見出し画像

解散命令はスタートライン

1. はじめに


統一教会元二世でVtuberとして情報発信をしている「もるすこ」と申します。
両親は今も現役の信者で、信仰歴は約50年にも及びます。
文鮮明が両親を結婚させ、私が生まれました。
今日は、統一教会の解散請求と解散命令についてお話ししたいと思います。

2. 解散「請求」と解散「命令」について


統一教会の解散は必要です。
特に、韓部達が金銭的利益を得るために信者を騙していること、
そして宗教法人が会計情報をブラックボックス化する隠れ蓑になっている事から
宗教法人格の剥奪のための解散命令は「問題解決のスタートライン」だと私は考えています。

1)そもそも何が問題なのか

 ①行為面:人権を侵害する行為が、何十年にも渡って組織的・継続的に繰り返されてきたこと
私自身の被害は
・教団の指示による高額献金によって家が貧困状態になり、幼少期より着るものや食べるもの等が不足したり学用品等が十分には無かったりしたこと
・献金被害によって、本当は大学に行きたかったのに、行けなかったこと
※専門学校を卒業後すぐに働きながら、自分の給料から下のきょうだい2人の学費を払いました
・7日断食などの身体的な虐待のような行為があったこと、それを自主的にやるようにされたこと
・純潔教育により女性との接触や自慰行為や本来は自然なはずの恋愛感情等を厳しく禁止され、文鮮明が相手を選び数日後に祝福を受けるかたちで婚姻の自由という権利を侵害されたこと
・献金により生活苦となった両親のために生活費の援助を行ったこと今後、無貯金でほぼ無年金の親の生活費や介護費等を負担しなければならないこと等です。
  
  私以上に様々な被害を受けた二世が、数えきれないほど存在しています。
  被害のきっかけとなった時期は過去であっても、その被害により今現在も、複雑性PTSD等の
  精神疾患に苦しむ二世も少なくありません。過去の終わった話ではなく今も続いている被害です。
  また、残念ながら、知り合いの信者が耐えきれずに自死するケースも見てきました。
  
  →既に、教団の組織的な不法行為を認定・使用者責任を認めたものを含む数十件もの裁判の判決があります(最高裁判決を含む)
   全国弁連によると裁判になるものの他に教団自身が悪質性を認識して和解に応じたケースも多く、和解の場合は訴訟になると
   教団に都合が悪いような、訴訟より被害が深刻な傾向もみられるとのこと。

 ②組織面:組織として過去何度も大きく報道され国会でも何十年も前から問題視されてきた中で、改善の機会
      は過去60年の中で何度もあったのに、未だに改善できていない→自浄作用は見込めないこと
  教団の中で何人も改善しようと声をあげたという話を聞きますが追放され根本的な改善はなされないまま被害が継続しています。そして韓国が上で日本が下とされる教団の構造があるのに、日本の中間管理職的立ち位置の役職者や現場の信者たちがいくら改善しようとしても根本的な改善につながる自浄作用は望めません。明確なピラミッド構造の中でしわ寄せが来るのは末端の信者たちです。
 
 ③政治面:政治家との癒着により政治家が教団に「お墨付き」を与え被害が再生産されること
・政治家が(統一教会が送り込んだ秘書等を通じて)教団に弱みを握られたり、選挙応援等の見返りに何かしら教団に利する行為を要請されたりする可能性もゼロではないこと
・国民の税金が献金により破産したり生活保護受給者となったりした信者に使われること(つまり間接的に国民が教団にお金を献金している構図)になること
・献金により無貯金無年金のまま高齢化した一世信者の介護等のため二世たちが生活苦となり結果的にただでさえ少子化の中働き手が不足したり税収が減ったりすること

私自身の経験として、教会の人に「政治家の秘書にならないか」と言われ、
議員秘書をしている信者が開催する「秘書養成講座」に参加していたことがあります。
私は秘書にはなりませんでしたが、知り合いの信者には実際に議員秘書をしている人もいます。

2)問題だとして、なぜ解散「請求」と解散「命令」が必要なのか


 ①宗教法人格があるということが「国が、教団にお墨付きを与えている」ことになり、勧誘や信者たちを
  引き留めることに利用される→被害拡大の要因となるため
 ②宗教法人により「税制優遇」を受けているのは本来は社会に貢献し得る団体であること等も理由のはずが、逆に様々かつ深刻な被害を何十年にも渡って出し続けている団体のため
 ③前述の通り、残念ながら根本的な自浄作用は見込めない状況なため
  ※先日の韓鶴子の発言の通り未だにトップは日本や日本の政治家を見下し日本の首相を呼び捨てにし、反省するどころかさらに献金するよう叱咤激励しています。
 

