遺すべきか、遺さざるべきか
つい先程のできごと。
いつものようにプールからの帰り道、松山駅から北上する通りをバイクで走っていた。
夜風が気持ちよく、泳いだあとの気だるさもあり、私はやや緊張感を欠いていたと思う。
ご機嫌で風を切っていた。
その目の前に、突如出てきたシルバーの軽自動車。
こちらに横腹を見せて、道路の真ん中で急停止した。
本当のところは、たぶんこう。
①左手の店舗駐車場から右折しようと出てきた車が、路面電車が来ていたのに気づいていなかった。
②電車に行く手を阻まれて、結果、反対車線のど真ん中で止まることになってしまった。
私は私で、信号もないところで車道に飛び出してくる車がいるとは思わず、軽自動車を認識していなかった。
生まれて初めて、ものすごい急ブレーキをかけ、車に当たる寸前で止まったのだが、軽自動車の高齢ドライバーはこちらを一瞥しただけで去って行った。
見ていなかった私も悪い。
でも、もしあれで事故を起こしていたら、たぶん10:0で、先方の責任が問われるのではないかと思う。
だって、車道を思い切り塞いでいて、避けようがなかったんだもの。
仮にそのような事故が起きた場合、私が死んだらどれくらい保険金が支払われるのだろう?
たいていの車のドライバーは、自動車保険に加入する際、「対人無制限」の保証をつけているのではないかと思う。
ということは保険屋さんが、事故の過失割合に応じて、私の命の妥当な金額を算出し、遺族である夫に「あなたの奥さんは、◯円でした」と値付けして支払うのだろう。
いや、さすがにそんな言い方はしないと思うけれど、算出式はあるはずだと調べてみると、こうなっていた。
つまり、慰謝料と葬儀費用は、固定でそんなに動かないが、私の頑張り次第で今後、年収が大幅にアップすれば、夫は左うちわで暮らせるということだろう。
むむむむ。
ここは、これまで養ってくれた夫の恩に報いるべく、年収アップの努力をすべきか。
それとも、お金があったら、あっただけ全部飲んでしまうのだろうから、健康を考えて遺さない方向でいくべきか。
考え込んでしまった夜だった。
この記事が参加している募集
最後まで読んでくださって、本当にありがとうございます。 サポートは、お年玉みたいなものだと思ってますので、甘やかさず、年一くらいにしておいてください。精進します。