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【短編声劇台本】月の国-お月見騒動-(男3:女:2)

登場人物

・かぐや/女
月の国のお姫様。自由奔放でドラマとかにすぐ影響される。

・月島(つきしま)/男
かぐやに仕える執事長の兎。物腰柔らかに思えるが腹黒く偶に冷たい。

・ユウ兎(ゆうと)/男
かぐやに仕えるオス兎。真面目で苦労性のツッコミ役。

・兎ウヤ(とうや)/男
かぐやに仕えるオス兎。見た目は幼いがかなり短期。

・イ兎ウ(いとう)/女
かぐやに仕えるメス兎。怒らせると怖い計算ロリ。語尾は「ぴょん」。

【時間】約15分
【ジャンル】コメディ



月島、モノローグ調に喋り出す。

月島「ここは月の国。星空に一番近い美しい国です。この国は美しい姫様と可愛らしい兎の召使い達が賑やかに暮らしております。私の名は月島。姫様に仕える兎達のリーダー、執事長とでも申しましょうか?本日も姫様の為に私達はふさふさな耳としっぽを揺らしながら汗水垂らし働……」

かぐや「きゃーーー!!」

月島「………ん?今のお声は姫様…?姫様?かぐや様ー?」

月島、かぐやの声が聞こえた部屋へ行く。

かぐや「月島!大変よ!事件よ!!」

月島「…如何されましたか?かぐや様」

かぐや「お月見用のお団子が減っているのよ!!」

月島「なんですと!?……え」

かぐや「なんてことなの?月の国ではお月見はとても大切なお祭り…お団子はとても大切なお供物なのに…」

月島「…2、3個なくなってますね。多くあっても困らないし、別に作れば良い気もするが…(ボソッ)」

かぐや「これは大事件ね!今日この部屋に来た使用人は誰?その兎達が容疑者だわ!」

月島「…そういえば姫様、最近探偵漫画読んでたな」

かぐや「私が犯人を見つけてやる!まずは容疑者を呼んで来なくっちゃ!」

部屋を出て行くかぐや。

月島「あ、……行っちゃった…うーん……」


数十分後。
部屋に集められる3羽の兎達。

かぐや「ふふん!貴方達が容疑者ね?」

ユウ兎「容疑者!?一体何の話ですか?」

兎ウヤ「僕たちお月見の為に準備してたんスけど!」

イ兎ウ「お月見に間に合わなくなっちゃうぴょん!」

かぐや「容疑者はユウ兎、兎ウヤ、イ兎ウの三匹よ」

月島「イ兎ウちゃんだけ苗字みたいですね」

イ兎ウ「イ兎ウはイ兎ウだぴょん」

ユウ兎「名前以外にもツッコミ所がある気がするけど…」

兎ウヤ「で、何スか!?容疑者とか何の話しっスか!?僕たち忙しいんスよ!」

かぐや「兎ウヤは短気ね。よく聞きなさい?実はお月見用のお団子が減っていたの!これは大事件よ!月の国きっての大事件!!」

三羽「なんだって〜(ぴょん)!!?」

ユウ兎「……って、新しく作ればいいのでは?」

かぐや「きっとこの中に犯人がいる…!私が犯人を見つけてみせるのよ!」

月島「今の姫様は話を聞かないから、申し訳ないが付き合ってくれ」

兎ウヤ「月島さんも大変なんスね…」

かぐや「まずは順番にアリバイを聞くわよ!」

月島「では、最初はユウ兎から」

ユウ兎「アリバイって…そう言われても俺達は一日中お月見の為に準備をしてました。お団子を用意して飾り付けやすすきを摘んできたり。それに俺はお供え用の団子を食べるなんてはしたない事はしてません!」

