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もうゴシップとか殺人事件のニュースを見たくない

もうめっきりテレビを見なくなった。
理由は様々だが、単純に一人暮らしになり視聴の習慣が途絶えたのと、youtubeのようなストリーミングサービスと違い基本的に一定の時間にしか特定のコンテンツを見れないという不便さが最たるところだろう。

自分はyoutubeやニコニコ動画のようなサービスの隆盛とともに思春期を過ごした世代であり、ともすれば人生の半分はテレビコンテンツの衰退とともにあったわけだが、それでも、幼少期、プラズマテレビ最盛の時代、あいのりやIQサプリ、エンタの神様が流行していた時代の記憶もある。

距離を置いて久しい現在の感覚からすれば、テレビという家電はすなわち「テレビ視聴用の機械」であり、今でいうとyoutubeを視聴するためにyoutubeしか見れないデバイスをわざわざ購入するような可笑しさがあるわけだが、日本の国民のかなりの割合がそれを所有して日常的にコンテンツを視聴していたとすると、その日常への溶け込み具合も理解できようものである。

とはいえ、自宅にテレビが無いわけではなく、あくまでブルーレイやゲームのプレイ用に今は亡き祖母宅から貰ってきた液晶テレビは置いてある。
だから時には能動的にテレビコンテンツを見てみるわけだが、日頃youtubeやtwitchの配信ばかりみて感性がそれに順応している自分からしたらどの番組も大抵退屈に思えてしまうのである。
とはいえ、時には極めて興味をそそる番組もあり、まあ、ものによるところではある。


思春期の頃はスレていたのでバラエティ番組が嫌いでニュース番組ばかり見ていたのだが、今になるとニュース番組もなんだかなという感じである。

主観で言えば、番組や局によるとは思うが、ニュース番組を構成する内容と言えばゴシップ2割、事件2割、政治2割、宣伝2割、その他2割の感じである。

で、自分が思うのは、別に政治の報道以外は別に要らないのではないかということである。
テレビ局運営のために宣伝広告コーナーが必要なのは否めないが、それはニュース番組内でステマ的にやる必要は一切無く、消費社会主義的で嫌だ。
特にゴシップと事件関連は別に視聴者がいちいち知る必要が無いだろう。

特にリアルタイムで言えばどこぞの地域で謎めいた斬首殺人事件があり、それについてばかり報道しているような印象だ。
そんなのはどう考えても99.99%数人の異常者の犯行か痴情のもつれであり、周知されたところで気を付けようが無いのだから、何の公共性もないのだ。どころか、加害者どころか被害者の顔写真や生活まで大画面で堂々と表示され、死者への情けすらあったものではない。それが可哀想だし、そんな衝撃的なものが何の事前予告もなく垂れ流されること自体が良くないだろう。

そういった衝撃的な事件や、皆の知るような芸能人の浮気であるとか日常的な失敗であるとか、そういうものを報道すれば、悲しいかな自分含め、気を引かれてしまうのは事実であり、それが視聴率、すなわち収益に繋がるのであろう。

社会の公共的な倫理性…を考慮するのであれば、特に傷害・殺人事件、そして芸能人のゴシップは報道しないべきであり、もしもそういう下卑た内容で視聴率を得たいなら、それは専用の下品な番組(それも子供や見たくない人の目に付かぬよう有料チャンネル)でやるべきであり、さも公共性があるかのように真面目そうなアナウンサーと真面目そうな演出、本当に公共性のある話題の間に挟み込んだりするような手段を使うべきでは無いと思う。

なんとなく真面目そうな雰囲気で、それも天気や国際政治の話題の間に出してくるわけだから、ただなんとなく視聴している多くの人間にとっては、なんとなく正当性があって断罪、排斥すべき内容に思えてしまう可能性があり、実際私自身そうであったのだから、邪悪な内容となってしまうリスクもある。


しかしながら、テレビ局を運営し、テレビ的で素晴らしい旅番組やバラエティ番組を提供し続けるためには、膨大な資本、広告収益が必要であることも事実だろう。そのために、もはや上述のような刺激的な内容のコンテンツを提供することすら必要であるというのであれば(それでも程度の問題はあるが)、フィルタリングを設けた上で存分に放映しまくるというやり方も致し方ないことだろう。それなら、最早わざとやるのでなければ真面目そうなアナウンサーなどに読み上げさせるのではなく、視覚的に刺激的な水着のアイドルでも起用せよと思うのだ。

今日の週刊誌などで言えば、そういう思い切った振り切り方は気持ち良いもので、今週の「フライデー」の表紙にでかでかと載っているのは、グラビアアイドルの水着の写真と、別のグラドルのきわどい写真が8P分載っているという旨、芸能人の不倫疑惑、野球、「2023年スクープ総ざらい」、また別のグラドルの写真が載ってる旨…という感じである。もう、エロ!野球!ゴシップ!に振り切っている。

フライデーは、もう昔からずっとコンビニの店頭に並び続けているような有数の週刊誌であり、高い売り上げもあるのだろう。
その内容の極端さから、こういった週刊誌に対して冷ややかな視線を向ける人間は無数に居ることだろうと思うが、こういう正直な在り方は、今なお無料放送で全国数百万、いや数千万人が見ているテレビという媒体で、特定の人間の隠された秘部を、何度も何度も、それもあたかも公共性がありそうな面で、晒し上げまくる行為よりもずっと倫理的なのではないだろうか。


そういう残酷なことをやり続けるのであれば、テレビという媒体は衰退するべきだろうし、
もしやるのであれば、持て余した性欲や成功者に石を投げつけたくなるような気持ち、そういった普遍的な、人間性の澱のような部分は無垢な子供の手の届かぬ場所で有料コンテンツ、それか週刊誌のような媒体にまとめてしまい、大人達は密やかに楽しめば良いのだ。

ニュース番組のようなまじめぶった場所では、所得格差やネグレクトのような身近で、皆で取り組むべき話題の啓蒙に終始するべきだろうと思うのだ。

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