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個人投資家の成績はどれぐらい?【過半数が損をしているという事実】

みなさんは、個人投資家の成績はどれぐらいだと考えているでしょうか?

個別株投資が非常に難しいことはなんとなく分かると思いますが、簡単に大儲けできるという幻想を持っている方もいらっしゃいます。

個人投資家の成績がどれぐらいなのかを知っておくことで、個別銘柄への投資がいかに難しいものなのかは理解しておきましょう。


個人投資家の成績はどれぐらい?

個人投資家の成績については、証券会社も出すのがためらわれるのか、信頼性のある情報は出回っていないのが実情です。

それでも、個人投資家のパフォーマンスを推測する上で、参考になりそうな情報はあったので、簡単に紹介していきます。


①Dalbar社の調査(米国)

Dalbar社の調査によると、1984年~2014年(30年間)で投資信託を保有している投資家のリターンは、3.79%となっており、S&P500の11.06%と比べて、大幅に劣後していることが確認されています。

出典: Dalbar(2015)「Quantitative Analysis of Investor Behavior」

2004年~2014年(10年間)の期間では、5.26%に対して、S&P500が7.67と差は縮まっているものの、投資信託を保有している投資家のパフォーマンスが悪いことが確認できます。

なお、差が縮まっている理由は、低コストなインデックスファンドが普及したことが一因だと、考えられます。


②投資助言会社の調査(日本)

続いて、日本の投資家の成績を確認してみましょう。

「富裕層のNo.1投資戦略」の著者である高岡壮一郎さんが、投資助言会社で実施した調査結果を公表しておりました。

累計投資金額が300万円以上の国内在住の個人投資家(20歳以上の男女)1000人を対象に2012年に富士経済研究所の協力の元、筆者が経営する投資助言会社ヘッジファンドダイレクト株式会社が調査したものである。その結果は以下のようなものである。

①投資家の7割は通算損益でマイナス。通算損益平均額はマイナス525万円
②投資信託の平均損益率はマイナス30.7%
③株式投資家の7割は失敗し、半値以下に損をしている

すべての金融商品を合算した通算損益で、利益を出している個人投資家は全体の20.6%に過ぎず、損をしている層が72.4%だった。

引用:高岡壮一郎(2017)『富裕層のNo.1投資戦略』総合法令出版

上記の調査結果によると、日本の個人投資家は7割以上が損をしているという調査結果となっており、個人投資家は厳しい状況にあることが分かります。

2012年実施のアンケートなので、その後のアベノミクス効果により、利益を出している人は増えていると予想できますが、個人投資家の成績が市場平均より悪いと推測できます。


③投資主体別のパフォーマンス調査(日本)

個人投資家の投資収益の傾向についても確認しておきましょう。

1998年~2006年の古い情報ですが、投資リターンについては、外国人投資家の収益率は高く、日本の個人投資家の成績はマイナスになっていることが確認されています。

出典:和田真一(2006)「日本の株式市場における投資主体のパフォーマンスと投資行動」

この調査結果から、日本人の個人投資家のパフォーマンスは、かなり悪いということが言えると思います。

ちなみに、この調査では、

・外国人投資家は順張り傾向
・個人投資家は逆張り傾向

だったことが判明しており、逆張りによる取引がマイナスのパフォーマンスにつながっていた可能性があります。

日本株においては、外国人投資家のパフォーマンスが高いことから、外国人比率が高まった銘柄への追随を推奨する人もいますが、それが有効だったのは、1980年~1990年代での話で、2000年以降では有効性は確認されていません。(市場の効率化により通用しなくなっています)


インフルエンサーの成績は本物?

個人投資家の多くは損をしているという情報のわりには、SNSやブログなどで情報発信をしているインフルエンサーはみんな成功しているイメージがありませか?

