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高配当戦略は日本株で有効!~スクリーニングのコツ~【株式投資戦略】


どうも、この記事を書いているmotoといいます。

今回の記事は、批判されることも多い、高配当株投資についてです。

高配当株投資は、配当を出した分だけ株価が下がることも多く、配当と値上がりを含めたトータルリターンで市場平均に負けることが多いので、批判があるということですね。

ただ、個人的に日本株で検証してみたところ、「高配当株投資は意外と有効そうだぞ!」という結果になったので、ご紹介したいと思います。


高配当株戦略

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高配当戦略とは?

高配当戦略は、その名の通り配当を出している会社の中でも、配当金を多く出している会社の株を買うという手法です。

高配当銘柄の見分け方については、株価に対して配当をどれぐらい出しているかをあらわす、配当利回りという指標で判断されることが多いです。

配当利回り=年間配当金/株価
例:5%(配当利回り)=50円(年間配当金)/1000円(株価)

配当利回りが高いほど、インカムゲインが増えることから、個人投資家にも人気の投資手法となっています。


配当金を多くだしている理由

高配当株投資をする上で考えておかねばならないのが、そもそもなぜ配当をこんなにも出しているのかということです。

成長が見込める会社であれば、利益が出た分をさらに事業に投資して、多くの利益を上げるという方法もあるので、配当を出さないという選択をすることもできます。

しかし、それをしないのは

①事業の成長が見込めない
⇒これ以上事業に投資しても、利益を増やすことが難しいため、株主に対して利益を還元するという方針を取っている可能性がある

②株主へのアピール
⇒マイナスイメージがある事業内容だと、積極的に株を買う人が少ないため、配当を高くして投資家にアピールをしている
 (タバコやお酒関連などの銘柄はこの傾向がある)

こういった理由も考えられことは、高配当株投資をする際には頭に入れておくと良いでしょう。


高配当株投資のメリットとデメリット

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高配当株投資のメリットとデメリットについて、整理をしておきます。

高配当投資のメリット

①株価の下落時に心の支えになる
評価額が下がっていても、インカムゲインがあるからと株の売却に踏みとどまれる可能性があります。合理的な判断ではありませんが、人間は感情で動く生き物と考えると、一定の効果はあるように思えます。

②割安銘柄を選びやすい
高配当企業は人気が無く割安に放置されることも多いので、いわゆるバリュー投資をしていることにつながりやすいです。バリュー投資は過去70年以上も有効性が確認されており、市場をアウトパフォームしています。


高配当株投資のデメリット

①複利運用で不利
長期投資をする上で重要なのは、再投資をした複利運用ですが、高配当投資は運用中に出した配当金には必ず課税されるため、課税を先送りできるインデックス投資に比べて不利になりやすいです。

②マイナスリターンで不利
配当金は全額課税対象となるため、株価が値下がりしてトータルリターンがマイナスの状態でも、課税されてしまうことは理解しておきましょう。

ちなみに、配当金は会社の利益を株主に吐き出していることになるので、配当金分だけ会社の価値が落ちるという考え方が一般的です。つまり、配当金を出した分だけ株価は値下がりするのが普通だということです。

・配当なし企業=値上がり益
・配当あり企業=配当+値上がり益

⇒上記の考えだと、高配当が有利に感じますが、値上がり益の部分で帳尻合わせされることが多い

そのため、理論上は全て課税対象となる配当を出すのではなく、事業に再投資をするか、自社株買いなどで還元する方が有利となります。

ウォーレン・バフェットも配当を出すのは税制上不利だと考えており、経営しているバークシャー・ハサウェイも配当は出さずに、自社株買いをする方針としています。


高配当戦略の有効性を検証(日本株)

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デメリットなども書いてきましたが、日本株においては高配当戦略が機能しやすいように感じています。

