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ストークス・トーク

まただ。

あたしが視線を感じて振り返ると、山下くんが慌ててそっぽを向き、口笛を吹いた。わざとらしいって騒ぎじゃない。

だが追求はしない。彼に嫌われたくないからだ。正確には、彼の親友の笹原くんに。

おっといけない。あたしは発信機で笹原くんの位置を特定し、慌てて後を追った。


またか。

俺はスマホを見てため息をついた。吉岡さんが付けた発信機の作動を、盗聴対策アプリが通知したのだ。

だが女の子に追われるのは慣れてたし、何より彼女を傷つけて、山下に嫌われたくはない。

同性しか愛せない。昔それがバレたとき、俺は築いた人間関係を全て失った。ただ一人、山下を除いて。

その時は別に特別な感情はなかった。

でも今は、吉岡さん越しでも、アイツがずっと俺を見ているというだけで…なぜか満たされた気になるんだ。


彼らの追って追われる日々は、唐突に終わりを告げる。

W杯の決勝戦。揃って寝坊した朝。駅への十字路で3人はバッタリ鉢合わせたのだ。

【続く】

それは誇りとなり、乾いた大地に穴を穿ち、泉に創作エネルギーとかが湧く……そんな言い伝えがあります。