見出し画像

手紙展をやる人にインタビューしたら手紙を書きたくなった話

いっちーです。この記事は先日のクラファンのリターンとして書いています。

https://camp-fire.jp/projects/764474/view

依頼者(支援者)は葵さんというお方。実は過去に私の主催イベントにてお会いしていたのですが、実に3年ぶりの再会でした。それも私きっかけではなく別の方のシェアでクラファンを知って、「(知り合いにいっちーが何人かいるから)知ってるいっちーだといいな」と支援してくれたそうです(笑)こんなご縁もあるんですね〜。

葵さんには書く内容についてお題をいただき、11/22(金)、23(土)に開く個展「手紙展」に向けたインタビューの記事を書くことに。

というわけで、10月1日に葵さんのご自宅に伺いました🏠


たくさんの"贈り物たち"

おうちにお邪魔して、まずおもむろに見せていただいたのは「手紙を書くために横に置いておく道具たち」。手紙は便箋とペンがあれば書けると思っていたので、その量にびっくり。知らなかったアイテムもたくさんでした。

引き出し3箱分!

ああ、手紙の世界って奥深いのかもしれない・・・という予感がしてきます。

切手もたくさん。「いずれなくなるからと思って買ってしまうんですよね」と葵さんは言います。手紙にまつわるアイテムたちは、送ってしまうからなくなるのだな。そう思うと、ここにあるものたちが全て贈り物に見えてきます。

可愛い切手たち

手紙展はどうしてやろうと思ったんですか?

個展のハードルはめっちゃ高いと思っていたのですが、その動機を聞くと「ロスかもしれないですね」という、意外なお返事が。

「去年の夏に結婚式を挙げて、そのロスかもしれないですね。結婚式に向かっている時間が好きだったんです。何か目標があると、ワクワクしていられる。それで去年の秋ごろに何かやりたいなと思って、今年の春に個展の会場を予約しました。11月にしたのは、その頃には借金も完済してるかな〜と思って」

(借金のお話についてはこちら)

無事に6月に借金も完済されて、想定通りです。

結婚式については事前にnoteを読んでいたのですが、準備の量を想像して、大変だこりゃと感じていたところでした。

けど、これも「嫌にならないの?と聞かれて、嫌になる人もいるんだと気づいた」というくらいには好きな作業だったようで。そういうものを他に探したとき、「手紙を書くこと」が思い当たったそうです。

そもそも「手紙を書き始めたのは年中くらい」という、20年以上の筋金入り手紙ライターである葵さん。お母さんと一緒にお年玉のお礼状を書いたのが最初だそう。小さい頃から身近にあって、今でもやっていること。

手紙じゃないけど、お話ししていてすぐにメモを取っているのが印象的でした。手紙もこんな感じで息をするように書いているかもしれない

それを個展にしようと思えたのは葵さんのご友人が「プリクラ展」という個展をやっていたから。趣味を個展にするのも面白いな、という着想?思い込みが外れる体験?を得たそうです。写真展をやることが決まるまでに、さまざまなきっかけがあったのですね。

普段からどのくらい手紙を書いてますか?

手紙を書くことは少なくとも私にとっては、ものすごく面倒くさいことです。なので日頃から手紙を書くってすごい。そう思って聞いてみたところ、「月に1回くらいの頻度で送る友人は、片手で数えるくらい」ということでした。あ、意外と多くない、よかった。

とホッとしていたら、葵さんが「手紙よりLINEの方がプレッシャーがあって、、」というのでびっくりしたのですが、それも、よくよく聞くとなるほどと思わせられました。

というのも手紙は面倒くさいぶん、相手もすぐに返事を求めない。だから返事に2,3ヶ月経ってもいいし、気が向いた時に書くことができる。逆にLINEは楽なぶん、すぐに返事があるだろうという期待がある。確かに、LINEの返事が丸2日返ってこないとどうしたのかなと思うし、私自身も遅くとも24時間以内にLINEを返すよう意識している。「LINEは24時間以内に返すもの」という期待=プレッシャーを、実は感じているんだなと気づきました。書くことのプレッシャーから自由なのが手紙なのかもしれないと思った時、ふだんLINEでやりとりしている人でも、手紙になると伝えることが変わるのかもしれないと興味が湧きました。

