感想文練習

 映画『ハズバンズ』(1970)を観た感想文になります。

 始まった瞬間に血の味がしたような気がして、それで『エルトポ』を思い出した。エルトポはまだ俺がタバコも吸っておらず歯が真っ白だったころに見た記憶。有名だからという理由だけで見たので全然身が入らず退屈すぎて泣きそうになった記憶。タバコ無しでどうやって最後まで見たのか、今となっては不思議。『エルトポ』も1970年公開らしい。そんなことどうでもいいんだけど、とりあえず始まった瞬間に退屈そうだなと思って、気がめいった。
 冒頭はドラムの音をバックに静止画が数秒映されて、また別の静止画が映される。仲の良い男四人組がいましたとさ、みたいな写真が続く。男たちには家族がいて、その家族ぐるみで集まった時の写真らしかった。プールサイドにいるそいつらは上裸で上腕二頭筋を盛り上げ、それを寄せあって笑っていた。「ほとんどの」写真がそれだった。不穏さが分かりやすすぎる。まあでも、公開から50年たった今の価値観で観てるからだろうな。当時はもうちょっと分かりにくい演出として受け取られていたのかもしれない。
 ストーリーはその四人組のうちの一人が死んだところから始まる。残された三人はその悲しみを紛らわすために酒を飲んで、つまらないジョークで笑い続け、短気になってみたり、お互いに大好きだとか言ってみたりしている。とにかく傷を舐め合うし、その傷舐め同盟を守るために周囲の人間に攻撃的になっている感じだった。三人とも同じような事しかいわない。セリフをぐちゃぐちゃに入れ替えたとしても、変わった印象を受けないと思う。同じような演出が繰り返されるので、もういいよと思いながら一時間半くらいまでは見ていた。ニューヨークに住んでいる彼らがロンドンにハメを外しに旅行するという展開になって、『ハングオーバー!』をリアルにしたらこんな感じかと思った。そう考えると俄然楽しくなってきて、そこからは割と真剣に見た。
 彼らはロンドンのカジノで手当たりしだいナンパして、女三人を自分たちのホテルに連れこむ。一人の部屋で、六人が所狭しとベットに座ったり、その横に立ったりしている。まことに不本意ながら俺はそんな経験がないので、恥ずかしくないんか?と思った。全員、恥ずかしくないんか?そのあと男女一組になってそれぞれの部屋に向かうのだが、結局別々になるなら一回ひとつの部屋に集まった意味あったか?
 男のうちの一人と中国人の女がペアになる。その女は六人でいるときも黙りこくって、コーラ飲みたいと言っただけ。ベットで抱き合ってキスをする。どんどん激しくなっていくところで、急に男が拒否する。喋らないのがムカついたらしい。男は女の体を押しのけて自分の体を起こすのだが、女は押しのけられた瞬間から男から顔を背けて微動だにしなくなる。画面の端で切れていてよく見えなかったが、多分泣いていた。男からかなり罵倒されるのだが、全く動かず反論せず涙だけ流して。翌朝、女が雨の中ホテルから出ていく。男は通りにタクシーが走ってないと言って引き留めようとする。女は泣きながら中国語で何かを言っている。男は当然何を言ってるか理解できないから、会話になってない。この女、俺である。俺もよく会話あきらめるから分かる。六人のときに喋らなかったのも俺だ。あそこで喋ったところで意味ないもん。でも二人になって喋るとなったら、逆に意味ありすぎてきついんだよね。もう中国語で喋るしかない。うんうんわかるよ、経験ないけど。

 どうですかね。『ハズバンズ』観たくなりました?おすすめポイントとしては、メインの三人以外の登場人物の表情の抜き方が独特で笑えました。あと、さっきも書いたのですが『ハングオーバー!』と比べながら観ると楽しめます。

乱文失礼!


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