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無意識の意識化 ヒプノセラピー Episode🥀5

前回の投稿では、フロイトが、『無意識の記憶を意識させることによって、はじめて成果が得られる』と著書で説いていることを取りあげました。

しかし、日常生活の中で、人が自分について無意識である何かを、自分自身で気づくことも、人に気づかせることも、なかなか難しいということも取りあげました。

その理由として『抑圧』という問題が関わってくると考えられます。抑圧とは、一般的になってきた心理学用語ですが、とても易しく言い換えるならば、人が、見たくない、聞きたくない、知りたくない、もしくは、なかったことにしたい、忘れたい、都合が悪い…等と感じている様々な事象を、心の奥深くに閉まって蓋をして感じられなくさせること、と説明できるかもしれません。

無意識の中には、抑圧したものが沢山存在していると考えられます。人は抑圧しているものに触れそうになると、『抵抗』します。触れられないように心の奥深くに閉まったものを、わざわざ蓋を空けて中身を見てみよう、という気持ちにはなかなかならないものなので、当然のことです。

しかしフロイトも、精神分析の仕事の中で、分析される者がこの抵抗を克服することが必要、と論じています。(前回の投稿を参照して下さい。)

なかなか難しいこの問題に、ヒプノセラピーではどう取り組むのでしょうか。

ひとつには、催眠状態によって、その蓋 が緩むことが、大きな助けになると言えると思います。

深い催眠状態では、自分自身に対する意識的な判断 (顕在意識の働き) が緩みます。すると、一歩下がった視点、というものが自然と生じます。

クライエントさんは、自分という存在の外に出て、今の自分が気付かなければならないことや課題などを、自身の口から語りだします。体験が無いと非常に不思議なことのように聞こえますが、催眠状態ではどんな方にも普通に起こることです。

やはり、催眠によって心の中の蓋を緩ませられること(=抵抗を緩められること)が鍵となるのではと考えています。

臨床の現場で退行催眠を行なって効果を上げていたフロイトは、『無意識の記憶を意識させること』が、その鍵となっていることを指摘しましたが、ヒプノセラピーは、催眠という鍵を持った、幅広い領域での可能性を含んだ心理療法と言えると思います。