2万人に一人しか使ってない特定支出控除の罠と改善希望

年末が近づいてきて、ふるさと納税などを駆け込みでやっている人もいるだろう。私もそのクチで、冷蔵庫の冷凍食品がいっぱいになってきた。
勤め人でも節税は重要なので、医療費控除も少しまとめておいた。


特定支出控除とは?

特定支出控除とは、勤め人が、会社の負担ではなく自己負担で業務に関係する旅費や研修費、交際費、衣服(スーツ、革靴等)、図書費を所得によるがざっくり100万円以上に達した場合、その一部が還付される、というものだ。自営業の人と飯に行ったりすると、領収書をもらって経費で落としていて羨ましく思った人もいるだろう。勤め人ではそれがないのか、というと、例えば年収850万円以上だと給与所得控除が元々195万円ある。

そのため、これを大きく超えた場合に認めるという趣旨のもと、この半分を超えた部分が対象となるのが特定支出控除だ。
自分で200万円払った場合は、200 - 195 ➗ 2 = 102.5万円が特定支出控除となり、これに年収に応じた税率、大体40%くらいをかけたこの場合だと約40万円が返ってくる。200万円使って40万還元、100万使ってもゼロ、150万使って20万還元、といったものだ。

2万人に一人しか使えないレア節税


これでも以前よりは使いやすくなったということだが、会社の許可をもらう必要があることもあり、利用者は非常に少ないらしい。というはほとんどの人は知らないのではないか。
少し古いが国税庁によると、2018年の利用者数は1704人。勤め人(正社員数)が約3500万人らしいので、2万人に1人が利用している計算だ。

還付を受けるまで


私は昨年度、初めてこれを使ってみようと思った。e-taxで確定申告する際に、大量の書類を封筒に入れて税務署に送った。その後、一部会社の経費で落としていた費用も含めていたことに気づいた。全部が紙の領収書であれば、このようなことは起こらないのだが、ウェブで請求書をダウンロードするものも増えていて、ちょっと間違えてしまったのだ。
もちろんやりおなして、e-taxを再送信した。確定申告は毎年おこなっているので、税金の還付手続き状況がどうか気になってアプリを見たりしていたのだが、一向に進んでいない。特定支出控除以外にも医療費もふるさと納税も生命保険も、控除して欲しいものはいっぱいあるのだが、全部まとめて進んでない。痺れを切らして税部署に電話したが、なかなかドンピシャの担当者につながらず、状況がよくわからない。

通常ならとっくに還付がされている時期をとうにすぎ、もう春になった頃だろうか、ようやく私の書類を見ている担当者と電話で話せた。
「e-taxの情報といただいた書類の数値が違ってたので、そこでストップしてました」
おいおい、違ってておかしいなと思ったら電話するなりしてくれよー。
私「間違ってたので、その情報は取り消して、再送信しているのでそちらと確認してください」
「あーそうでしたか」

程なくして、他の控除とまとめて手続きがなされた。2万人に一人になった瞬間だった。

落とし穴

これに味を占めた私は、衣服(スーツやシャツや革靴)、交際費(こちらがご馳走する食事会、割り勘のゴルフ)、書籍代などを今年結構ふんだんに使った。レシートを積み上げたら120万円くらいだろうか。よしよし、これでまた2万人に一人になれるぞと。
ところがどっこい、衣服・交際費・図書費は合計65万円までしか認めない、という追加ルールがあることに気づいた。なんじゃそりゃー。。総額100万積むには自腹の交通費・旅費が35万くらい必要だが、今年はそこまでなかった。残念ながらIT系の費用(パソコン、iPad、携帯等)も対象とならないようで、これらの費用を加味することもできない。

スタートアップでは、自腹で払っている人も相対的には多いと思われる。65万の限度額の撤廃を希望する。





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