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ハリボテ

 帰省していてもなぜか寝付けない日々が続いている。実家の自室の本棚には、私が中学生高校生のときに買った小説が大体3、40冊くらい並んでいる。でもそのほとんどを読んでいない。四畳半神話大系で樋口師匠が読んでいたからという理由で購入した海底2万マイルは、上下巻で分かれている時点で読もうとする気すら起きない。あとは誰かもよくわからない外国の人が書いた小説や、とりあえず買ってみたはいいものの結局読む気が起きなかった村上春樹とかがある。ハリボテの本棚は常に自責を強要していて今すぐ燃やしてしまいたいが、変な奴に買われて読まれなかった挙句燃やされる本が可哀想で燃やせていない。売るのも面倒くさくてできない。漫画でも同じことが起こっていて、最終巻の前の巻までは読んでるのに最終巻だけ読めてない『チ。』とか、一巻だけ買ったはいいものの(値段が)高くてそれ以降を買ってないAKIRAとか(AKIRAの1巻以外を売ってる人はメルカリにはいない)、一度ジャンプ+で読み忘れたせいでデンジが射精したところから読み進めてないチェンソーマンとか、気に入ってたキャラが全員藝大に落ちて読む気が失せたブルーピリオドとかがある。(今住んでいる家には最終巻が発売されて喜んで買ったのにまだ読んでないダンジョン飯もある)ちゃんと全巻揃っていてちゃんと全巻読んでいるのって『日常』と『デスコ』とかしかないかもしれない。全部が中途半端な状態で積み上がっていて、あまりに自分の性格を反映しているものだから、そういう故事成語みたいになってる。寝れなくて暇すぎるためにその本棚を漁っていたら何冊か詩集があった。ちゃんと好きな小説とか詩集とかは今の家に送っているため、好きじゃなかったりそこまで気に入らなかった詩集がほとんどだった。でも小説を読めるほどの脳みそでもないためその詩集たちを読んでみた、が、全然頭に入って来ない。頭にスラスラ入ってくる詩集ばっかり最近は読んでいたから忘れていたけど、詩集って自分に合わないやつはとことん合わないんだった。だからもう文章の質感しか感じられず、書いてあった「ぺたぺた」という単語だけが短期記憶されて、気持ち悪くなってその辺に(言葉通り)投げ捨ててしまった。つい最近ちょっとした土台が必要になったときに親が漫画を土台にしようと提案して、それを気持ち的に嫌だと断った人間が、なぜか本を投げ捨てている現状が一番気持ち悪いだろうに、なぜかそういう行為をしていた。眠くなったから寝る。

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