それでは、実際に日本株で検証していきましょう。

検証方法については、配当利回りが大きい会社の15銘柄に投資する場合の単純な平均リターンについて確認してみました。

【高配当戦略】
配当利回り:3%以上
⇒13週に一回再スクリーニングをして銘柄を入れ替える

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出典:my株

一応、2014年~2020年の期間でのリターンは市場を上回っているため、有効性がありそうな結果となりました。


高配当戦略の成績を改善する方法

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ここまでの検証だけでは面白くないので、成績を向上させる方法として、財務面を評価する要素を追加してみます。

配当株投資で何がリスクかと考えると、配当金額が減らされてしまうことです。配当利回りが高く割安だと思っていたのに、減配されたら元も子もないですよね。私ならその株を投げ売りしたくなります!

また、ひどい企業では借金をして配当を出すという本末転倒なことをしていることもあるので、そういった企業は投資対象から外す必要があります。

そこで、使える指標として「配当性向」を追加することにします。

配当性向とは、

配当性向=1株当たりの配当額/1株当たりの当期純利益

で算出することができ、年間の利益のうち、どれだけの割合を配当にあてているかを確認できる指標です。

配当性向が高いと、生みだした利益に対して支払う配当が多くなり経営を圧迫するので、減配をするか借り入れをして支払う必要があるということです。

そのため、配当性向が低く配当金の支払に余裕のある会社に絞ると、増配にも期待することができ、成績を改善できる可能性があります。


それでは、実際に検証してみたいと思います。

配当利回りが高く、配当性向が低いことをスクリーニング条件とします。

【高配当戦略】
配当利回りが高い:3%以上
配当性向が低い:25%以下
⇒13週に一回再スクリーニングをして銘柄を入れ替える

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出典:my株

配当性向の指標を加えるだけで、成績が改善できていることが確認できます。

ほとんどの期間でTOPIXを上回る成績を出しており、安定感もあります。

確認する指標を少し増やすだけで、ここまで成績を改善できるのは驚きではないでしょうか?

個別株の高配当企業に投資している人は、配当性向という指標についてぜひ注目してみてください!


ちなみに、配当性向を会計上の利益だけではなくキャッシュフローも評価すると、よりシビアにチェックできるかと思います。

意外と配当利回りしか確認していない人も多いので、他の人を出し抜いて利益を出せると良いですね!


高配当戦略はなぜ機能するのか?

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先ほど軽くふれていますが、高配当戦略が有効なのは、配当金が高いという理由ではなく、株価が割安だからです。いわゆる、バリュー投資と似たようなことをしているというとですね。

ちなみに、配当利回りを使わなくても、PER、PBR、PCFRなどの他の割安性指標の方が将来のリターンとの関係が大きいとの見方も強いです。

また、増配戦略や配当性向などもクオリティ(財務性の良さ)を評価しているにすぎません。

個人的には、高配当株投資をしなくても、

・バリュー+クオリティ投資
 ⇒バリュー:PER、PBR、PCFR、EV/EBITDAなどを使用
 ⇒クオリティ:ROE、営業利益率、アクルーアルなどを使用

をしても似たような結果が得られるのではないかと思います。


まとめ

日本株においての高配当株投資の有効性について検証したところ、「それなりに有効性はありそう!」という印象でした。

高配当株投資では、減配リスクなどが気になるため、

・配当率が高い
・配当性向が低い

の両方をチェックすると、良い成績が期待できるのではないかと考えています。

また、高配当株投資が有効なのは、高配当株を買っているからではなく、割安な株を買っていることが理由である可能性が高いので、そこだけは誤解しないようにしましょう。


ちなみに、高配当重視の投資家は、以下の本をバイブルにしていることが多いです。名著としてあげられることも多いので、高配当投資に興味がある方は、一読しておくことをオススメします。


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●参考文献

ローレンス・A・カニンガム(2016)『バフェットからの手紙』パンローリング株式会社

アンドリュー・L・バーキン、ラリー・E・スウェドロー(2018)『ファクター投資入門』パンローリング株式会社




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