私も投資関連のアカウントを確認してみましたが、並外れた成績を残している人が多いと感じます。

個人的には、以下の理由で成功している人が多く感じるだけだと考えています。


①高リターンの人しか成績を公開しない

そもそも、高リターンの人しか成績を公開していないという可能性があります。

損をしている状態だと、「失望される」、「恥ずかしい」といった理由で、公開したくないという心理が働くのは容易に想像がつきます。

そのため、成績を公開しているのは成績が良かった人だけに偏っており、情報発信をしている人だけが目立っていると考えられます。


②嘘の成績を公開している

SNS上で多いと思われるのが、嘘の成績を公開しているという可能性です。

フォロワーの獲得や情報商材を売りつけるために、嘘の成績を公開して信用させようとすることがあります。

そもそも、プロの投資家も含めた市場平均が年率5%程度なのに、1年で2倍以上に増したなどという情報は疑った方が良いでしょう。(本当だとしても再現性の無い投資手法であることが多いです)


③たまたま良い成績を残せた

良い成績を残している人もいますが、たまたま良い成績を残しているという可能性があります。

コインを投げて連続して表を出せる人がいるように、一定数は実力が無くても、たまたま勝ててしまうものです。

例えば、

・単純な上昇相場
 ⇒誰でも成功できる時期だっただけ
・信用取引などでレバレッジをかけていた
 ⇒高いリスクをとっていただけ
・たまたま自分の投資手法と有効な時期が合致した
 ⇒2000年~2010年にバリュー株を買っていただけ
 ⇒2010年~2020年にグロース株を買っていただけ

ということがあります。

運や相場が良かっただけの人の情報をうのみにすると、痛い目に合うことになりますので、参考にしたい人が実力をともなっているのか、自分自身の考えで判断する必要があります。


投資界隈には、適当な情報を耳障りの良い言葉で発信している人もいますので、話半分で聞いて盲信をするはやめた方が良いかと思います。


投資成績を良くするには?

損している人が多いことは分かりましたが、損をしないためにはどうすれば良いのかを考えていきましょう。

投資成績を良くするには、大まかに2通りの方法があると考えています。


①インデックス投資を行う

個別株投資をしている人には元も子もない話となってしまいますが、インデックス投資をすることが一番の近道です。

インデックス投資は、

・アクティブファンドの6~7割を上回る成績
・初心者でも簡単に実践できる
・買って放置するだけで手間がかからない
・100年以上も有効だった投資方法

などがあり、わりと最強の投資方法です。

成績は市場平均となりますが、個人投資家の成績は市場平均を大きく下回っているので、それだけでほとんどの個人投資家を上回る成績をおさめられるでしょう。

私も個別株だけではなく同時にインデックス投資も実践しています。
(個別株は趣味として楽しんでいる)


②有効な投資戦略を確立する

市場平均に勝てるよう、自分なりの投資戦略を考えて投資を行うという方法です。

市場平均に勝てないようなら、時間を割いてまで個別銘柄を分析する意味はありません。(趣味ではなく本気で市場平均越えを考えている場合)

株式市場は、プロの投資家による取引が多く、個人投資家が継続的な利益を出すことが難しいことは、 個人投資家で損をしている人が多いことからも明白です。

世界中のエリートと呼ばれる人たちがこぞって取引をしている中で、楽に利益を出せるわけがないので、必死に勉強して投資戦略を身に着ける必要があります。

個人的には、市場平均を上回るための戦略としては、ファクター投資をするのが一番マシな方法ではないかと考えています。

ファクターを利用した投資戦略などは、以下のマガジンで紹介しています。


まとめ

個人投資家の投資成績は過半数がマイナスとなっており、利益をだしている人自体が少ないということをご紹介しました。

個人投資家の成績は、インデックスを大きく下回ることが多いため、自身で個別株を取引するよりもインデックス投資の方がうまくいきやすいと思います。

ただ、個人的には個別株をするのは、趣味としては非常に面白いので、小さい資金で遊んでみるものアリかなと思います。

個別株をしている感想としては、

・個別株に投資することで日本の企業を知れる
・経済に少し興味が出てくる
・自分なりの投資戦略を作るのが楽しい

という感じです。

興味のある方は、ぜひ挑戦してみてはいかがでしょうか?


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●参考文献

Dalbar(2015)「Quantitative Analysis of Investor Behavior」

高岡壮一郎(2017)『富裕層のNo.1投資戦略』総合法令出版.

和田真一(2006)「日本の株式市場における投資主体のパフォーマンスと投資行動」


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