パラサイト 半地下の家族 プレゼン

パラサイト~半地下の家族~はポン・ジュノ監督による韓国映画である。
この映画は2つの対照的な家族をメインにどうにもならない貧富の差を時にコメディチックに、時にシリアスに描いている作品だ。
半地下(半分が地上に出ている建物)のアパートに暮らす4人家族のキム一家は全員失業中で貧しい生活を送っていたがある日キム家の長男ギウは友人に富豪のパク家の長女の家庭教師を依頼される。身分を偽り家庭教師として仕事を勝ち取る事に成功したギウだったが、妹のギジョンをパク家の長男の美術教師として紹介した事を機に一家は次々とパク家に『パラサイト』していく。
この作品の魅力の1つは前半はキム一家の計画が順調に進む様は痛快かつ爽快でクライムサスペンスとして楽しめるが計画が綻び始める後半は様々な謎や伏線が一気に回収されるミステリーとなるところだ。
特に最序盤から張り巡らされた何気ない描写の数々が伏線として機能し、これまでの謎が予想外の形で明らかにされる為衝撃を味わえる。
もう1つの魅力はこの作品が徹底的に『貧富の差』を描いているという点だ。
これは単純にわかりやすい生活の差というだけでなく、どうやっても変えられない精神的な意味での貧富の差も描いている。
貧乏人が金持ちの振りをしたところで身に沁みついた貧乏の雰囲気は消えず、本当の金持ちとはどうしても馴染めないし価値観を同じくする事もできない。
そういった生々しさがこの作品からは伝わってくる。
どれだけ努力したところで変えられない、現実の残酷さは見ているこちらにも重い陰を落としてくる。
だがその陰鬱な事実を演技や脚本だけではなくカメラワークや演出などありとあらゆる手法で描いている為どこか引き込まれる強さを感じる。
この作品は監督が『周囲を見渡すと貧富の格差はどこにもあるのにも関わらず誰もが隠したがる。その事実を隠さずに素直に映画で描写してみたかった』『人は何故共生するのが難しいのか投げかけたい』という意図を持って作られている。
単純なエンターテイメント作品としての出来も超一流といっていい本作だがエンタメ目的で見るだけでなく『貧富の差』について多少なりとも考えた事のある人や『人との共生』について興味がある人には是非見てほしい。
これは貧富の差を描いた作品だが単にそれだけには留まらず今の時代そのものを凝縮して描いている。
目にした人の記憶に強く残る印象深い作品である事は間違いないのだから。

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