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スリランカジュエリーのロングセラー・Kobakoの制作裏話

こんにちは。ジュエリーマザーハウス大阪本店の長屋です。
穏やかな春への季節の変わり目、みなさまいかがお過ごしでしょうか。

コートを脱いで、身も心も軽やかにお出かけしたくなる、春のコーディネートにぴったりのジュエリー・Kobako。色彩豊かな天然石をシンプルなカッティングで仕立てた「小さな宝箱」のようなデザインです。

マザーハウスにジュエリーが初登場したのは2016年。
Kobakoはその翌年、2017年に発売され、当初は3色展開だったものが、現在では、ジュエリーマザーハウス大阪本店の限定3色を含む、全8色のカラーバリエーションにまで広がりました。

グリーンクオーツ

今回は、生産過程に携わる現場の声とともに、ジュエリーマザーハウスの奥深いモノづくりについてご紹介してまいります。
スリランカ工房の現地パートナー・大槻と、日本でジュエリーの品質管理を担当する郡山に、Kobakoの制作秘話をインタビューしました。



スリランカ工房のスタッフ
現地パートナーの大槻

シンプルなデザインだからこその難しさ

長屋:大切な想いを込めて身に着けられる「小さな宝箱」をイメージし、デザインされたKobako。大槻さんは、初めてKobakoのデザイン案を見たとき、どのような印象を持ちましたか?

大槻:本物の天然石を使ったジュエリーとしては、かなり珍しいデザインだなという印象を持ちました。
一方で、実際に制作するとなると、難しいデザインだなとも思いました。
みなさんにお伝えしたいのは、「シンプルほど難しい」ということです。シンプル=簡単と思われるかもしれませんが、あのデザインをみて、「簡単」という職人は大した職人じゃないですね。(笑)

原石をカットして、大きさを整えます

長屋:プロの目から見て、具体的にKobakoのデザインの難しいポイントはどこでしょうか?

大槻:立方体なので、少しでも寸法がずれるといびつに見えてしまう。それから、360℃どこからでも眺められるデザインだからこそ、石の中に内包物があるとすぐに分かってしまうので、原石も慎重に厳選する必要があります。完成したジュエリーはスリランカの工房でも検品をしますが、日本に送る前にリジェクト(品質基準に達していないものを弾く)される数が、Kobakoに関しては、実はとても多いことが現状です。

長屋:現地では苦労の多い商品なのですね。リジェクトされる要因として一番多いのは何ですか?

大槻:地金の部分が曲がって見えてしまうことですね。立方体で直線的な石だからこそ、地金の部分が傾いていたら一目で分かってしまいます。両サイドに穴をまっすぐ開けて地金のパーツを付けるのですが、左右対称にバランスを取ることがとても難しいんです。
正直な話、スリランカでお作りしているマザーハウスのジュエリーは、特別な技術や手法を使っているものはほとんどありません。その一方で、相当気を遣うデザインが多いということは事実です。そして、大変な手間がかかっています。

両サイドに穴をまっすぐ開けることが全体のバランスを決める大切なポイント
(画像:アメジスト)

豊富なカラーバリエーション

長屋:カラーバリエーションが豊富なKobakoですが、様々な種類の石を同じ形状にカットするにあたり、特に制作が難しい石はありますか?

郡山:おそらく、ジュエリーマザーハウス大阪本店の限定色・ブラックルチルクオーツは、制作が一番難しい石なのではないかと思います。

大槻:そうですね。ブラックルチルクオーツは、針状の結晶が水晶の中に閉じ込められている天然石です。Kobakoの面を平らにする過程で、その針が表面から出てしまうことがあります。また、針が原因で石が欠けてしまったり、穴が開いているように見えたり。自然なものなので仕方ないのですが、定まった形に揃えることが難しい石です。

ひとつひとつ研磨して、石の輝きを引き出します

郡山:それでもやっぱり、ブラックルチルクオーツで仕上げたKobakoはとてもかわいいですよね。ジュエリーマザーハウス大阪本店の限定3色の中でも一番人気の色です。
その他の限定色、ホワイトクオーツとローズクオーツも、ブラックルチルクオーツとは違ったチェックの難しさがあります。この2色は色が薄いので、内包物が見えやすいんです。製作の過程で入りこんでしまった、僅かな汚れなども見栄えに影響しやすいため、検品時にはとても気を使います。

ジュエリーマザーハウス大阪本店限定色
(ローズクオーツ・ブラックルチルクオーツ・ホワイトクオーツ)

厳しい品質チェック

長屋:厳しいチェックを通過し、スリランカから日本に運ばれてきたジュエリーを最終検品する郡山さんが、Kobakoを検品するときに特に注目しているポイントはどこですか?

郡山:Kobakoは、天然石の両サイドに穴をあけて、地金のパーツを接着して留めているのですが、芯棒が短いと、着用中に金具が石から外れてしまうリスクがあるため、品質を担保するためにも、その部分は必ず確認しています。
また品質については、実は見た目に影響のないところで少しずつアップデートも行っています。例えば、少しでも金具が外れるリスクを減らせるよう、石の表面に削り加工を施して、接着剤が流れる面積を増やすなどの工夫をしています。

磨いた石に、職人がゴールドの枠を取り付けます

長く愛されてきた理由

長屋:今は品質管理を担当されている郡山さんですが、Kobakoが発売されて間もない頃は、店舗スタッフとしてKobakoをご紹介していたかと思います。
ここまで長くお客様に愛されてきた理由は何だと思われますか?

郡山:店舗のスタッフだったときは、お客様にKobakoの紹介をもちろんしていました。ありそうで他にないデザインや、シンプルだけど石をしっかり使っていて存在感があるところ。また、Tシャツなどカジュアルなお洋服に合わせても、キレイめなワンピースに合わせても楽しめるところで支持されてきたのかなと思います。

長屋:一方の制作現場の大槻さんから見て、Kobakoの美しさをどんなところに感じますか?

大槻:Simple is beautiful. シンプルなカットの中に本当の美しさがあるといつも思っていることなので、金属であまり細工や装飾をせず、素材をありのままに活かしているところが綺麗だなと思います。
私の経験上、作ったときにこれはお客様に響きにくいだろうなというのはある程度分かるのですが、Kobakoは間違いなくヒット商品になると思いました。手間と時間をかけて、1点ずつ丁寧に仕上げたKobakoがここまでお客様に愛されているのは、私もとても嬉しく思っています。

やわらかな直線のジュエリーが完成します


大槻さん、郡山さん、ありがとうございました!


Kobakoリング(シトリン)
Kobakoピアス(ブラウンクオーツ)

今回ご紹介したKobakoは、ネックレストップの他、ピアスとリングのご用意もございます。Kobakoシリーズはこちら
いずれも、全国のジュエリー取扱店舗及びオンラインストアにてご覧いただけます。
また、ジュエリーマザーハウス大阪本店では、限定3色のお取り扱いもございます。
ぜひ店頭にて、お好きな1点を探してみてください!

読んでいただいてありがとうございました!マザーハウスをもっといろいろな角度から楽しんでいただける毎日の出来事を、生産地やお店からお届けしていきます!