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【読書メモ】うつ・パニックは「鉄」不足が原因だった -著:藤川徳美-

こんにちは!MOT代表の Katsu です。
大阪でパーソナルトレーニング・ヨガ・整体・鍼灸などを行っています。

【ご挨拶】
 私は、日々勉強(趣味)のために、様々な本を読んでいます。
しかしながら、「あの内容どこに書いてあったかな?」とか忘れてしまったり、「この本おすすめですよ」と紹介するときにうろ覚えだったりと色々困ったことになってきたので読み終えた本を簡単にまとめることにしました。

【タイトル】
 うつ・パニックは「鉄」不足が原因だった
 著:藤川 徳美
 光文社新書

【本書のまとめ】
 うつ症状・パニック症状はは鉄の不足によるものではないか?
 それ以外にもキレやすいなども鉄・タンパク質不足ではないか?
 ヘモグロビン:財布のお金
 フェリチン :銀行の貯金

【この記事のまとめ】
 鉄の摂取量は年々減少している
 女性の不定愁訴の原因の1つとして鉄不足が挙げられる。

本書では鉄不足・鉄欠乏によってうつやパニック症状を呈するという趣旨の話をしていますが、論文として発表されているわけではなく、多数の症例報告によってまとめられています。


【生理学】鉄の働きについて

体内には、3-4gの鉄が存在している。
そのうち60-70%がヘモグロビン
残りの一部はフェリチンというタンパク質で存在する。

【体内の鉄の分布】
 ヘモグロビン:6-7割
 フェリチン :2.5割
 ミオグロビン:0.5割
 トランスフェリン:微量

【体内の鉄の概念】
 ヘモグロビン:財布のお金
 フェリチン :銀行の貯金

フェリチンは主に肝臓細胞に存在しており、体内の約25%がフェリチンです。
フェリチンは貯蔵鉄とも言われています。

貧血を防止するためには、牛とか豚の肝臓(レバー)を取ると良いと言うのは、ここからきています。

【ミオグロビンとヘモグロビンの違い】
 ▶ヘムとグロビンの割合の違い
 筋肉内にあるものをミオグロビン

ミオグロビンは筋肉内にあるため、筋肉量が増えるにつれて鉄の需要が高まります。

【トランスフェリンの役割】
 血漿に含まれる。
 骨髄で赤血球が作られる材料として鉄が必要で、それ鉄を運搬するための役割がトランスフェリン
 トランフェリンと結合している鉄を血清鉄と呼ぶ


【鉄の流れ】
 ▶食事によって取り込まれた鉄の多くはFe3。
 ▶消化管でFe2となる。
 ▶十二指腸でそれらは吸収される。
 ▶毛細血管でトランスフェリンというタンパク質が結合する
 ▶一部の鉄は赤芽球に取り込まれる
 ▶残りはフェリチンとして蓄えられる

タンパク質と結合している状態は無毒ですが、鉄イオンそのものは毒性があります。


【医療概論】日本の貧血割合

日本人の貧血の割合は全人口の約5%前後です。

そのうち50歳未満女性の22.3%が貧血(65%はかくれ貧血)で、妊婦の30-40%が貧血であると言われています。

【潜在性鉄欠乏症】
 通称:隠れ貧血
 ヘモグロビン値が正常であっても、フェリチン値が低下していれば鉄不足の症状が現れる。

【フェリチン値の基準値】
 欧米:100ng/ml以下で鉄不足
 日本:5ng/ml以下で鉄不足
    (🚹21ng/ml)

しかも通常の健康診断などの測定ではフェリチン値を測定しないとのこと。


【医療概論】月経や妊娠による鉄不足

妊娠中は胎児の成長のために、出産後は授乳のために、母体はより多くの鉄を必要とするようになります。

【鉄の喪失亢進が起こる要因】
 ▶月経
 ▶子宮筋腫 
 ▶がん
 ▶消化管潰瘍

妊娠中や出産後は通常よりもさらに鉄が必要となります。
母乳は血液ですので、鉄が失われていきます。

さらに男性に比べて女性は月経があり、毎月20-30mgの鉄が失われています。

【月経1回で失われる鉄】
 約20-30mg
 (月経以外の損失0.72mg)

しかしながら、日本人の現状は鉄の摂取量は少なく、少し前まではメディアなどでは鉄不足ではなく鉄過剰を危険視していました。

その結果なのかは不明ですが、日本人の鉄の摂取量は下記のような推移をたどっています。

【平均的な鉄の摂取量】
 1950年:約46mg
 2003年:約8mg
 厚生労働省より


【コラム】ひじきが鉄分が多いのは嘘

ひじきはもともと鉄鍋を用いて作られていたため鉄分が多くなっていました。現在はステンレスの鍋を用いるためひじきの鉄分はほとんどなくなっています。

また緑黄色野菜でも本書ではほうれん草を例にとっています。
1950年では100gあたり13mgだったのが2000年には2mgまで減少しているとのことです。
文部科学省「日本食品標準成分表」より