3)解散請求がされなかった場合、もしくは解散請求されても解散「命令」が出なかった場合どうなるか


 ・解散請求がされなかったり解散請求されても解散「命令」が出なかった場合、  教団がこれまで行ってきた様々な行為を国が「問題ない」と判断したことになってしまいます。 そして今後、統一教会以上の被害がないと解散命令が出せなくなる悪い前例にもなり、今回のような被害が蔓延しても対処できず統一教会以外の団体で被害を受ける人たちが救われなくなるきっかけにもなりえます。


しかし、解散命令は通過点でしかありません。
解散命令は必要ですが、解散命令だけでは旧統一教会問題は解決しません。

「統一教会のすべてが悪であり、その統一教会を解散させた政府は善である」
解散命令が出たあと、大勢の人がこのような受け取り方をする事を危惧しています。

統一教会にはたくさんの人たちが所属しています。
韓国の教団本部には宗教を金儲けのビジネスだと考えている人がいる一方で、世界の平和を一途に願っている善良な被害者もいます。
私は教団のLINEグループに参加しているので、信者の日常の写真を見ています。BBQをしたりハイキングにいったり、サッカーをしたり、ママ会で集まったり。楽しそうな笑顔の写真です。その中には小さな子供の姿もあります。
統一教会の内部は被害者と加害者が複雑に折り重なっています。

一方で選挙協力を受けていた議員、宗教イベントでのスピーチを行っていた議員が統一教会にお墨付きを与えていました。政府側の一部の議員も金銭被害拡大の一翼を担っていたという事実を忘れてはいけません。

統一教会問題、そして宗教問題を解決していくにあたって、このように教団にも政治家にも様々な人がいるということを忘れてはいけません。
教団や政党を丸ごと善悪の烙印を押すような白黒思考になってしまうと解決は遠のき、思わぬところで傷つく人たちがうまれてしまいます。それだけ複雑な問題だということです。

旧統一教会の中には生まれて間もない赤ちゃんや、親の刷り込み教育を受けて育っている小学生
そして、もっとも宗教の家に生まれたことを悩む青年期の二世達がいます。

今、子供時代を過ごしている二世達は何一つ悪いことはしていません。「宗教の家に生まれた」ただそれだけで心理的にも経済的にも苦労していくことになります。

オウム真理教がニュースになっている時に私は小学生でした。統一教会の二世なのに新興宗教という共通点が頭の片隅にひっかかり、オウム真理教という話題に少しだけ怯えていた記憶があります。当時のオウム真理教の二世がどのような小学生時代を過ごしたのか、私たちは振り返る必要があると思います。世間的にはオウム真理教は解散命令を受けて解決したと思われている気がしてなりません。当時の二世達がどのように苦労して生き抜いてきたか想像することもできません。そして、加害者側であった教団幹部が作る後継団体がどのような活動をしているのか、世間的な関心は薄れてしまっています。

質問権の行使に対して誠実な対応をしてこなかった統一教会は、実態解明のために解散命令を受けて当然です。
ですが、オウム真理教の時のように解散させて終わりではいたちごっこで何も解決していません。

宗教がなぜ一定数の人々を依存状態に陥れることができ、
その人たちからお金や労力を搾取する組織を作ることができてしまうのか
この問題の原因を究明し、対策を法律に落とし込んでいく事が必要だと思います。

統一教会の中で育ち、たくさんの信者を見てきた私はいくつかの原因に気付いています。
統一教会で熱心に活動したり献金する信者は女性の数が圧倒的に多いという事実があります。
経済成長期に女性が家庭に閉じ込められ、メンタル面での困難を抱えていた時にすり寄ってきたのが宗教です。
また、統一教会ではうまくコミュニケーションをとれない人たちが多く、感情的になりやすい人が多いです。
発達障害やグレーゾーンの人が宗教の教えやコミュニティにはまって抜け出せなくなっているのだと思います。
今でこそ、これらの特性はその人のパーソナリティとして持って生まれたものであるという、社会的な認知が広まりつつあります。

