見出し画像

第五人格で囚人を最高に活かせる構築を考察した【囚ポス】

囚人を使った構築を考えたい!

第五人格というゲームにおける解読職。
その中でも囚人というキャラは本当に面白い存在だ。

独特のスキルを持っていながらも、いまいち使い道が見つからない問題児。
私はこのじゃじゃ馬を乗りこなして見せたい。
囚人を最高に活かせる構築を考えたいのだ。
このキャラを最も活かせる構築とは一体どういう物なのか?
他の解読職と差別化しつつ囚人の持つスキル"送電"に強みを持たせられるか?
そして囚人を活躍させる事はできるのか?
そうして考え続けた結果、私はある一つの結論パ
ーー【囚ポス】にたどり着いたのだった。
これは、一人の囚人使いの壮大な戦いを記録するものである。


基本にならえ


というのも囚人というキャラは
・解読職なのに解読がたいして速くない
・なのに能力で解読速度に自らデバフをかける。
・解読職にしては高いチェイス力を心音デバフで台無しにする。
・そうまでして手に入れた送電という能力を使いたい状況があんまり無い。
といった理由で一般的には弱いサバイバーとされている。
こういうのを見るとつい使い道を考えたくなってしまうのがゲームおたくのサガである。

そのためには囚人を中心としてメンバーを選定していかなければならない。
そこで私は考え始めた。

今の所は構築の方向性がまだ見えない。
まずは基本的な構築を見て、囚人を活かす上での課題を洗い出してみよう。

1.傭兵 2.オフェ 3.技師 4.囚人

とりあえず思いついたのはこれ。
傭兵オフェが救助・粘着しに行った後の暗号機解読を囚人が引き継ぎ、技師が解読進捗を稼ぐパーティだ。
それぞれの特徴が噛み合っていてランクマでもたまに見た基本的なパーティである。

……理論上は。

この構築における盲点は「傭オフェは誰を救助しに行くのか?」である。
そう、この構築では技師囚人がほぼ必ずチェイスを引くと思って良い。

まず囚人がハンターに追われた場合だが、送電を活かすことはほぼ不可能となる。
救助された後の「危機一髪」での猶予時間に一度繋いだくらいでは、送電を活かせているわけが無いからだ。
もちろんチェイス中に繋ぐ暇なんか無い。

そんなので仕事できるならこんな苦労はしていないのだ。

「危機一髪」中は存在感を与えないように寄せられないように暗号機から離れてほしい。
というか送電を活かすためにパーティを作る事を考えると、送電できなくなった時点で完全にコンセプトが崩壊している。
勝てるかどうか以前に囚人である必要が無くなってしまうのだ。(技師は追われてもロボがいるので技師である必要が生じる)

技師が追われた場合だが、そもそも技師が座っている時点でロボ回路なぞやっている場合ではなく、ロボの前の一台に集中していただきたい。
そして大抵の場合、その一台を上げ切った所で技師の役割は終了であり、これまた囚人の出番は無い。

つまり、この構築で技師囚人間のシナジー(相互作用)は薄いのである。
この構築で見えてきた課題は以下の通り。

1.送電を前提とした構築で囚人が追われるとコンセプトが崩壊する。
送電を前提とする以上、送電に強く依存する構築になるため、囚人が追われた時点で負け筋となりうる。
→囚人以外に追われてくれる「おとり」役が必要
→囚人にチェイスを押し付ける事になる救助キャラと冒険家はアンチシナジー

2.送電を前提とするため積極的に暗号機を離れる必要がある(上がる寸前の暗号機を作る必要がある)。
→暗号機が上がりそうな状態で暗号機から離れる理由が必要となる

3.送電を前提とするためキャラクター毎の暗号機の解読速度に差をつける必要がある。
→解読速度の高い方は囚人でなくても可

この3点を満たす必要がある。
まず1だが、これは実に厳しい。
救助キャラは現代第五人格理論(なんだそれは)では必須とされており、総じて高いキャラパワーを持つ。
しかし4人の内絶対に追われないキャラを一人入れたとき、囚人が追われる確率は8%以上もアップするのである。
送電を前提とした構築である以上、送電を封じられると直接負けに繋がる恐れがある。
追われないキャラ一人で相当に構築の強さを底上げできなければリスクが高すぎる行為だ。
つまり救助キャラ全部ダメである。
この環境で救助キャラをセルフBANとは驚いた。
なめとんのか?

