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テスト実行時における開発制限事項の管理を効率化した話

この記事は、Mobility Technologies Advent Calendar 5日目の記事です。

GO 株式会社 プロダクトマネジメント本部クオリティマネジメント部の澤田です。

今回は、「テスト実行時のおける開発制限事項管理」を効率化した手法とその効果についてご紹介します。


はじめに


プロダクト開発におけるQAエンジニアの悩みの一つとして、テスト開始時に要件未Fix・機能未実装や既存バグ等の所謂「開発制限事項(制約事項)」によりテストで動作確認出来ないまた開発制限事項を関与しない部分だけでテストを進めないと行けない状況が度々あるかと思います。

何十件にも及ぶ開発制限事項がある状態では、より慎重にどのテスト項目に影響があるのか常に意識しながらテスト活動を行うことになるため業務難易度も上がり、以下のようなことが発生することがあります。
※あくまで弊社側で発生する事例を記載しています

開発制限事項が多い場合、QAチームへの影響事例

効率化する部分の検討

弊社では、開発案件規模が特に大きい場合、QAとしての開発案件担当者(ブリッジ役)、テスト管理者・テスト実行者など様々なロールの方と一緒にテストを進めることになります。人数が多くなればなるほど、且つ開発制限事項が多くなればなるほど、テストに与える影響度は比例して大きくなるので、情報の伝達頻度やスピード感・正確性なども重要な要素になると考えます。
このような時、上記ロールでいうブリッジ役やテスト管理者は、テスト実行が少しでもスムーズに進めることへより注力することになります。その場合結果的に管理工数が増大していきますので、そこを効率化するターゲットにし、社内でどのようにしたら効率化出来るのか検討を行いました。

開発制限事項の運用フロー

過去、弊社での開発制限事項の運用フローは、かなりアナログなやり方で
そもそものところ手作業も多く、口頭やSlackでのコミュニケーションを通じて情報を集約・精査し、テスト関係者に連携するというフローで
かなり苦戦しておりました。(非効率で工数も非常にかかっていた)
※添付画像のBefore部分が過去の運用フローにあたります。

ある段階から、Asanaを導入しそこに開発エンジニア含め
各ステークホルダーが開発制限事項の情報を都度登録・更新してもらう
運用に切り替えました。情報が集約されるメリットもあり以前よりも運用は
楽になりましたが、常にAsanaをウォッチして情報をキャッチアップして
開発制限事項をテスト項目書に反映する等の手間は変わらず、どうにかならないものかと特にQA側の開発案件担当者(ブリッジ役)は頭を悩ましておりました。
ある日、そのブリッジ役のメンバーから私のところに相談がきました。

  • 「開発制限事項が多いので、都度情報をキャッチアップし、それをテスト項目書の中にある別シートに反映するのが凄く面倒です」

  • 「テスト関係者に無駄なく開発制限事項を情報を伝達したいです」

これは確かにしんどいし非効率というのが一目瞭然だったので、
なにかツールを介して効率化出来ないか調査を開始。
Asanaで開発制限事項が管理されているため、Asanaから提供されているAPIを調査し、実際にGASからAsana APIを叩いてフィージビリティ調査を実施した結果、ブリッジ役の悩みが全て解決できる目処が立ちました。
それが画像のAfter部分の運用フローとなります。

運用フロー

開発制限事項の管理を効率化した自作ツール

では、どのような自作ツールを作成したのかまずは、簡易的なものですが、
仕組みは以下となります。

仕組み(全体像)

弊社ではテスト項目書内に、開発制限事項の内容を集約し、
各テスト項目と開発制限事項との紐付け(影響するテスト項目へのフラグ付等)を行っています。まずは「情報を集約する部分」をGoogle Apps ScriptからAsana APIを利用して全て自動化し、人が行う手間(転記作業や定期的な開発制限事項の情報キャッチアップ)を削減するような作りにしました。

ただ情報を集約するだけですと「いつ更新されたのか」「どの開発制限事項がどのように更新されたのか」分からないため、前回情報との差分があれば、その差分内容(更新された箇所のみ)をSlackのチャンネルにも通知を行い、テスト関係者が簡易に開発制限事項の更新状況を確認できる仕組みもあわせて作った形になっています。

最終的に、以下のようなことが実現出来るようになりました。

今回作成した開発制限事項の管理効率化ツールの主な機能概要

導入効果は!?

今回作成した効率化ツールを実験的に複数の開発案件に適応したところ
当初の狙い通り「管理工数を抑えたい」に見事にマッチし、非常に良い効果が出ました。まだ定量的な部分で計測できていませんが、ブリッジ役含めテスト関係者にヒアリングした結果、以下のようの効果が出ました。

定性的な導入効果

最後に

今回はQAチームで行った効率化についてご紹介させて頂きましたが、
弊社のQA組織では「5分でも10分でも効率化できれば、その分人による価値を見出すことに専念出来る」をコンセプトに、他にも数多くの効率化を行っております。
また機会があれば、弊社QA組織における効率化の事例などをご紹介していきたいと思います。

最後になりますが、品質管理を担うクオリティマネジメント部は、課題や難しい局面を、共感しながらともに成長・チャレンジしてくれる仲間を探しております!
少しでもご興味があれば、カジュアル面談も受け付けていますので、お気軽にお声掛けください。


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