社会生活で困難を感じる人たちが救われるのが宗教ではなく、
制度化された社会福祉であるべきではないでしょうか。
そして、男性も女性も自立して自分らしく生きていく事の出来る日本に変わっていくべきだと思います。
宗教に依存せざるを得ない状況をなくしていく事が、違法性のある宗教団体の根絶につながるはずです。

統一教会の解散請求は最低限のスタートラインです。
もしこのスタートラインにも立つことができない事があるなら、それは政治家と統一教会の癒着を切り離せなかったということです。

4. 今、国や省庁等に望むこと

 
特に④のABはぜひ至急の対応をお願いしたいです。

①児童虐待防止法 の改正


 ・宗教という文字を盛り込んだり、親以外の虐待を想定するものにしたり等、子どもたちを確実に宗教虐待から守るような改正をお願いしたいです

②反セクト法の検討


 ・難しいことは承知していますが、フランスでは、統一教会が深刻な社会問題になったことをきっかけに、反セクト法ができました。10年かかるなら10年かけてでも、何かしらの基準を設けてもらいたいです。

③不当寄附勧誘防止法(通称 救済法)の改正


 不当寄附勧誘防止法(通称 救済法)では二世は救われません
 ※これは「寄附」等による被害を防止する法律ですが、二世の被害は寄附によるものだけではありません。
 ※また、現役である一世の親の献金について、二世の子どもが債権者代位権を使って返金請求することのハードルが高すぎる上に返金されるのもごくわずかな額のみです。また子が親を訴えることも現実的ではなく家庭がさらに崩壊する要因にもなりえます。二世の子は成人した後その多くが親の扶養を外れ、逆に親を扶養するケースも少なくありませんが、この場合、親が献金したものを、親の生活費や将来の介護費等を負担する二世が取り返すことがあまり想定されておらず、親の献金により二世が(親の老後に)苦しむことが予想されます。なお、教団は家族の同意を得ると主張していますが、既に親と別居している成人した(親の扶養下にはない)二世の同意はあまり想定されておらず、その二世が親の老後に生活費や介護費を親のかわりに負担することを考えると、二世の被害防止・救済になるとは言えません。
 ※禁止すべきことが「配慮義務」に留まっている
  自由な意思を抑圧しない・生活を困難にさせない・寄附の使途や法人を明らかにする
  →これは配慮ではなく「禁止」事項にしないと、罰則もなく寄附の返金等の根拠としても弱いです
 ※禁止事項が適用される要件が厳しすぎる上に被害実態にあっていない
  「困惑」し不安を煽られ、等→最初の段階で正体や教義の内容や実態を明かさずに隠して勧誘した後、信仰しきってしまった状態の信者は、勧誘の段階では困惑したとしても、寄附する瞬間は一見困惑していないように見えます。ですが既にご存じの通り様々な献金被害が出ています。実態に即したものにすべきです。

④救済法の「附帯決議」に記載された事項を「具体的な救済策・手当・補助」として具体化させること

附帯決議10:親族間の問題、心の悩み、宗教二世を含むこどもが抱える問題等の解決に向け、法的支援にとどまらず、心理専門家によるカウンセリング等の精神的支援、児童虐待や生活困窮問題の解決に向けた支援等を一体的・迅速に提供するなどの支援体制を構築すること。成人した宗教二世についても、親子間の葛藤や心の悩み、就職等も含め社会参画の困難性を抱えていることから、同様の支援や就労の支援等の支援体制を構築すること。

A 成人後を含む宗教被害者の精神疾患等支援のための「医療費・カウンセリング費用の手当・補助」
B (教団への高額献金や献身により無貯金無年金となった)一世の親の老後の生活費や介護費を負担する二世へ  の補助金・介護サポート
C 宗教被害者支援団体や個人で被害防止のために活動している二世たちへの活動助成金
(宗教だから嫌煙されたり救われにくかったりしたために被害が拡大したので宗教支援団体を作っても、宗教という枠では助成金が降りにくく、女性支援等の枠組みで申請すると男性の宗教二世支援者は救えない等様々な困難が立ちはだかっています。声をあげている被害者たちももう限界です)

※国が長年放置し、放置どころかお墨付きを与えたために拡大した被害のため
※もう二度と同じような被害を繰り返さないでほしい、特に今と未来の子どもたちが苦しまなくていい社会にし てほしいと、当事者として心から願っているため
以上


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?