劇場版 FINAL FANTASY XIV 光のお父さん感想

 以前原作であるブログ記事をまとめた書籍を読んだことがあるので、映画の方も見てみようと思い鑑賞した本作。
 感想としては普通に面白かったです。
 親子間のわだかまりがオンラインゲームを通して徐々に氷塊し、互いの愛情を再確認する様子はベタだけど丁寧な作りになっていたなと。
 コミカルなシーンもそれなりにあって笑えたし。
 ただ一方で欠点を挙げると、本筋である『主人公と父親がオンラインゲーム内で他人同士として接する』とは無関係な話がやたらと挟みこまれていて物語がややぶれてしまっているのがなぁ。
 具体的には主人公に恋する同僚の存在や、主人公のプレゼンの合否や主人公の妹の彼氏の問題など本筋には全然関係ないし無くても問題はない。むしろ無い方が纏まりが良い。
 元はブログ記事であるという事を考慮すると、ブログの内容をそのまま映画に反映しても『映画』にはならないからとりあえず色んな話を入れて物語に起伏を作ろうとしたのは理解できるのだが、その代償に『いかに父親に自分だとバレないようにするか』という面白さが半減してしまったのが惜しいところ。
 特に主人公に片思いする同僚の存在は絶対に要らなかった。
 彼女の役回りは『主人公が何かに没頭している様子が気にかかる』『たまたま主人公がFFXIVをプレイしているのを知る』『自分もFFをやって主人公と交流する』というものなのだが彼女の出番は全編通してもそこまで多いとは言えず、彼女の存在は必要なかった。
 また物語の全体から具体的なオンラインゲームの楽しさに関する説明などはなくただ『このゲームは素晴らしい』というような抽象的なセリフが多い。
 一応現実のゲームを舞台にしている以上宣伝としての側面もこの映画にはあるのだが、同僚も上記のようなセリフを言っているのでやはり彼女の存在は単にゲームの宣伝の為だけに捻じ込まれたのだろう。
 まぁオンラインゲームの専門用語を出しすぎると、知らない観客が置いてけぼりになるためそこら辺の塩梅を加減する必要があったわけなのだが。
 ブログを一本の映画にするのと同時に、FFXIVのCMとしての役目も果たさなきゃいけないという制作陣の苦労がわかりやすく見えてしまっているのがなぁ。
 ただ現実側のサブストーリーの取って付けた感に目をつむれば親子の作品だけではなくコミュニケーションツールとしてのゲームを描いた作品としても良作だとは思う。
 普通に面白く見れる作品でした。

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