P副隊長

南の島の消防で火災、救助、救急を兼任しています。 見てはいけないものや、見て欲しいもの…

P副隊長

南の島の消防で火災、救助、救急を兼任しています。 見てはいけないものや、見て欲しいもの。知らない方がいいこと、知って欲しいこと色々。 ※記事はフィクションかもしれませんのであしからず。

最近の記事

子供が倒れてる。。。

もう冬も終わりかけ。 新型コロナ感染症が2類扱いから5類への議論も大詰め。 3年以上経過してるし、新型といっていいのかダメなのか分からないけど、個人的にはもうそろそろ過去のものにしてほしいな。 さて、そんな長いコロナ禍の真っ只中の話。 さわやかな春の陽気とは裏腹に、僕たちは高気密の感染防護服をきて出動し、汗だくで流行りの「整う」を通り越す毎日を過ごしていた。 その日も朝一の出動から帰ってきて、汗だくになった上着を着替えながら 「このまま夏になるのが嫌だな~。」と嘆いてて

    • 私は血の匂いが苦手だ。 普通なら場数を重ねるにつれ免疫が付く。人間は大概のことには慣れていくはずなのに。 しかし、私はこれまで数えきれないくらい見てきたはずなのに、今だに苦手なのだ。 その要因となったであろう事案を紹介しよう。 ※嫌な予感がした方、右上の×ボタンを押し画面を閉じましょう。 出動指令「30代の娘が倒れている、多量出血あり。」 出動先 ○市○町5-6-7 今でも状況をはっきり覚えている。 指令番地は閑静な住宅街の道路沿いの住宅だった。近くには小学校

      • デス ヴォイス

        デス ヴォイスをご存知でしょうか? デスヴォイスもしくはデスボイスとは、意識的、積極的に出す「ダミ声」「悪声」「がなり声」であり、主にデスメタル、ブラックメタル、グラインドコア、ゴシックメタル、メタルコア、ポストハードコア、スクリーモなどのジャンルで多用される発声技法[1]。強い怒りや悲しみなどの感情や、不気味さ、汚さ、痛みや苦しみなどを表現するために使われる。(Wikipedia) 私はメタル系の音楽も好きなのでお馴染みなのだが、知らない人は一先ずYOUTUBEか何かで

        • とある元旦の朝

          年末年始は本当にいろんなことが起きる。 新年を迎えられなかった人、新年を迎えたばかりだったのに...という人。 表に出てこないだけで、実際は色んなことが起こっている。タイミングを図ったかのように。 ある年の元旦の朝。 管轄の警察署から119通報だった。 護岸沿いにて、「釣り人から、焼死体があるとの通報で現場に向かっている。」との情報。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 出動指令「火災 人が燃えたあとがある。」 出動先 「〇市△護岸付近」 署から約5分

        子供が倒れてる。。。

          引出しから女児

          これはネコ型ロボットが未来からやってくるアニメの話ではない。 災害はいつもながら急に起きる。 この日も24時間勤務が終わる朝の指令だった。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 出動指令「3歳女児、タンスの下敷き」 出動先 〇市〇町678 △アパート204 災害場所は直ぐに分かった。 出動先のポイントが、当時住んでいた家の近くのアパートに落ちている。 母親は相当パニックを起こしていたと思うし、119番を取った指令員も大変だったろう。情報が錯そうしていた

          引出しから女児

          飼い犬に〇された住人

          12月になって男だらけの消防署も雰囲気が変わってきた。 仕事はいつも通りだけど、クリスマス、忘年会、そして年末年始が控えていて、やっぱり明るい雰囲気になる。 そんな中、一年を振り返ったとき思い出されるのが、時季外れの台風が襲来したときのことだ。 夏の終わり、台風が直撃してから数日後の事案だった。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー その台風は夕方から暴風域に入り、翌朝には通過していった。 みんなが寝ている間に直撃する台風は総じて出動が少ない。(みんな

          飼い犬に〇された住人

          ネコを助けに行っただけなのに

          管理者からのお知らせ「この物件ではペットを飼ってはいけません。」 こんな当たり前のことが某県営住宅の掲示板に貼られている。 そのきっかけになったと思われる事案を紹介しよう。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 出動指令「動物救助、ネコが高所から降りられない。」 出動先 ○市〇町 △県営住宅 5階建ての県営住宅の3階に住む住人からの通報だった。 「猫がベランダから見える高木に飛び移り、降りられくなった。」とのことだ。 119番の指令員も、役所の担当課

          ネコを助けに行っただけなのに

          救急車内のすごい違和感

          沖縄の長い夏も終わり肌寒くなった頃の出来事。 季節の変わり目は体調を崩す人が多い。小さい子供はなおさらである。 熱がでてケイレンを起こす事案は結構多いのだ。 ケイレンには、全身が突っ張たり、腕をバタバタさせたり、一か所を凝視したりと色々なパターンがある。 ただ共通しているのが、大概の母親がパニック状態で119番通報することである。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 出動指令「1歳男児、ケイレン発作中」 出動先「○市〇町△アパート201」 署から数キロ

          救急車内のすごい違和感

          女湯と新米隊員

          かれこれ10年以上前の初出勤の日。 消防学校で一通りのシゴキを終えて所属に戻った僕。 配属はリゾート地に近い海沿いの消防署だった。 初めは救急隊として勤務についたのだが、緊張から一睡もできず朝を迎えていた。 翌朝の7時頃に5件目の指令が鳴った。 --------------------------------------------- 出動指令 「20代女性、転倒して頭部負傷」 出動先 ○市○町 123番 △ホテル あわてて救急車に乗り込む。 現場は署の目と

          女湯と新米隊員

          事故は風化しても、消えないもの

          救急隊は予想を超える場面に遭遇することがよくるが、経験を重ねるにつれて耐性ができる。 良くも悪くも人間は慣れるのである。 仕事柄、悲惨な現場を見ることが多いからこそ、自分の子供のが発熱や痙攣を起こしても動じることはない。 僕が不在のときに長女が痙攣を起こし、嫁さんが救急車を呼んだことがあった。 事後の報告を受けた僕が「慌てることは無かったと思うよ。」と言ったことに対して、冷徹人間のような扱いをされたことがあった。(今もされている可能性大) 話を元に戻そう。 僕が消

          事故は風化しても、消えないもの

          スズメバチと戦う隊長

          消防署にハチ防護服という宇宙服のような服がある。 その名のとおり、ハチに刺されないように防護するための服なのだが、出番は滅多にない。 というのも、ハチ駆除は本来は消防の仕事ではないのだ。 普段は役所の担当課が駆除を行うのだが、土日祝など担当課が休みの時に我々が行くことがある。 ----------------------------------------------------- 出動指令 「ハチ駆除、スズメバチ」 出動先 ○市〇町456 僕は使い慣れていない

          スズメバチと戦う隊長

          ゴミ屋敷の壁に

          出動指令「50代男性、動けけない。」 出動先  ○市〇町1-2-3 「おいおい、またアイツだよ。」という後輩隊員の心の声が聞こえた。 そこには管内で有名なAという男が住んでいる。 僕がこの管内に異動してきた3年前から、Aは119番をするようになった。 Aは足が悪くて生活保護を受けているのだが、その足で酒を買いに行くこともできる、何とも不思議な生活を送っている。 そして、酒を飲んでは体調不良を訴えて救急車を呼ぶ、いわゆる常連さんなのである。 さらに、Aはタクシー代

          ゴミ屋敷の壁に