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経済学・経済論

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マクロ経済学や国際経済学、財政金融政策、貿易政策、産業政策などについて論じたコラムをまとめます。 2017年6月~9月分をまとめた第一巻はこちらhttps://note.mu/m… もっと読む
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#財政政策

野口旭氏『MMT(現代貨幣理論)の批判的検討』に関するMMT(er)の“弁明”

こんにちは、私は望月慎(望月夜)@motidukinoyoruと申します。(blog「批判的頭脳」、togetter、noteマガジン一覧) つい先日(2019/9/20)、AWニュースWeekly(ニコニコ動画・YouTube)の方で野口旭氏と対談させていただきました。 時間の関係で話せずに終わったことが多くあり、今回は、広く皆様の議論の叩き台となることを望んで、野口旭氏に放送前にお送りした書簡の内容を共有させていただこうと思います。(放送用に用意していたスライドも併せ

ニューケインジアンの金融政策無効論、MMTの金融政策無効論

こんにちは、私は望月夜、あらため、望月慎@motidukinoyoruと申します。(blog「批判的頭脳」、togetter、noteマガジン一覧) 以前(2019/7/23)、AWニュースWeekly(ニコニコ動画・YouTube)の方でModern Monetary Theory(MMT)について語るという議題で出演させていただいたのですが、次回、2019/9/20(金)にて2回目の出演を予定しております。 次回出演時は、以前時間が足りず語れなかった『MMTによって防

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Modern Monetary Theoryの概説(note版)

こんにちは、私は望月夜、あらため、望月慎@motidukinoyoruと申します。(blog「批判的頭脳」、togetter、noteマガジン一覧) *出版します:『図解入門ビジネス 最新 MMT[現代貨幣理論]がよくわかる本』 今回は、立命館大学経済学会セミナーにて、望月夜名義で研究報告させていただいた、『Modern Monetary Theoryの概説』について、noteの形で紹介・解説させていただきたいと思います。 この報告は、後に論文(というより研究ノート)と

ポリシーミックス、ヘリコプターマネー、政府紙幣発行論の違い

バブル崩壊以降の不況の中で、これまで数多くの財政政策論が提唱されてきました。 今回、それらの財政政策論のうち、三種類を分類&ピックアップして、その相違点を整理しながら解説したいと思います。 三つというのは、ポリシーミックス(金融政策+財政政策)、ヘリコプターマネー、政府紙幣発行論です。 これらの財政政策論は、財政拡張が前提であるものもあれば、必ずしも財政拡張が必要ではないものもあり、中央銀行の応分(同額)のマネタリーベースが行われるものもあれば、それが必要なわけではない

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バブルと長期停滞の関係と対策 / "北欧モデル"の落とし穴

近現代型の金融資本主義経済は、バブルとは切っても切れない関係にあると言っても過言ではありません。 (バブル経済-Wikipediaより) 昨今は特に、日本のバブル景気(崩壊後、"失われた20年"に陥った)、中南米バブル(崩壊により、メキシコ通貨危機などが生じた)、世界的な不動産バブル(このバブルの崩壊は、俗に”リーマンショック”と言われる世界同時金融危機を起こした)といった具合に、バブルとその崩壊(ブームとバースト)は、その規模と頻度を大きくしてきているように見えます。

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「信用創造」(銀行融資による貨幣創造)に関する誤解とその修正

信用創造という言葉は、一般的には以下のような(誤った)意味で理解されているのではないかと思います。 信用創造とは、銀行が預金と貸し出しを連鎖的に繰り返すことで、お金(預金通貨)が増えていくしくみをいいます。(ウェブページ金融大学より) より具体的に言えば、以下のような理解(というより誤解)です。 (いずれも日本語版の信用創造Wikipediaから) こうした説明は、公民の教科書や経済学の教科書などでも繰り返され、疑うことも出来ずに信じ込んでいる人々が大勢居ると思います

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中央銀行の存在意義と機能限界 前編

※※※「望月夜の経済学・経済論 第一巻」(11記事¥2800)発売中!(ただしこの記事は含まれていません)※※※ 中央銀行の役割・役割範囲については、いくつかのnoteで間接的に触れてきました。 例えば、なぜ異次元緩和が失敗に終わったのか(及びアベノミクス(ないしリフレ派)の理論、及びその欠陥(マニアック))では、中央銀行がマネーサプライおよび総需要に影響を持たなくなる経済状況(信用創造の罠)について論じました。「お金」「通貨」はどこからやってくるのか?では、マネーサプラ

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ケインズ経済学モデル概説…IS-LM、マンデルフレミングモデル、AS-AD

「ケインズは死んだ」と喧伝されるようになって、既に長い年月が経過しています。(ロバート・ルーカスが『ケインズ経済学の死』というスピーチをしたのは、1970年代のことだそうですので、死が宣告されてから実に40年もの年月が経過していることになります) ケインズの死として表現される事象には色々なものがありますが、大まかに言えば 「『名目総需要が経済において問題になる』という考えが、新しい理論において否定された」 「したがって、金融財政政策が経済に対して有効であるという考えも否

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「お金」「通貨」はどこからやってくるのか?

ATMから現金を引き出して店頭で物を買う、通販を預金振り込みで利用する、クレジットカードで買い物をして後日口座から引き落とされる……。 私たちはこういった様々な形で、「お金」「通貨」を購買に利用しています。 しかし、我々が利用しているお金(貨幣、money)は、元々はどこからやってきたのでしょうか? 「中央銀行がすべて作ったのだ」あるいは「中央銀行がすべての源である」という主張もありますが、実はそれは大いなる誤解です。 (こうした誤解は、「中央銀行が貨幣を完全にコントロー

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財政政策の指針 ―公共的側面と総需要的側面―

読者からの質問で、「では、望ましい財政政策とは一体何なのか」というものがありました。 そこで、「財政政策は、どのような観点、哲学で決定されていくべきなのか」ということについて、簡潔に述べていきたいと思います。 ①財政政策の公共的側面 ②財政政策の総需要的側面 ご関心のある方はぜひご購読願います。 ※※※このコラムは、望月夜の経済学・経済論 第一巻(11記事 ¥2800)、望月夜の財政論まとめ(7記事 ¥1600)にも収録されています。※※※

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なぜ異次元緩和は失敗に終わったのか

2013年3月に黒田東彦総裁が就任して以来、いわゆる『異次元緩和』は4年以上に渡って続けられてきました。 2013年3月は130兆円ほどであったベースマネーは、2014年3月に210兆弱、2015年3月に280兆強、2016年3月に360兆強、2017年3月には実に436兆円にまで拡大しました。まさに「異次元」の緩和であったといえます。 (マネタリーベース額面の推移 日本銀行「主要時系列統計データ表」より) 一方で、目標として掲げられた「2%インフレターゲット」の方は、

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