かぐや「それは誰に誓える?」

ユウ兎「え?」

かぐや「それは神に誓える事?」

ユウ兎「いや、大袈裟じゃないですか…?」

月島「なんだか喉が乾いたので飲み物を取ってきますね」

ユウ兎「え?ちょっと月島さん!?」

かぐや「あんたはちゃんとお天道さんに顔向けできる事を今までしてきたの!?」

ユウ兎「なんですか、その詰め寄り方!?」

月島「そういえば、姫様…前は古い刑事物とかよく見てた気がするな…」

かぐや「本当の事を言えーー!!」

ユウ兎「本当の事です!俺は何も知りませーーん!」



月島「お茶を淹れてたら戻るのが遅れました。どうですか?姫様」

かぐや「ダメ、全く分かんなかった」

ユウ兎「うさぎ虐めだぁ…」

かぐや「次、兎ウヤ!」

兎ウヤ「今のやりとり見てまともな話し合いが出来そうにないのが腹立つッスね…」

かぐや「貴方のアリバイは?」

兎ウヤ「行っておきますけど僕はお団子の用意はしてません!なのでお団子を置いていた部屋には行ってない!」

かぐや「もしかしてアリバイがないからそんな見苦しい嘘を吐いてるのね?なんて小賢しいのかしら!兎の風上にも置けないわ」

月島「それは意味が分からないです」

兎ウヤ「それに僕が犯人ではない決定的な証拠があります!」

かぐや「なんですって!?」

月島「お?」

兎ウヤ「僕は…僕は…………お団子よりお饅頭の方が大好きだからッス!!」



月島「……それ意味ある?」

かぐや「なんですってー!?くっ…これは決定的な証拠だわ…疑ってごめんなさい兎ウヤ…」

兎ウヤ「分かってくれればいいんスよ、姫様!」

ユウ兎「何でそれで許されるんだ!?」

かぐや「最後、イ兎ウちゃん!」

ユウ兎「うわ、本当に今日の姫様一段と話聞かない…」

イ兎ウ「は〜い、イ兎ウだぴょ〜ん♪」

かぐや「イ兎ウちゃん…犯人は貴女ね?」

ユウ兎「何でそうなる?アリバイ聞いてる流れでしょ?」

月島「ユウ兎と兎ウヤが違うっぽいから、消去法で適当言い始めたか、姫様が飽きて来たか…両方っぽいけどね」

ユウ兎「理不尽!」

イ兎ウ「……かぐや様」

かぐや「なぁに?」

イ兎ウ「かぐや様は兎は寂しいと死んじゃうって知ってるぴょんね?」

かぐや「勿論知ってるわ、でもあれは科学的根拠はない!嘘よ!」

月島「まぁ、ストレスが溜まりやすかったり、病気になってても隠してしまうのでひっそりと亡くなってしまうと言う例はありますけどね」

兎ウヤ「後、昔のドラマのセリフにもあったらしいッスね」

イ兎ウ「でも…例えそれが嘘だとしても…本当に寂しくて死んじゃう子がいたとしたら……」

かぐや「……!イ兎ウちゃん、貴女まさか…」

イ兎ウ「姫様ぁ…!イ兎ウは、イ兎ウは…寂しいと死んじゃうぴょん!だから誰かの傍にいないといけないのぴょん!イ兎ウが独りぼっちになる事は絶対にないのぴょん!!」

かぐや「イ兎ウちゃん……!」(何故か感極まってる)

ユウ兎「嘘つけ!お前単独行動多いだろうが!」

兎ウヤ「そーっスよ!むしろ仕事を手伝おうとしたら一人で出来るから邪魔すんなっていつも言うじゃないッスか!」

イ兎ウ「ちょっとお前らうるさいぴょん(冷)」

ユウ兎・兎ウヤ「!」

イ兎ウ「兎ウヤ、イ兎ウそんな言い方しないぴょん。お前イ兎ウの語尾忘れてんじゃねーぴょん」

兎ウヤ「は、はい…」

イ兎ウ「謝罪」

兎ウヤ「ご、ごめんなさい…」

イ兎ウ「ついでにユウ兎も謝れ」

ユウ兎「え、何で俺…!?」

イ兎ウ「謝れボケ」

ユウ兎「す、すんません……」

イ兎ウ「もう逆らっちゃダメだぴょん♪」

月島「こわ……」

かぐや「うぅん…イ兎ウちゃんも違うだなんて一体誰が犯人だって言うのよ……はっ!まさか月島?」

月島「するわけないじゃないですか。そんな卑しい真似。姫様じゃないんだから」

かぐや「そうよねぇ…月島ってドSで意地悪で腹黒で、なんで耳としっぽがそんなに真っ白なのかしらって疑ってしまう位性格が悪くて……って、今私の事卑しいって言った!?」

月島「だいぶ貶してから気付きましたね。後一言でも言ってたら夕食を抜きにしようと思ってた所でした」

かぐや「なんて酷い事を言うのかしら!最低!まるで私がお月見用のお団子をつまみ食いしたみたいじゃない!」

月島「みたいじゃなくて、してたんですけどね」

月島以外「え?」

月島「団子を置いてるこの部屋には監視カメラを付けてましてね、事件が起きた時刻のシーンを私のスマホから見れるようにしますね」

かぐや「え、…ちょっと待って?」

月島「はい、どうぞ」

カメラの映像。
かぐや「あ〜、お腹空いたー!確か月島がこの部屋に今日のおやつを置いたって言ってたな〜。あ、これね!お団子だー美味しそ〜!パクッ。うん!美味しい〜もう一つ!」

部屋の外から月島の声。

月島「姫様ー?お月見の事で確認したい事があるんですがー?あれ、何処に行ったんだ…?」

かぐや「あ、月島に呼ばれちゃった!まだまだあるけど、確認なんてすぐ終わるだろうし、おやつはゆっくり食べたいから先に月島の所に行きましょ!」

部屋を出るかぐやの姿で映像は終了。

月島「…との事です。姫様が部屋を間違えた様です」

かぐや「……あー」

兎ウヤ「これはどーいう事ッスかぁ?姫様ぁ」

かぐや「えっと…」

ユウ兎「犯人は姫様って事で良いですか?」

かぐや「……うぅん、そのぉ…」

イ兎ウ「謝って済む話じゃないよねぇ?」

月島「イ兎ウちゃんキャラ付け忘れてる」

イ兎ウ「ぴょん♪」

ユウ兎「それキャラ付けだったの!?」

兎ウヤ「散々僕たちを疑った落とし前…どう付けて貰いましょうかね〜??」

かぐや「ご、ごめんなさいーー!!」


月島「やれやれ…これが私達の住む、月の国の日常でございます」

ユウ兎「つーか、月島さん最初から分かってたんですよね!何で黙ってたんですか!?」

月島「いや、何か面白かったので…」

かぐや「この鬼畜うさぎぃ!」

兎ウヤ「逃げるんじゃないっスよ!姫様ぁ!!」

イ兎ウ「お団子作り手伝わせるんだからぁ!ぴょん!!」

かぐや「いやー!私食べる専門ー!!」


月島「ふふっ…お月見が楽しみですね」


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