骨の説得力と、主人公の演技

またマニアックなテーマをブッコミますww

本日のテーマは「骨」です。
先日、とある3Dアニメーターさんに剣の振り方について少々アドバイスさせていただきました。アクション系のゲームになると絶対に必要で、一番使用頻度が高いのが剣による右上から左下に斬り下ろす「袈裟斬り」ですね。
これはもう、アクション系に携わるほぼう全てのアニメーター、モーションデザイナーさんが避けては通れないモノではないでしょう?

動きは単純ですが、単純な動きほど見る目が厳しくなります。
なぜなら、誰でも出来るからこそ判断材料が多いからです。

例を出してみましょう。例えばバク転。 後方に跳んでひっくり返り、手をついて再び元に戻るという動きですよね。

これもけして難しい動きではありませんが、勇気と筋力が少々必要なこともあり出来る人が多くないです。なので上手かろうと下手であろうと誰がやっても一応バク転はバク転。
でも出来る人が少ないので動きそのものに少々の説得力があり「おっ!?」となります。

一方袈裟斬りは、動きだけなら健康な身体をってる人ならみんな出来るでしょう。
そうするカッコ良い、良くないが素人にも判断しやすく、本当に説得力のある動きでないと中々納得のいく表現は生まれません。

(写真:坂本貴光さん)

「道具を振って対象に影響を及ぼす」という行為は、力学的には大きく3つに分かれると思っています。

・軽い道具で軽い対象物を操作する
(卓球、バドミントンなど)

・重い道具で軽い対象を操作する
(野球、テニスなど)

・重い道具で重い対象を操作する
(武道やアクションですね)


軽い道具で重い対象を扱うものはあまり思いつきませんでしたが、競技としてのフェンシングとかはそう分類しても良いのかな??

ただ道具振る、それだけでもそれぞれの分野や目的によって理論も作戦も変わってきますが今回の目的は、「重いもので重い対象を」。
ここに説得力を持たせなければなりません。
(よし、これで異なる分野からのツッコミに対する保険はかけたぞww)

袈裟斬りを例に、そうした説得力を持たせるためのコツのひとつをご紹介しようと思いますが…長くなりそうなので詳細は明日にします。


今日のところは最後にひとつ、私のエゴを聞いてくだい。

私が主人公の汎用モーション(ドラゴンクエストⅪ、メタルギアライジング、ニーアオートマタや無双シリーズなど)を担当させてもらうときには、ひとつ必ず意識していることがあります。

それはプレイするユーザーさんに「自分にも出来そう!」って思ってもらえるようにということです。
器械体操やダンスの動きなんかを見てても、すっごいことやってるのにだんだんと自分にも出来そうな気になってるくる。そんな経験ありませんか? あれです^^

主人公は自己投影をするキャラクターです。だんだん自分にも出来るような気になってキャラクターとの境がわからなくなるくらい没頭し、感情移入出来る操作感を。
そんな感覚を味わってもらえたら素敵だなぁと考え、上記の骨の説得力を含めアクターの立場より微力ながら色々と試みております。

それがいったいどれだけ影響を及ぼせているかは分からず勝手にやってるだけですが、いつからか自分にとっての大きなテーマのひとつになっております。

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