軽率に手紙を書く

ただ、私は「気が向いた時に書くことができる」はずの手紙を、返せずじまいでいるという苦い経験(返せてないので現在進行中ですが)があります。
その心境を吐露したところ、「私は軽率に手紙書くから」という答えが!「手紙」と「軽率」という言葉の組み合わせ、相性が悪いと思ってました。「今、〇〇にいます」みたいな書き始めらしいです。日記の延長みたいです。出先から送ることも多いという話でした。ちょっと非日常の場では、筆が進むかもしれません。


手紙展では、弟さん宛に送った手紙を展示するそうです。手紙を公開できるってすごい。「こんな感じで書いてもいいんだ」と手紙のハードルを下げてくれそうです

そして私がもらった手紙を返せずじまいなのは、卒業みたいな人生のビッグイベントのタイミングでもらった激エモレターだったので、その熱量で返そうと思うと恥ずかしくなっちゃうんですよね。でも日々の暮らしの延長にありそうな書き始めなら書けるかもしれないと思いました。

ちなみに葵さんは、激エモな気持ちの時にしかかけないであろう「お店へのお礼状」を書くこともたまにあるそうです。「喜んでもらえるであろうことはした方が良いと思ってて」。さ、さすが〜!!私も恥ずかしがったりせずに手紙めっちゃ嬉しかったよ!と手紙で伝えちゃっていいのかも。恥ずかしいということ自体、もしかしたら自意識過剰??と恥ずかしくなりました🫣

noteと手紙は違いますか?

関連で、葵さんはnoteもよく書かれているので質問してみました。どちらも好きなことには変わりないけれど、手紙は(当たり前ですが)一人の人に向かって書くもので、noteは不特定多数に向けて書いている。そしてnoteは何度も読み返してから公開するそうです。手紙ではあまりそんなことはない。
では手紙の方が手抜きかというとぜんぜんそんなことはなくて、「INVITATION」という文字をデコレーションしたいと思い立って消しゴムはんこを掘り始めるくらいには凝っていたりする。

アルファベットの消しゴムはんこ(左)と食事会のために作った招待状の下書き

結婚式のお話もそうだったけど、誰かに対して何かを贈る時にすごくエネルギーが出るお方なのかもしれない、と思いました。

ちなみにnoteも手紙も好きなことだけど、noteは何度も推敲するので「最近全然更新できてない」とのこと、めっっちゃ共感します・・・(笑)
noteの方がハードルが高いということなので、noteを書いたことがある人なら手紙も書けちゃいますね。あなたに宿っている秘められた才能です。

これも手紙、あれも手紙

手紙展で展示する予定の手紙を見せてもらいました。

びっくりしたのが、「これも届くんだ」と思うような手紙があったこと。スケスケクリスタルな手紙があったり、木の板の手紙があったり(紙くらい薄いのだけじゃなくて3mmくらいのもあった)、マザーハウスが作っている革製の手紙まであったり。

クリスタルの手紙。長岡花火のモチーフ

形だけでなくて、概念としての手紙も実は広かった!書き置きも手紙と言えるかもしれないし、「コンビニで20円で印刷できます」というペライチの新聞?フリーペーパー?も実は不特定多数に向けた手紙なのかもしれないし。自分で撮った写真もコンビニで印刷して手紙にすることができます。そう思うと、なんでもかんでも手紙になり得るし無限に増やすことができてしまいますね。もはや紙切れも、住所を書いて切手を貼れば届くのかも。

