MOSSにかける想い
はじめまして、村田尚貴です。昨年、臨床心理学で大学院を修了し、現在はMOSSという団体で代表をしているミドリとジブリをこよなく愛する人です(詳しい自己紹介は後日noteにまとめたいと思います)。
なぜ、そんな私がnoteを書こうと思い至ったか。先日、臨床心理士の徳田さん(@shinri_t)、中村さん(@knack_rumcoke)による臨床心理士喋れディオに出演させていただいて、MOSSについて語ろうとチャレンジしたのですが上手く喋れなくて…(その様子はこちら)。
だから何度もなんどでも書き直せるnoteという場を借りて、もう一度MOSS立ち上げの想いを伝えたいなと、そう思い至ったわけです。
なぜMOSSを立ち上げたか
私が大学生のとき、身内で悲しい事件が起きました。精神疾患を抱えた奥さんとその旦那さんが、病院の受け入れ先が見つからなかったことを悲観し、体にコンクリートブロックをくくりつけ、川で心中をはかったのです。そして、そのまま奥さんは亡き人となり、「死にきれなかった」と話す旦那さんは逮捕されました。
旦那さんは「迷惑をかけたくない」と誰にも相談できず、一人で奥さんの介護での苦悩を抱え込んでいたそうです。そして、ついには奥さんが苦しむ姿に耐えきれず、このような悲しい選択に至ったそうです。
「もしその辛さを共有できる誰かとつながれていたら…」
そう考えずにはいられませんでした。
私の身内には精神疾患を抱えた方、抱えたことがある方が幾人かいます。上記の事件のように誰ともつながれなかったケースだけでなく、社会の精神疾患など心の問題に対する偏見や、それゆえの心ない言動で苦しんでいる姿を目の当たりにしてきました。
「世間は、社会は、心の問題を抱えた方やそのご家族への理解の仕方や寄り添い方をもっと学ぶ必要があるんじゃないか。そのリテラシーが高くないために、助けたくても手を差し出せない、場合によっては偏見が生まれ、むげに突き放すような態度がとられるんじゃないか。心の問題で困っている人に寄り添おうとする態度を育て、その知識と技術を向上させたい。」
(エーリッヒ・フロム『愛するということ』という著作の中にある「愛は技術である」という考え方にも影響を受けました。)
これが私の問題意識と想いです。そして、これが基になって今のMOSSのビジョンが生まれたのです。
そして、先ほどの問題意識と想いが生まれると同時に、こんな疑問が浮かびました。
「心の問題で困っている人への寄り添おうとする態度を育てるためには、まずその人自身にまわりの人を大切にできるだけの心の余裕が必要じゃないか。それじゃあ心の余裕はどうやってつくっていけばいいのか。」
そう考えたときに思い浮かんだのが心理職(公認心理師や臨床心理士etc.)という職業でした。そこで私は、心の余裕をつくる方法と心理職の可能性を知るために大学院へ進学しました。
そして、大学院で臨床心理学とその実践を学ぶなかで、こう考えるようになったのです。
言うならば、心理職の役割は心理学に関する専門的知識と技術をもとに、目の前のクライエントさんをめいっぱい思いやることじゃないか。
誰かに大切にされると、心の余裕ができる分、誰かを大切にしたくなる。そうやって思いやりは連鎖する。そして、この思いやりの連鎖の起点に心理職の存在があるんじゃないか。
※「心の余裕(心理的ストレス反応の程度が低い状態)」に影響を与える要因を探しているうちに出会ったのが〈思いやり(コンパッション)〉という概念でした。そして、大学院では〈自分への思いやり(セルフ・コンパッション)〉を育む方法について研究をしていました。これもまた後日noteにまとめたいと思います。
心理職の方々が活躍する社会になれば、思いやりの連鎖が促進され、この社会はきっとより良くなる。そんな想いから心理職の方を支援するような事業をやろうと決心しました。そして、MOSSのミッションが見えてきたのです。
最後に
最後までこのnoteを読んでいただき、ありがとうございました。次回のnoteでは具体的にMOSSでどんなことをやっていきたいかを書きたいと思います。
それから、立ち上がったばかりMOSSで、初期メンバーとして仲間になってくださる方を募集しています。具体的な応募方法については近日中にnoteにまとめて公開する予定です。
動き始めたばかりのMOSSを、これからどうぞよろしくお願いいたします。
MOSS代表・デザイナー 村田尚貴
参考文献
エーリッヒ・フロム (1991). 愛するということ 新訳版 紀伊國屋書店
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