気の向く時にやっていこう

この春になって私は絵を描き始めた。きまぐれな私が再び絵を描いているのは2月に好きなキャラクターが出来たからである。私はそのキャラクターを元々謎が多くて調べたり考えたりしてみても掴めない面白い存在として見ていた。新たな一面に圧倒され、数日はふと泣いたり眠れぬ夜もあったが、深みが増してなお底がまだ見えないことに感動した。ここまで一人のキャラクターに没頭したのは10年ぶりである。

私はキャラクターのことばかりを考えていて、毎日おやつにリンゴを食べるようになった。ぬいぐるみも買いに行った。キャラクターのことを考えているので空腹による感情の荒れが落ち着くことで、自炊した食事で満足するようになったことで、自炊も楽しめるようになった。そして食事量が少なくなってなおこの感情を向ける先のなさをぶつけるように再び絵を描き始めたのである。

絵という存在は好きな世界や描きたいものがないと続かないものなのだと絵の上手い人が言っていた。私は描きたいほど好きなキャラクターに遭遇したのでまた鉛筆を手に取れるようになった。久々に描いてみると描きながら昔覚えたことを思い出していくもので、描いていてよかったなと思う。

絵は時間を掛けるしかないと絵の上手い人からは言われているが、それはそれとして私は予約した本は図書館に取りに行くし、自炊のためにスーパーに行って買い物をすることは変わらないし、自炊に飽きない程度にコンビニに寄って弁当やスイーツも食べるだろう。初心者向けの本を読んで満足した語学の学習はこれからどうなるのかはわからない。

職人のように上達して何かの足しになるほどになるわけではないし、今も無理をしないという行為の範囲が狭くて不自由なことは変わらないのだが、やりたい時にやりたいことをやるというのは純粋に楽しいし気分がいい。肩ひじ張らずに楽しんでやるくらいが私にとっては丁度がいいか限界なのだと思う。

これからも何かしらの物事に夢中になったり、落ち着いたりということが繰り返されていくのだと思う。昔は始めた責任のようなものに追われることが多かったけど、今は飽きたことを咎める人はいないので、やりたいと思った時には手を出せるようにしたいなと思っている。季節が移り変わるように自分の趣向の移り変わりに罪悪感を持たないようにしたい。そんなことを気まぐれに思うのだ。

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