写ルンですの写真をアプリで9枚セットにしてコラージュしてハガキに印刷したもの。
手作りの手紙には物語ものせられる

手紙は伝える手段のひとつ

手紙展をやるという行動ひとつ取っても、手紙セットの量を見ても、手紙というものに対するこだわりがすごいのかと思いきや、手紙以外のものも送ることがあると葵さんは言います。もちろんSNSも使うし、食べログのレビューを書くこともあるし、何か物を贈ることもある。そもそも、「手紙は住所が分からないと送れないのでハードルが高い」です(言われてハッとしました)。確かにSNSで繋がれる時代では、住所を聞くという行為にプライバシー侵害の匂いがぷんぷんします。そういえば、小学生の頃は年賀状を送るために住所を聞きあうイベントが年末にあったけど、スマホを持ち始めた高校生の頃にはなくなったなぁ。

そんな時には「オンラインギフトを贈る」そうです。今は住所を教えてもらわなくてもプレゼントを届けられるサービスがあります(ギフティとか)。手紙は伝える手段のひとつ。もし手紙という発明がなくても、葵さんは別の方法で何かを贈っているのだろうなと思いました。手紙という素晴らしい発明があり、しかも内容の検閲もされない表現の自由を担保された時代に、もう手紙を送らない言い訳はできません(?)

手紙展ではどんなものを展示するんですか?

展示会場は透明書店という蔵前に最近できた書店。蔵前が思い入れのある街で、プリクラ展をやっていたご友人に会場の相談もしたそうですが、やっぱり蔵前がいいな、と選んだ会場でした。

9畳ほどのスペースで、弟さん宛に送った手紙、さまざまな形の手紙、手紙にまつわるエピソード、手紙を書くエリアの4つをメインに展示する予定。手紙を書くエリアでは、「いずれなくなるもの」と思って買って溜まった100枚以上のポストカードから選んで書くことができるそうです。もちろん持参も自作もOKです。

詩とセットになった手紙などなど。
「意味はよく分かってません」とのことです笑

そして手紙展に際して、事前に手紙にまつわるエピソードを募集しているそうなので、ぜひ送ってみてください。私もあなたのエピソード、知りたいです。

楽しく手紙を書く

手紙展に来てもらった人にどうなって欲しいですか?と質問したところ、「手紙を書こうと思ってもらえたら嬉しいですね」という答えのあと、少し考えて「でも後付けですね(笑)」と。わかります、そういうのって後付けで全然良いと思います。でも私、今回のインタビューで手紙、書いてみたいと思いました。それは葵さんが好きなことについて楽しそうに話すのを聞いたり、手紙を書きつづけている過程を聞いて、書くハードルを下げてくれたりしたからです。ワクワクから始まっていれば、きっとそれに触れた人も心が動くはず。その結果、手紙を書く人が増えるかもしれないと思いました。(手紙でなくても、何かを贈ることがもう「手紙」かもしれないですしね!)

お昼過ぎに伺って、気づいたら日が暮れていた。気づいたら手紙にまつわるものたちで机が溢れていました。ひたすらにワクワクをもらう時間でした。

編集後記

普段からたくさん手紙を書く葵さんに、思いだけ先走ったnoteを見せるのは緊張したけれど、お家に伺ったその日にその熱量を乗せて下書きをドキュメントでお送りしました。すると数日後にいただいたコメントの中には普段から素直にご自身と向き合われている葵さんの豊かな指摘と、私の意見に対する感想があって、ああこれも手紙だ、と思いました。
手紙というのは、究極的には想いのキャッチボールをすることなのだと思います。一人の相手に向き合って文字を書き連ねているとき、心が温まる思いがします。みなさんもぜひ、誰かに手紙を書いてみてください。

手紙展について

日  時:2024年11月22日(金),23日(土) 12:00-19:00
開  催  地:透明書店
住  所:〒111-0042 東京都台東区寿3丁目13−14 1F
アクセス:大江戸線蔵前駅A5出口より徒歩1分

notionサイト

手紙にまつわるエピソードの募集


いいなと思ったら応援しよう!