そして2だが、これもまた難しい。
上がりかけの暗号機から離れる必要は救助時でもなければ存在しない。
仮に離れても救助職なら真ん中を回している事が多く、祭司ならロングワープで相互に引き継ぎしやすい。
正しく連携すれば引き継ぎができない事の方が少ないのだ。
逆に「端っこで上がりかけであろうと構わず離れられる」という点を活かせなければ囚人は使えないだろう。

3も囚人を使う上では重要な要素である。
送電は引き継ぎに使うのが基本だ。
しかしそんなの試合中に一度あるかないかというレベルである。
送電を前提とした戦略では引き継ぎ以外の役割を与える機会が必要となりそうだ。
これはハンターの近くで手をつけられている暗号機に送電したり、ラスト二台を効率的に解読する事で達成できる。
囚人、もしくは他のキャラクターが(相対的に)速い解読速度を持っていればこれらの仕事を行いやすい。

技師と囚人のコンビがなんとなく相性が良いとされているのはご存知だろう。
相性が良い正しい理由は技師が123の要素を常に満たし続けるからなのである。
(技師は追われやすく、救助とロボの関係上中途半端な暗号機を作りやすく、解読も速いか遅いかの二択になる)

これは今回の考察で初めて気がついた点だ。
技師が強いだけじゃなくてちゃんと理由があって相性が良かったんだなあ。


相方はいずこ


囚人を活かすための三つの要素を手に入れたワケなのだがここから構築は難航した。
かの有名なデッキビルダー・まつがんは自身の構築への考え方としてこう語っている。

自らの理想のカードの能力を具体的にイメージすること。そしてそれに近い能力を持つ現実に存在するカードを探し出すこと。これはデッキを完成させるにあたってなくてはならない作業である。


私は理想のキャラをイメージする事ができたものの、それに近い能力を持つキャラを見つけることができずにいた。
追われるけど解読速度に特徴があって、寸止めを引き継ぎにくいキャラクター。
ついでに囚人・技師と差別化できていて足りない仕事もこなしてくれそうなやつ。

そんなキャラが本当に存在するのだろうか?

いくら探しても環境の中にお目当ては見つからない。
当てもなく囚人でマルチに繰り出し、うだつの上がらない戦績を作る毎日。
私の囚人もフードと肘当てをつけ始めまるで別人のようになってしまった。
そしてこの計画ごとお蔵入りしそうになっていたある日のこと。
大規模なバランス調整で様々なサバイバーが再注目されている中にヤツはいた。
ヤツを試しに使ってみて私はすぐに気がついたのである。

「あっ!!こいつだ!!」

私はすぐさまこの計画を思い出し、何故かはじっこの方でホコリを被っていた囚人を引っ張り出してはマルチを回し続けた。
囚人を活かすための1.2.3。
それらの要素を全て満たすサバイバーを発見したのである。

ポストマン

ポストマンである。

長年最弱候補に入れられていた
ポストマンである。

まず、ポストマンは普通に追えるので1を満たす。
にも関わらず犬と手紙のおかげで少なくとも囚人よりはチェイスを行うことが可能だ。

2については、手紙込みで救助役としても動けるので手をつけていた暗号機が残されやすい。
それでいて救助職ほど強気で中央を解読する事は少ない。
その為に残された暗号機の引き継ぎに時間がかかりがちだ。
よって満たす事ができる。