代わりに藻類には鉄が多く含まれています。
ノリには鉄が多く含まれていて、妊婦の鉄不足に鉄剤の代わりに青のりを多く摂取することで貧血症状が改善したという話があります。

青のりは100gあたり77.0mgもの鉄が含まれています。
しかし、カットわかめでは100gあたり6.5mgと藻類でも少ないので注意が必要です。

鶏のレバーが100gあたり9.0mgであることからもいかにのりに鉄分が含まれているかがわかります。



【生理学】ミトコンドリア膜について

鍼灸師の生理学では習いませんでしたが、ミトコンドリア膜にある電子伝達系には鉄が必須であると言われています。

【ミトコンドリアにおける電子伝達系】
 解糖系によって得られたピルビン酸はアセチル個CoAという化合物になり、クエン酸回路に入ります。
 ピルビン酸がアセチルCoAに変わるときに補酵素が必要となります。

【クエン酸回路の補酵素】
 ▶ビタミンB1
 ▶ビタミンB2
 ▶ナイアシン(ビタミンB3)
 ▶パントテン酸(ビタミンB5)
 ▶αリポ酸

【クエン酸の補因子】
 ▶ビタミンB群
 ▶マグネシウム
 ▶鉄

【電子伝達系】
 ▶NADH・FASHの力によりATPを生成

ATPを作り出す最初の1歩は解糖系です。
解糖系にはグルコースを用いました。

そのグルコースの完全燃焼のためには、ピルビン酸代謝酵素の補酵素であるビタミンB1を十分に摂取する必要があるということがわかります。
(もちろん糖質自体を減らすことも有効です。)

【臨床医学】鉄不足について

鉄不足による症状と貧血による症状についてまとめていきます。

【貧血の3つの症状】
 ▶酸素欠乏による症状
 ▶酸素欠乏の代償作用
 ▶赤血球量減少による症状

【酸素欠乏による症状】
 ▶頭痛・めまい・耳鳴り
 ▶ふらつき
 ▶狭心症
 ▶易疲労感・倦怠感
 ▶脱力感

【酸素欠乏の代償作用】
 ▶呼吸数の増加
 ▶心拍出量の増加
 ▶息切れ・動悸

【赤血球量減少による症状】
 ▶眼瞼結膜が白くなる
 ▶顔面蒼白

【鉄欠乏性貧血の症状】
 ▶赤色平滑舌
 ▶スプーンネイル
 ▶異食症
 ▶氷食症

【鉄不足の症状】
 ▶イライラしやすい
 ▶集中力の低下
 ▶神経過敏
 ▶立ちくらみ・めまい
 ▶耳鳴り
 ▶偏頭痛
 ▶関節痛・筋肉痛・腰痛
 ▶喉の違和感
 ▶冷え性
 ▶朝が苦手
 ▶肌荒れ・ニキビ
 ▶不妊
 ▶むずむず脚症候群
 ▶氷食症


【栄養学】フェロケルについて

フェロケルというのは、キレート鉄のサプリメントのこと。

【キレート】
 イオンと分子が配位結合している状態
 (キレート鉄:鉄イオンをアミノ酸が取り囲んでいる状態。)

本書で患者に鉄剤を提供しようとすると、重症の患者ほど鉄剤を飲むことで吐き気・嘔吐・ムカムカするなどの症状が現れるとあります。

しかしキレート加工を行うことによってこういった症状が少なくなるそうです。

しかもフェロケルはサプリメントのため、処方箋が不要で、月千円程度で安価で購入できる。

【鉄剤の適切な飲み方】
 ▶ビタミンCと併用して飲む
 ▶ビタミンEは吸収を阻害する
 ▶タンニンは吸収を阻害する

玄米食に含まれるフィチン酸の作用により、鉄・亜鉛の吸収が妨げられてしまうため、鉄・亜鉛のサプリメントととの併用は注意が必要です。

ビタミンB12が不足すると大球性貧血になるため、不足している場合は、鉄剤の補給とともにB12の補給も合わせて行います。


【栄養学】本書が勧める子供のための食事療法

【こどものための食事療法】
 ▶お菓子・ジュース類は直ちにやめる
 ▶糖質を減らす
 ▶動物性蛋白質・動物性脂肪を摂取する
 ▶植物油を減らし、バター・ラードを用いる
 ▶加工品を避ける
 ▶食塩をやめる
  (代わりに天然塩を用いる)
 ▶マルチビタミン・マルチミネラルもおすすめ

ラード?となりましたので詳しく解説します。

植物油に多いオメガ6系を取ると炎症反応を促すプロスタグランジンが出る。
ですが、オメガ3系では炎症を抑えるようなプロスタグランジンが出る。

そして実は、バターやラードは参加しにくく、血中の脂肪濃度をあげない。とのこと。


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