ドライブ・イン・ホリデイ
車窓越しに通行人のアホ面を見て、俺は思わず吹き出した。ま、無理もない。禁じられし軽を公道で見りゃあな。
汚染対策により、個人の自動車運転は5年も昔に全面禁止。渋滞って言葉も今は死語。だがよ、週末のドライブは俺の唯一の楽しみだったんだぜ?
俺は鼻をほじり、誰にも気兼ねなく最大音量で放屁した。下品、サイッコー。5年分の自堕落が心を満たしていく。その時パトドローンが現れた。
「君、許可証!」「あいよ」
俺は許可証を見せた。が、奴は納得しなかった。
「ふざけてるのかね君は!」「ああ?」
俺の直筆許可証に何の問題があるってんだ。通行人の不在を確認し、ショットガンをぶち込む。KBAM! ドローンは爆発した。
ガソリンは満タン。これが切れるまで。それが俺自身に課した許容量。最後のドライブだ。だから…
「見逃してくんねえかねえ」
後方から大挙するドローンに呟く。ま、賑やかなドライブは間違いなしだ。俺は人目を憚らずに笑った。
【続く】
それは誇りとなり、乾いた大地に穴を穿ち、泉に創作エネルギーとかが湧く……そんな言い伝えがあります。