さらに3も冷静の手紙の効果で満たす事ができるのだ。

ついでに囚人のゲート送電を希望の手紙で補助できるという地味に唯一無二のコンボもできる。
正に完璧!ポストマン囚人のコンボで構築が現実的になってきた。


集え!仲間達


残りの枠はポストマン囚人を補う為のキャラを入れる。
ここで考えるべきはポストマンとのシナジー。
囚人と相性が良いだけでなくポストマンとも連携できるキャラを入れた方が、構築の総合力は高まるからだ。

次の一枠は囚人との相性が良く「危機一髪」も持ち込めて、ポストマンでのカバーが効果を発揮しやすい技師を採用。
こいつはキャラパワーも高いため、構築全体の力を引っ張り上げてくれることも期待している。

最後の一枠を考えていく。
ポストマンは味方の解読デバフを緩和する能力が非常に強力なため、解読デバフを持つキャラと相性が良い。
解読デバフがあってでもチェイスや救助も強めに担当できるキャラが欲しいところだ。

囚人と9を取り合う占い師は非採用。
カウボーイは救助役になれそうだが女キャラが少なく、追われづらいのが難点。
バッツマンも救助役になれるが、構築に血の女王が一貫してしまう上に追われにくいのが難点。
庭師(この構築では占い師と差別化できる)、炭鉱も考えたが過労死しそう。
バーメイド他は仮想敵が居らず役割が宙ぶらりん。

熟考の末、候補は祭司、調香師となった。

祭司は環境でも36でチェイスや救助をこなしている安定したキャラ。
解読デバフやロングワープを繋ぐ時間で遅れる解読もポストマン囚人で補える点が噛み合っている。
囚人単騎では引き継げない遠方のちょっとだけ進んだ暗号機でも祭司が引き継ぐ事もできる。
限定的だが確定救助もできるし、地下救助や解読圧、立て直しにも役立つ。
囚ポスはキャラパワーの低さのため、この枠に求められる仕事量はとても多い。
祭司を入れれば構築の対応力を大幅に上げてくれるだろう。

調香師もチェイスと救助をこなせるキャラだが、対応力ではかなり劣る。
こちらは血の女王に強い点が長所だ。
構築単位で血の女王が刺さりやすいので対策枠として使う。
基本は祭司を採用し、血の女王に対する耐性を強めたい場合に調香師を起用するのが良さそうだ。


間話・デバフを緩和する能力が何故強いのか
(読み飛ばしても良い)

速度に関わるバフ・デバフは速くなるほど効果が薄くなり、遅くなるほど効果が大きく作用するという特徴がある。
そのため、バフを重ねるよりもデバフを解除する方が効果が高くなりやすい。
例を出すと、弁護士が100%→120%で解読するよりも囚人が110%→110%で解読する方が1.3秒だけ速い。
技師の機械マスターによるたった3%のバフでも、オフェンスの強いデバフを緩和すれば5秒も解読が速くなる。
ハンターが悪化パニック崩壊で積み重ねた治療デバフはかなりの効果を発揮するが、祭司が一人いるだけでガッツリ減らされたりする。
(ちなみにこの仕様のせいで囚人の送電負荷が緩和された結果シナジーが落ちるという現象が発生している。囚人以外も送電を使いセルフ解読デバフを起こして対処すると良い)


最後にBAN対象などを考える。
ボンガラからメタられる占い師が居ない為、解読を重視するこの構築はボンガラに強く出られる。
犬と手紙を用いた距離チェを行うことで時間を稼ぎ、捕まっても見捨て(弱体化後のボンボンなら救助も不可能ではない)で上がり切るだろう。

ただし環境にボンボンガラテアが極端に多い場合は納棺師を採用すること。
ボンガラに強いが救助職を採用できないこの構築は相対的に納棺師との相性が非常に良いためだ。
血の女王には調香師を刺せなければ弱いが、環境から数を減らしているため勝率には影響しにくいと考える。
そういうわけでBANは破輪か夢の魔女とする。

