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【敦賀便り3 】水晶浜はどうして水晶浜になったのか?

このお話は、2020年11月に30年近く暮らした神奈川県相模原市から福井県敦賀市に引っ越した私の備忘録として記録しています。
敦賀のことはまだよく知らないので、あてずっぽうに書いてるところもあるかもしれません。
小さな町だけれど住みやすくていいところだなあと思っています。

今回はちょっと敦賀から外れます。
でも敦賀から車で30分もあれば行けちゃうところなので、もうほぼ敦賀と言っても良いのではないか?
ということで、福井県三方郡美浜町にある水晶浜のお話を、ブラタモリ風に。

水晶浜というのは、美しい白い砂浜と透明度の高い海が有名で、北陸一の海水浴場とも呼ばれているところです。

場所は敦賀市から敦賀半島を挟んだ西側にあり、この美しい浜の向かいには美浜原発があります。

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西に向かって遮るものが無いため、海に沈む夕陽が見られるところでもあります。

一般に、海水浴場の砂浜というのは山から運ばれた土を含んだところが多く、水が濁るのはその「泥土」のせいだったりします。

水晶浜は行ってみて分かったのですが、砂浜を構成しているのが全て小さな水晶(というか正確には石英)の粒なのですね。
だから波がたっても泥土が巻き上げられることがない。
水の透明度が保たれやすいのです。
しかも砂を構成するのが石英の粒だけですから「白く輝く砂浜」と絶賛されるのも納得です。

さて、ではこの水晶浜はどうやってできたのか。
まずは気になるこの岩がヒントになりそうです。

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海の中に飛び出している大きな岩。
登れそうだなーと近づいてみると、見事な花崗岩でした。

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はい、ここで花崗岩って何だろ?と思った方。
地学の復習を兼ねて、岩石の成り立ちから学んでみましょう。

岩石は、大きく水成岩(堆積岩)火成岩(火山由来の岩)に分かれます。(あともう一つ変成岩というのもありますが、ややこしくなるのでここでは割愛)

前者は川に削られた砂や土が海の底に堆積し長い年月と高い圧力の元で岩になったもの。
後者は火山の下にあるマグマ溜まりが活動を停止して冷えてできたものだと思ってください。

花崗岩は、後者の火成岩です。
その中でも、ゆっくりじわじわ冷え固まって、岩石を構成する鉱物の結晶が大きく育っているのが特徴です。
河原でよくみるエレキングみたいなシロクロマダラ模様の石は、たいてい花崗岩ですね。

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(これがエレキング!)

この花崗岩ですが、もともと石英(ご存知クオーツ)や長石(天然石好きな方にはわかるかな、ムーンストーン)といった白っぽい鉱物が多めにできています。
黒っぽいところは黒雲母というあの爪でペラペラめくって遊べる軽ーい鉱物です。

さて、敦賀半島は全体がこの花崗岩でできています。

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今は絶版になっているこの本から図をお借りしました。

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海の中にぽこっと突き出している先程の岩は、敦賀半島の花崗岩が波に削られて一部残ったものでしょう。

さて。

皆さんご存知のように岩石は風化します。

一つは、波や風に削られて割れたり削れたり、気温差で膨張と収縮を繰り返して割れたりする「物理的風化」。

もう一つは、水と空気中の二酸化炭素が石灰岩を溶かして鍾乳洞を作る例に代表される「化学的風化」。

花崗岩は他の火成岩に比べて結晶粒子が大きいのが特徴です。

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その上、熱膨張率が石英、長石、雲母の三つの鉱物間で全く異なるため、

温度差の大きい所では粒子間の結合が弱まり、表面が風化しやすいと言われています。

日本海側は、夏の暑さと厳しい冬の寒さの影響で花崗岩がポロポロ崩れやすいのです。

花崗岩中の主成分である石英は非常に風化しにくいため、

長石、黒雲母は先に風化し海に溶け出すか、細粒化して流れ出してしまいます。

すると残るのは粒の大きな石英の白砂、というわけなのでした。

白砂が美しい水晶浜はこうやってできたのでした。

犯罪の影に女あり。

白砂の影に花崗岩あり。

綺麗な白い砂浜の裏の山は大抵花崗岩ですから、山をくまなく探して岩の露出しているところを探すと

もしかしたら大きくて透明な水晶の六角柱結晶が見つかるかもしれませんよ。

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