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【北陸ウミウシ日記】無計画な冒険を楽しんだ1日

一昨年、仲良くなった海のおじさんに、船でしか行けない洞窟まで連れて行ってもらったことがある。

いつかそこへ自力で行って洞窟の中に入ってみたい、というのが敦賀での野望の一つになった。
だとすると、四国移住の前のこの夏しか行けないことになる。
地図で確認すると、おそらく800m、往復1.6㎞泳げればたどり着けるはずだ。
とはいえ、正確な位置がわからないので、たぶん、この辺だろうというあてずっぽうでもある。
泳ぐ距離はもっと短くてすむかもしれないし、もっと長いかもしれない。
いずれにせよ、私の泳力では、風のない波の穏やかな日を選んで決行した方がよさそうだ。
その点では、昨日は探検にはちょうど良さそうな天気だった。

よし、と覚悟を決め、バイクで最寄りの海まで出かける。
杉津の港から泳ぐと、危ないからやめとけと、仲良しおじさんたちに止められそうな気がしたので、今回はお隣の横浜から。
ビーチは、かつて海水浴場としてにぎわっていたのだろう、広めの駐車場(現在は閉鎖中だった)も完備した美しいところだ。
テトラポッドの内側は、波もなく水も澄んで美しい。
テンションが上がる。

しかし、現地に行ってみて誤算があったことに気づいた。
テトラポッド(下図中、点線で海の中に描かれているもの)を乗り越えるルートが無いのだ。

当初の予定では、ピンクのルートを通り、崖沿いに行くはずであった。
通れる道くらいあるだろ、と思っていた。
けれど、釣り人が軽々乗り越えていくテトラポッドと岩場の接合部分はけっこうな難所だ。
落ちたら死にはしなくても、骨折くらいはする高さ。
私は、とんでもなくバランスが悪い自覚がある。
足元は、滑り止めもないマリンシューズで、フィンなどの荷物を背負ってここを行くことになる。
怖い。
どうやっても越えられる気がしない。
諦めて、テトラポッドを大回りして泳いでいくことにした。(図中の青ルート)

海の中は、静かで美しい。
まして、人があまり来ない海は、ゴミも少なく(ゼロではない)濁りも少ない。

最初は、魚の写真などとりながら、気楽に泳いでいたのだが、岩礁帯にはいると、そこここにウミウシが目に付くようになった。
といっても、岩の裏側や、少し潜ったところに隠れるようにくっついている。
海面から手が届くようなところには、全く見当たらない。
人目を避けるようにひっそりと忍んでいる。
ウミウシは、夜行性なのだろうか。

シロウミウシ
同上
コモンウミウシ
リュウモンイロウミウシ
唯一、手が届くところにいたサガミイロウミウシ。
体の色がわかるように、観察ケースに入ってもらった。

結局、テトラ帯を抜けてからの私は、ウミウシ探しに夢中で、100m進むのに40分もかかる有様。
帰りの体力も心配で、目的地に到達できずに終わってしまったのだった。

しかし、この探検には意味があったと思う。
なぜなら、青い線とピンクの線は、ほぼ同じ長さ、つまり、私はこれくらいの距離なら泳げる、とわかったからだ。
テトラをショートカットする方法さえ見つかれば、行ける。
次回は、足元を磯用釣りシューズで固めて、何とか難所を越えて行ってみたい。
勇気と覚悟が貯まるのを、ちょっと待ってみようと思う。

**連続投稿552日目**

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