こうして以下の構成が完成した。

【囚ポス】
メイン 1.囚人 2.ポストマン 3.技師 4.祭司
サイド    納棺師 調香師
BAN対象 : 破輪、もしくは夢の魔女。


・3は技師がBANされた場合は相手をボンガラと見て納棺師を採用する。殿堂級以下で技師を使える人が居ないなら代わりにポストマンを入れても良い。
・4は殿堂級以下ではポストマンでも良い(納棺師を入れるなら祭司)。相手が血の女王で来そうなら調香師に変える。
・人格は囚人だけ9でそれ以外は6を取る。

理論上これが囚人を最も活かすことができる構築となる。
最悪の場合囚人ポストマンポストマンポストマンとなり、もはや何を活かしたかったのかわからなくなってくる事を除けばとにかく最強である。
四vcを繋ぎ連携を取れば(たぶん)徒歩ハンターの殆どが対抗する事ができない。
メタである血の女王は現在数を減らしつつある。
先のバランス調整も相まって環境的にこの構築に追い風が吹いていることがわかるだろう。
もしかすると誰も知らなかった意外な力を見せてくれるかもしれない。

完成!最強?

早速実戦で試してみたところ、私はすぐに【囚ポス】の底知れない性能に気がついてしまった。
この時はガラテア相手で大したチェイスをできていなかった。
にも関わらず解読速度がだだ余りし、残り1台の寸止めを作れる。
それだけでは飽き足らずフィールドに残った残りの2台もそれぞれ寸止めにしてしまったのだ。
実に解読進捗は合計713%(送電ロスや協力解読を含む)。

運営の気楽なバランス調整は、とんでもないバケモノを環境に放ってしまったのかもしれない。
(7台も解読してる時点であまりまともな試合ではなかったのだけれど)
この構築がランクマに溢れる日も近いだろう。
一風変わった構築で戦いたい方や占い傭兵に飽き飽きしている方はぜひ使ってみて欲しい。

まあ傭占祭技の【スタンダード】の方が絶対強いんだけどな!

だけど。

一つのコンセプトの元に構築を作り、その結果として環境キャラが抜ける。
こうした事例は、既に第五人格内に存在している。
【お散歩】【爆速】がそうだ。
それぞれランクマでも使われていた構築だが、これらも構築単位でコンセプトに向かっている点では【囚ポス】と同じである。
【囚ポス】と比べればコンセプトはややシンプルだが。

もしも。
もしもこれらの構築がまだ未熟な物だとしたら?
まだ第五人格が考察されきっていないが故にシンプルなコンセプトで止まっているだけだとしたら?

ポケモンやmtgだって最初の構築は【スタンダード】【グッドスタッフ】から始まった。
後に【ハイビート】など、構築にシンプルなコンセプトを持たせたデッキがこれらを抑えた。
やがて【除去ガジェット】のような発展形が主流となった。

占傭技祭の【スタンダード】を打ち崩して来たのは、シンプルなコンセプトを元に構築を組みなおした【お散歩】【爆速】だった。
なら、次は?


終わりに

第五人格の構築論はサービス開始からの年月が長いにも関わらず、【スタンダード】からの発展形を見る事はない。
これはTwitter、YouTubeを始めとする媒体で「環境」と呼ばれる物があたかも固定化されている物のように扱われてきたからだ。
だが本来、環境というものはそれだけの物を指すのではなかったはずだ。

2009年ポケモンWCSで優勝をもぎ取ったのは当時全盛期の環境構築・【雨パ】ではなく、
雨パを徹底的にメタった【ドクロエンペ】だった。

1996年MTG世界選手権において優勝したのは、環境を一色に染めた【ネクロディスク】ではなく、
それを徹底的にメタった【12knights】だった。

環境を席巻していたボンガラに対抗したのは、弱小サバイバーでありながらも唯一メタを張る事ができる納棺師であった。

特定の強いと言われる者が居るからこそ、本来勝利するほどの力を持たない者たちは打ち勝って来た。

環境とは与えられる物ではなく、私達で作り、回して行く物なのだ。

これからの第五人格では今までの常識を覆すような構築が生まれ始めるかもしれない。
そしてもしもそうなるなら、この【囚ポス】も始まりに過ぎないのだろう。


↓次の記事


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?