどの指標にも対応しているので、ぜひ使ってみてください。
使い方①:画面左上の「条件検索」をクリックします。
使い方②:「+条件追加」で項目を追加し、条件を指定して「検索」をクリックするだけです。
引用:『バフェットコード』
まとめ
投資指標はたくさんあってどれを確認して良いか迷いますが、実際に重要となる指標は限られているものです。
投資初心者であればまずは、
・割安性指標
・収益性指標
・成長性指標
・安全性指標
の重要度が高いものを覚えていれば問題ないでしょう。
これは持論なのですが、投資初心者がまず鍛えるべきは「定量的なスクリーニング力」だと思っています。会社の成長性などを定性的に判断するのも良いですが、それはプロの投資家であっても難しく、正直なところ才能や運の世界だと感じます。
私も投資初心者ではありますが、有効性が検証されている指標を使った定量的なスクリーニングだけで、利益をだすことができています。まずは、「危険な株」、「値上がり期待のある株」をスクリーニングで仕分けられるようにして、その後に自己流の分析をすることを強くオススメします。
投資指標を利用した有効な投資手法については、以下のマガジンに情報をまとめています。
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