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【読書メモ】世にも奇妙な人体実験の歴史

こんにちは!MOT代表の Katsu です。
大阪でパーソナルトレーニング・ヨガ・整体・鍼灸などを行っています。

【ご挨拶】
 私は、日々勉強(趣味)のために、様々な本を読んでいます。
しかしながら、「あの内容どこに書いてあったかな?」とか忘れてしまったり、「この本おすすめですよ」と紹介するときにうろ覚えだったりと色々困ったことになってきたので読み終えた本を簡単にまとめることにしました。

今回読んだ本は「世にも奇妙な人体実験の歴史」です。

【タイトル】
 英:A Cerebration Of Self-Experimenters 
 著トレヴァー・ノートン 世にも奇妙な人体実験の歴史
 文春文庫 文藝春秋

タイトルがタイトルなだけに、気持ち悪い内容の本かと思いましたが、今までに習ってきた医療の知識と結びついて大変勉強になりました。
医学の歴史を学んでいくにはちょうどいい本で、おもしろおかしく書かれている点もあり読んでいても飽きがきません。

吸玉療法と派手な瀉血を繰り返し、患者に接する態度を洗練させる
発熱には有毒なアンチモン・性病には有毒な水銀・痛み止めにはアヘンという具合だった。

本書から引用(一部改変)

上記のような内容を見るたびに、現代に生まれてよかったとも思いますが、さらに未来から見れば腫瘍を取り除く方法に放射線を使うなども危険だったと言われる時代が来るのかもしれませんね。

本書では医療系国家試験の勉強で散々習った寄生虫・伝染病・放射線・ビタミン過不足・カテーテルなどの歴史がわかります。

そしてどうやって発見までに至ったか、そして研究者がいかに自分を犠牲にして(ここでは人体実験と表現)治療薬の発見に取り組んだのかもわかります。

こういった歴史を知らずに、ワクチンなどの治療薬は悪だと決めつけてしまうのは大変失礼なんじゃないかなと改めて思う一作…。

麻酔の歴史

笑気ガス→エーテル→クロロホルム

【笑気ガス】
 
1772年:イギリス人 化学者ジョゼフ・プリーストリーが発見
 1795年:イギリス人 化学者のハンフリー・デービーが証明
 亜酸化窒素。
 ヒトが吸入すると陶酔させる作用がある。
 全身麻酔で医療用途で用いており、世界保健機関においては必須医薬品の一覧にも載せられている。

引用元:Wikipedia

「亜酸化窒素には、身体的苦痛を麻痺させる働きがあるものと思われる。これは外科手術に応用できるかもしれない」

笑気ガスは現在でも使われているが、細菌はより安全で効率の良い麻酔があるため減少傾向にある。

日本では笑気ガスを陶酔感のために乱用する人が多発したため、医療品医療機器法に基づいて指定薬物として指定されている。

【ジエチルエーテル】
 別:エチルエーテル・硫酸エーテル・エトキシエタン
 単にエーテルというときはこのジエチルエーテルのことを指す場合が多い。
 硫酸とアルコールを混ぜると発生する特徴的な甘い臭気を持つ

引用:Wikipedia

引火点が低く、ガス爆発のリスクが高いが、発展途上国では現在でも麻酔として使われています。
しかし、ひどい(甘い)臭いがあり、術者の肺を刺激する・麻酔が効くまで患者が暴れまわるというデメリットが有ります。(本書に記載)

【クロロホルム】
 
1831年:ドイツ 化学者ユストゥス・フォン・リービッヒ
     フランス 科学者ウジェーヌ・ソーベイラン
     フランス 科学者 サミュエル・ガスリー がそれぞれ 発見
 トリクロロメタン・トリハロメタン
 広範囲で溶媒や溶剤として利用されている。

引用:Wikipedia

サミュエル・ガスリーはクロロホルムを水でわったアルコール(?)飲料を販売しました。
これは「濃厚な甘さの、香り高い」アルコール飲料となり「ガスリーのスイート・ウイスキー」として売ったそうです。

クロロホルムといえば、危険な物質という認識しかなかったため甘い匂いがするとか、実際に甘みがあるとか言う情報は聞いたことが有りませんでした。(しかも常温では無色透明)
もしコナンの犯人ならこれを利用した事件を引き起こしそうですね笑

麻酔薬としてクロロホルムをしばらく使っていましたが、麻酔薬としてエーテルを用いた場合の手術にくらべて4.5倍も高いことがわかり、なんと

医療目的でのクロロホルムの使用が原因で十万人以上が死亡したと推定されている。

本書から引用


ちなみにクロロホルムをハンカチに染み込ませて、相手に吸わせてもすぐには気を失うこともない。とのことです。


医薬品の歴史

薬剤師や医薬品登録販売者の勉強をしている人はわかるかもしれませんが、医薬品の成分をゴリゴリ覚えていきます。
例えば、次に記載するアスピリン(アセチルサリチル酸)とかは聞いたことがある人も多いかと思います。

でも当たり前なんですが、突如アセチルサリチル酸が発見されたわけでなく、最初は植物(薬草)からはじまります。

とにかくよく使わえるアスピリン(アセチルサリチル酸)についても記述はこんな感じです。

ヤナギの樹皮から精製されたサリチル酸がアスピリンとして販売されることになった。

本書から引用

ギリシャ時代からヤナギの樹皮には鎮痛(痛みを抑える)作用があると言われており、やっぱりあのヒポクラテスも分娩時の痛みを和らげるために用いたという記録があります。

他にも、
 ジキタリス→狭心症の薬→視覚異常
 ベラドンナ→アトロピン(瞳孔を広げる薬)
 ニトログリセリン→狭心症の薬
 ジエチルスチルベストロール→流産を防ぐ
 トラスツズマブ→ハーセプチン→がん細胞の増殖を抑制する
 コカイン→初期のコカ・コーラ(コカインが入った飲料)→鬱とヒステリーの治療薬

寄生虫の歴史

寄生虫が感染すると、痩せるのは、寄生虫が栄養を横取りしているからではありません。
寄生虫に感染すると、体内でサイトカインなどの分泌が高まります。
サイトカインが脳に作用し食欲を抑えるというメカニズム。

【住血吸虫】
 体は細長いひも状。人畜の血管内、特に門脈内に寄生し、風土病として病害を与える。

肥料として人糞を利用していたときに蔓延していた。
人糞のついた果物をそのまま食べるという今だったら無理な衛生環境。
研究者はそれをわかっていながら食べて自分を実験体にした。
…つよい。

【アンチモン療法】
 住血吸虫を駆虫するためにアンチモンを服用するもの。
 アンチモンってものすごい毒性を持っているので、毒には毒でという感じです。


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