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「ジェネレーター」に惹かれて社会教育に足を踏み入れたら、3年後に繋がった話

ジェネレーターという在り方を知っていますか?
この在り方を「最近こんな本を読んだんだけどさ〜」と知人に教えてもらったのが学生の頃。

クリエイティブ・ラーニングを実現する教育においては、教師の役割も変わってくる。教師は、生徒・学生がつくることを支援するとともに、それだけでなく、一緒に問題に挑戦し、一緒につくることに取り組む仲間となる。
知識を教えたりスキルを身につける機会をつくったりする「ティーチャー」や「インストラクター」ではなく、話し合いの流れを促す「ファシリテーター」でもなく、一緒に「つくる」ことに参加する「ジェネレーター」と言うべき存在になる。

井庭崇 編著,『クリエイティブ・ラーニング』,慶應義塾大学出版会,2019, p.16

学校の先生になろうかどうしようか悩んでいたタイミング。
フィンランド留学中に、現地の先生に言われた、「教員の仕事は、子どもたちの好奇心の芽を摘まないことだと思う」という言葉がずっと心の中に残っていて、『まさにそんな在り方を体現しているのが、「ジェネレーター」なのでは!?』と、すごく衝撃を受けながら読んだことを覚えています。

『ジェネレーター的な在り方で、子どもたちや学校教育に携われないかなあ。。』
そんなことを考えながら、スウェーデン・オランダなどの国外の教育現場や、国内のオルタナティブスクールを視察する中で、出会ったのが島根県でした。高校にコーディネーターという立場で、地域と学校をつなぐ人材を置きながら、生徒自身の興味関心からはじまる探究学習を実践している地域。
『私の在りたい姿を体現できるのってここかもしれない…!』
そんな直感と勢いで、益田市にIターン移住してきました。

そんな想いを現場の実践の中でも抱きながら、もっと社会教育について学びを深めたいと受講したのが、島根大学が主催している『社会教育主事(士)講習』。2020年に受講し、修了後は、サポーターとしてこの講習に引き続き関わらせてもらっていました。

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そんな島大講習で、2022年に、2020年受講生同期のネギヤンと一緒にゼミを持たせてもらうことに。
修了生コンビでのゼミは、これまでの講習でも初事例だったので、『こんな私たちで担当させてもらっていいのですか…!』という気持ちもありつつ、せっかくいただいた機会なので、張り切ってつくりはじめました。

何ゼミにするか、お互いに興味のあることや共通点などを出し合おうぜ〜ってキックオフmtgをする前から、なんとなく『ネギヤンと組むならジェネレーターについて取り扱うゼミができたら楽しそうだな』って思っていたのは、きっとお互いに関心のあるキーワードだっていうのがわかっていたからな気がする。振り返れば妄想は4月から始まっていたのだねぇ。

「ジェネレーターについてのゼミをするなら、市川力さんに相談してみたいよね〜!」ということで、オンラインでお話しさせていただいた贅沢な日も。「ジェネレーター探究ゼミ、略してジェミ!」 なんていう、ダジャレみたいな遊び心満載なゼミ名も、ゼミのコンセプトの種も、ここで生まれました。笑

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そんなこんなで始まって、半年間4人のジェミメンバーとともに走ってきたジェミ。半年後、無事終わりました報告を市川さんにさせてもらったところ「ジェネレーターコミュニティ(We are generators)で、話してもらえないか」とお声がけいただき、 企画におじゃまさせていただきました。

2023年 弥生のジェネレーター研究講座は、ジェネレーター仲間の実践報告です。 3/9(木)20:00-22:00...

Posted by 一般社団法人みつかる+わかる on Sunday, February 26, 2023

結論、めちゃくちゃ盛り上がって3時間くらいお話しさせていただいたすっごい贅沢な時間になりました!笑
何より、手探りで模索してきたことを、ジェネレーターを提唱され実践されている市川さん・原尻さんに、価値づけしていただけて嬉しかった…!泣

普通、今までの学びだと、あることに精通している人がその技を伝授するために講師役をすると思います。でも、ジェミではそうではなく、むしろ自分達もジェネレーターについての理解が完璧ではないからこそ、一緒に在り方を模索しようというスタンスでつくってきた場。それが結果として、問いが変遷して生成される場になっていたのではないかと、市川さん・原尻さんに言っていただけました。

PBLを通じて、ジェネレーターシップを耕す。
それぞれの持っているプロジェクトをどう進めたらいいか、ではなく、そのプロジェクトをネタにしながら、みんなでわいわい「自分だったらこうするかなぁ」とか「こんなことやってみたらおもしろいんじゃない?」とか、愛のある無責任さを持って乗っかっていく。そうやってジェネレーターシップを発揮してたら、自ずとどうしたらいいかが見えてくる。そんなことが起こっていたのかもしれないなあ。

私自身も数年前にジェネレーターという概念に出会い、『どうやったらジェネレーターになれるのだろう?』を考えて本を読みながらハウツーをインストールしようとしていたけれど、きっとそうではなくて、『どうやったらこの場がジェネるのかな?』を考え、場からの創発が生まれていく環境を整えたり、もはや自分が一番ワクワクしちゃう中で、結果自分がジェネレーターになっている、ということなのかもなあということを考えたりしました。

話しながら書いたメモ

ジェネレーターって実は、誰もが持っている探究心を素直に表現している人であり、探究人のふるまいのことなんですよね。だから、ジェネレートという言葉がしっくりきます。ジェネレートとは「発生する」という意味。自分の探究心が満ちあふれ、それが他の人に伝染して他者の探究心まで発生させてしまう。その結果、探究する場が発生する。自らの探究心で周囲に影響を与え、探究する場を生成する人だからジェネレーターなんです。

井庭崇 編著,『クリエイティブ・ラーニング』,慶應義塾大学出版会,2019, p.530

ある個人がジェネレーターであることは、場にジェネレートされ、他者からジェネレートされ、やがて、全てがジェネレートの渦の中に巻き込まれるということ。ジェネレーターがお互いが見つけたこと、思いついたことをひたすら語り合いながら、見えないなりゆきを追いかけてゆく道とはそういうものなのです。

市川力・井庭崇 編著, 『ジェネレーター -学びと活動の生成-』,学事出版株式会社,2022,p.8


振り返ってみると、「ジェネレーター」という概念に出会ったのが2019年。そんな在り方を探究できるかもしれない、と、2020年からは社会教育という分野に飛び込み、コーディネーターとして探究学習に関わってきました。
そしてこの在り方は、これからの創造社会を生きる子どもたちを育てる教師としてだけでなく、学びを通したひとづくり・地域づくり・つながりづくりを担っていく社会教育士にも求められる在り方なのではないか、と、ジェミを始めた2022年。
なんとなく惹かれて学び続けてきた「ジェネレーター」。数年後、まさか自分が影響を受けた本を書かれた方に、直接言葉をかけてもらえるなんて、思ってもいなかったこと。本当にすごく嬉しかったし、まさにスティーブ・ジョブズのconnecting the dotsだなあ〜としみじみしていました。

改めて、半年間一緒にジェミをつくってくれたネギヤン・4人のジェミ生・そして今回お話しさせていただいた市川さん・原尻さん、ありがとうございました!
これからも、コラボしながら、おもしろがりながら、「雑」から生成されていく営みをたのしみ企み生きていきたいなあと思います!

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「We are generators!」は月額会員制のコミュニティサイトです。
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